私たちが老後を迎える頃、もしかしたら「年金生活」という言葉が死語になっているかもしれないですね。ですが「死ぬまでもらえる」終身年金である公的年金には、使えばいつかは底をつく貯金にはない安心感があるのも事実です。
公的年金だけに老後の生活を委ねるのは危険ですが、公的年金制度が崩壊したら、すぐさま生活が立ちゆかなくなってしまう可能性もあります。そのため老後の生活を考えるうえでは、まずこの公的年金の仕組みを知っておくことがマスト!大人ならしっかり知っておきたい公的年金のイロハについて振り返ってみましょう。
ちゃんと答えられる?公的年金のイロハ
2016年4月11日
20歳以上の全国民が加入する公的年金
公的年金は国が運営する制度で、20歳以上の全国民に加入が義務付けられています。原則として20歳から60歳までの40年間、年金保険料を納め続ける必要があり、働き方によって種類が異なり、加入者は第1~3号被保険者という呼び方をします。
日本の公的年金制度は分かりやすくいうと3階建てになっています。
1階部分は全員が加入
基本となる1階部分がすべての人に共通の国民年金(老齢基礎年金)。自営業やフリーランスなどの個人事業主、学生などは基本的にこの部分にのみ加入します。
ただし、国民年金だけでは将来受け取れる額が少なく、生活を維持できるほどの収入にはならないので、補う手段として、希望すれば国民年金基金や、個人型確定拠出年金などに加入することができます。
個人型確定拠出年金は、より豊かな老後生活を目指して公的年金に上乗せする自助努力の年金制度です。銀行や証券会社、保険会社などで加入し、自分で決めた一定の掛金額を払います。
なお、払込んだお金をどんな金融商品で運用するかを選ぶのも自分。運用商品には、預貯金、保険、投資信託、株式など選択肢もさまざまで、運用次第で将来の年金額に大きな差が出てきます。
個人型確定拠出年金について詳しく知りたい方は「老後のお金を効率的に貯めるなら、 iDeCoに挑戦してみよう!」をチェックしてみてくださいね。
会社員・公務員にはもう一段プラスの年金制度あり
会社員や公務員には国民年金に上乗せされる2階部分として、厚生年金が用意されています。
これまでは、会社員は厚生年金、公務員は共済年金と、加入者の職業によって2種類の被用者年金がありましたが、2015年10月からはこれらが厚生年金に統一されました。
厚生年金保険料の半分は会社持ち
では、この厚生年金はどのくらいオトクな制度なのでしょうか?
保険料は会社と折半になり、毎月給与から天引きされます。「手取りが少なくなるし、将来いくらもらえるかわからないから、保険料を払うのをやめたい」なんていう声をたまに聞きますが、この制度は実は恵まれたもの。
なぜなら、自営業やフリーランスの人たちにはない部分ですし、なんといっても会社が半分負担してくれる保険料で、将来のために貯められるからです。
そもそも厚生年金保険料は、毎年4・5・6月の給与の平均額を元に、国が決めた標準報酬に当てはめて、それに保険料率をかけて算出します。
現在の保険料率は17.828%。ところが半分は会社が払ってくれるので、加入者自身が負担する分は残り半分の8.914%分です。
仮に4・5・6月の給与の平均額が20万円なら、厚生年金保険料は本来35,656円になりますが、自分が払う金額は17,828円、会社も自分のために17,828円を払ってくれているということなのです。
私達の生活を支える社会保障制度、それが公的年金制度
日本の人口が徐々に減り続けるいま、公的年金制度は将来どうなるのか…と不明瞭な点もあります。
けれど、障害を負ったときの障害年金や大黒柱を亡くしたときの遺族年金があることなど、国の根幹をなす社会保障制度であるがゆえのメリットもたくさんあります。
老後の生活はもちろん、いざといときの最低限の生活を守るためにも、年金保険料はやはりきちんと支払っておくべきお金です。
まずは自分がどの年金制度に加入しているか確認しましょう
年金のお世話になるのがまだまだ先だとしても、まずは今現在、自分が第何号でどんな種類の年金に加入しているのか、保険料は毎月いくら支払っているのか、基本的なことを再確認しておきましょう。
こうした情報から発展させ、公的年金だけでは足りない不足資金について考え老後のための貯金計画を立てること。これが大切なポイントとなっていきます。
25年間加入しないと年金はもらえない
ちなみに、公的年金を受け取るためには、最低でも10年間の加入期間が必要です。加入期間が足りなくて掛け捨てになってしまった、なんていうことのないように加入期間については注意してくださいね。
過去に保険料の滞納をしていた人は、国民年金保険料の後納を検討してみましょう。納めていなかった保険料を過去5年分まで遡って払うことができます。ただしこれは平成30年9月までの措置なので、早めに対処してくださいね。
いま後納することが難しければ、60歳以降、最長70歳まで国民年金に任意加入することでフォローすることも可能です。
なお、ねんきん定期便等でこれまでの年金加入記録に誤りがないか、チェックしておくことも大切ですので、確認してみましょう。
ねんきん定期便については「教えて! 「ねんきん定期便」の上手な見方とは?」で紹介をしていますよ。
まだまだわたしたち働き世代が、年金受給をするのは先の話。ですが、年金制度は相互扶助の制度。
未来の自分のためにも、しっかりと年金の仕組みを理解し、お金を積み立てていきたいですね。