投資には興味があるけど現在投資を行っていない人の投資をしない理由を見てみると、「いま始めるのは遅い気がする」、「相場的にベストなタイミングを見計らって」という意見が多いそうです。
株式投資、外貨投資、不動産投資など、様々な投資スタイルがありますが、いつどのタイミングで投資を始めるのがベストなのでしょうか?
成功する投資家は
価格のズレに着目している
2017年6月13日
投資するベストタイミングはいつ来る?
みなさんは、マクロ経済学という言葉を聞いたことがあるでしょうか? マクロというのは、「巨視的」、「規模が巨大」という意味があり、経済をひとつの流れで見た場合、国家全体の経済を指すことが多く、いわゆる”景気“のように相場全体の状況を表現するときに使う学問です。
このマクロ経済学的観点でいうと、景気が良いときというのは、すでにモノの価格が上がりきっており、株式投資では値上がり益は期待できず、また不動産投資も物件価格が高騰してしまい高値掴みをしやすいと言われています。 これは、30年前のバブル景気の例を出すとわかりやすいと思います。
マクロ経済からも見える投資のチャンス
1990年に高値をつけた日本の平均土地価格は、その後下降の一途を辿り、2007年に上昇の兆しが見えたものの、リーマンショックにより兆しは吹き飛んでしまい現在に至っています。この図表を見るとわかる通り、1990年に土地を購入していたとしたら、ぞっとしてしまいますね。
株式投資も同様です。日経平均株価は1989年12月29日に史上最高値38,957円を記録していますが、もし、89年の年末に日本株を幅広く買っておいて塩漬けにした場合、30年近く経ったいまも含み損の状態です。
このようにマクロ経済学から見て、好景気の時期は投資をやりづらいというのは間違いありません。しかし、まったく投資に向いていないか、というと実は、そうでもないのです。その理由は、株式投資と不動産投資の成否は、マクロ経済学よりも、もっと近視眼的な経済学の視点と関係があるからです。
相場が暴落したときに購入できるか?
さきほどは、相場が高値止まりしている2017年の事情を鑑みて、好景気のときの相場状況についてお話しましたが、それでは、相場が暴落したときに、株式や不動産物件を迷いなく購入できるか、というと難しいところです。
世界で最も著名な投資家であるウォーレン・バフェットはアメリカの証券市場において伝説的な人物ですが、彼は、2008年のリーマンショック時に、暴落していたインフラ株を中心に買い集め今ではそれらの株価は2〜3倍の値をつけているそうです。
しかし、このような手法はある意味、天才的な相場観がなければできないでしょう。
簡単そうに見えても…
「暴落したときに買えばいいんでしょう? 簡単なのでは?」と思う方は、立ち止まって想像してみてください。 価格が下落している最中というのは、底無しの奈落に落ちていってるような感覚です。
「一体、どれくらい下落するんだろう? ひょっとしたら、さらに半値以下にまで下落してしまうかもしれない。もしも、このまま景気の下落が止まらなかったら?」
こんな考えが頭の中をもたげてきて、購入する手は汗にまみれ、やがて購入を躊躇してしまいます。
実際、リーマンショック時に株式相場はおよそ3年間、下落トレンドの中にいました。2008年のリーマンショック時の日経平均最安値は2008年10月28日に記録した6,994円ですが、終値の最安値は2009年3月10日に記録した7,054円でした。
現金比率を過去最高に高めています。その準備があったおかげで、暴落時に株式を購入できたともいえます。その相場観には敬服しますが、真似することはなかなか難しいでしょう。
投資の成功者は価格のズレに着目する
それでは、ウォーレン・バフェットのような天才でないと投資で成功しないかといえば、そうではありません。投資の成功者の多くは、自分の成功法則を忠実に守り、それを繰り返すことで成功に到達しています。
注目すべき点は2つ
マクロ経済の影響を最小限に投資をするためには、あるモノに注目する必要があると言われています。それは「価値と価格」です。なぜなら、株式投資も不動産投資もその本質は、「価値と価格のズレ」に着目した投資だからです。
株も不動産も景気に関係なく値段が決まる
株も不動産も、定価というものが存在していません。どちらも、売主の言い値で値段が決定します。(株式の場合は、新規上場する時にかぎって証券取引所が価格を決めます)相場価格はある程度反映しますが、売主の事情によって、安値で投げ売りされたり、放置されたりすることもあります。
株や不動産の価値は正確に測れないと思われているため、このようなことが起きるのですが、優れた投資家は安値で投げられた瞬間を決して見逃しません。
判断が的確であれば利益を得ることができる
投資家は自分なりの判断基準で価値の有無を判断し購入するかどうか決めます。表示されている価格よりも価値が高ければ、投資で失敗することはまずありません。
つまり、成功する投資家というのは、この判断が誰よりも的確なのです。 マクロ経済に左右されることなく、投資で成功するためには、個別の会社動向(株式投資の場合)、あるいは物件の状況(不動産投資の場合)をよく見て、本当の価値を判断することで将来のリターンを得ることができます。
本当の価値の見極め方はどうすればわかる?
多くの相場経験者によれば、それは経験によって培われるもので、勉強だけで学べるものではないといいます。しかし、勉強と経験を同時に進めれば、価値を見極める目の成長は早いでしょう。
優れた投資家というのは、同時にたいへんな努力家でもあります。株式であれば、会社四季報や決算書を読みこなし、不動産であれば、自分の足を使い、あるいはネットで割安物件の物色を継続的に続けています。
株・不動産の価値はどこで見る?
株式投資の場合は、株価、時価総額、会社の将来への期待の3つがチェックポイントだと言われています。時価総額というのは、数字で表される会社の価格です。これが正当な数字であるかは誰にもわかりません。
しかし、同業他社と比べてどうか? あるいは、将来的に現在よりも成長しそうか? という会社の本当の価値を考えて、現在の時価総額と照らし合わせ、株価が正しいかどうか判断します。
不動産の場合
不動産投資の場合は、まず物件価格と家賃相場の関係を理解する必要があります。不動産投資家は、不動産を購入し、その物件を人に貸すことで家賃収入を得るからです。そのため、家賃が高く得られそうな物件は価格も高く、家賃の低そうな物件の価格は安くなる傾向があります。
不動産投資家が探しているのは、物件価格が安いのにもかかわらず、(すこし工夫すれば)家賃が高く得られそうな物件です。このズレが大きい物件ほど、割安物件ということになります。
たとえば、物件はボロボロでも駅近物件の場合、リフォームをすれば、高い家賃を得る可能性は高くなります。あるいは、売主と交渉することによって値下げしてもらい、収益利回りを改善する方法もあります。不動産投資の場合は特に、価値と価格のズレに注目することで利益を得やすくなります。
投資を始めることで気づくもうひとつの世界
景気と個人の投資の成果には、特別な関係はないとも言えます。成功する投資家とは、価値を見極める目と、自分の成功パターンを究極まで洗練させている投資家のことです。そういう投資家なら景気が悪くても良くても、投資で成功できます。
経験はなによりも自分の糧になる
金融関係者やファイナンシャルプランナーが「少額でもいいので投資を」という決まり文句を言うのはあなたも聞いたことがあるでしょう。それは、投資で成功するには運やタイミングではなく、経験(価値を見極める目)を養うことが何よりも大切だということをわかっているからです。
価値を見極める目を養うために必要なのは、1に経験、2に勉強、3に知らないことを始める勇気です。 投資の世界に最初に踏み込むのはなかなか勇気がいると思いますが、これを読んだ今から(良いタイミングを待つのではなく)、投資の経験と勉強を始めてみてください。
世界には、もうひとつの世界(経済金融の世界)があることに実感を持って気づくことでしょう。