なんとなく歳を取ったな…久々の帰省で両親とゆっくり過ごし、そう感じた時が介護について考え始める時かもしれません。まだまだ元気だし、介護なんて先の話…とのんびり構えていると、急に慌ててしまうことだってあるんです。お金の問題やお世話のコトなど、知っているのと知らないのでは大違い。
まずは介護に対する知識をつけることから始めてみましょう。
急にきても焦らない、
今から考えておきたい親の介護
2017年1月8日
親の介護に予告なし!ある日突然やってくる
歳を取って徐々に足腰が弱ってきたり、身体に不調を起こしやすくなるのは自然の摂理。補助が必要になるとしても、徐々にやってくる老化とは違い、介護は突然やってくるかもしれないのです。
厚生労働省が発表している「国民生活基礎調査の概況(平成25年)」によると、介護が必要になった原因を多いものから順に並べていくと、「脳血管疾患(脳卒中)(18.5%)」「認知症(15.8%)」「高齢による衰弱(13.4%)」「骨折・転倒(11.8%)」「関節疾患(10.9%)」…と続きます。
原因は何であれ介護が必要になれば、本人も家族も大変なのは確かです。でも、老化に伴い発生、進行するような認知症や衰弱などは、ある程度の心の準備や対策も出来るものかもしれません。
対して、脳血管疾患や骨折・転倒は前ぶれなくある日突然訪れる可能性が高いもの。割合的にも両者を合わせると30.3%と決して低い数字ではありません。つまり、介護が必要になった人のうち、およそ3人に1人が突然、要介護状態になったということなんです。
親がまだ元気だから…親と一緒に対策を!
もしも自分の親が介護を必要とするようになったら…。考えるだけで不安は募りますね。でもそれは、親にとっても同じはず。お世話に対する理想だってあるかも。
まだ介護の必要がなく、考える余裕があるからこそ、親子で話し合い、一緒に事前の備えをしておくのが理想的です。
お金の管理について情報共有
介護が必要になった時の大きな不安がお金のコト。しっかりした介護を受けるためにはお金もかかるし、そのお金の準備の状況などが気になりますね。親と同居していれば貯金など、お金まわりの事情も少しは把握できますが、別居なら知らないことも多いはず。取引銀行や保険会社など、資産に関するリストをまとめておいてもらえると助かりますね。
また、認知症などで親自身がお金の管理をできなくなる場合のことも考えてみて。誰に財産管理を任せたいのかなど親に確認し、家族で共有しておけば安心です。
親が加入している保険の内容を家族で共有
親が加入している保険があれば、保険の内容も家族で共有しておきましょう。入院が必要になったときの医療保障や三大疾病などの保障の内容はしっかり把握しておきたいもの。特に民間の介護保障保険に加入しているなら、忘れずに確認しておきましょう。
地域包括支援センターを調べておく
実際に介護が必要になったときに予備知識がないと困るのが「どのように対応するべきか」ということ。どこに、誰に相談すればよいか分からないままで、うろたえるばかりでは何も進みません。
そうならないためにも、最寄の地域包括支援センターを調べておきましょう。地域包括支援センターは介護保険法に基づき設置されている機関で、地域における介護相談の最初の窓口となるところ。各センターには保健師や社会福祉士、ケアマネージャーが配置されていて、地域住民の介護予防や日々の暮らしをさまざまな側面からサポートする役割を持っています。今はまだ介護が必要なくても、もしも介護が必要になったらどのように対応するべきか等、今後のための参考として相談してみては?
親孝行貯金をしてみる
親に介護が必要になると、親元へ何度も行き来したりと交通費や諸々のお金がかかります。自分の家計を崩さないために、できればこれらのお金は別に調達したいもの。もしもに備えて親孝行のための貯金をしておくのもひとつの方法です。
老後資金など自分のための貯金とは別に、毎月一定額を先取り貯金しておくようにしましょう。
親の介護が必要になったら仕事はどうする?
働くオトナ女子にとって、親の介護を考えた時に気になるのはやっぱり自分の仕事のコト。家族の介護のために離職や転職を余儀なくされる人も多くいるのは事実ですが、離職や転職をすることは収入減や再就職できなくなるリスクも。介護で親に付き添いながらも働き続けられるよう、介護休暇等の制度についても知っておきましょう。
介護休暇
要介護状態にある家族の介護やその他の世話をするための休暇として「介護休暇」制度があります。要介護家族1人につき年5日、2人なら年10日まで取得可能。対象家族の通院等の付き添いや、介護サービスを利用するための手続きなどに利用できます。
なお、雇用期間が6カ月未満の労働者は労使協定の内容によっては取得できない場合があります。転職の際には注意が必要です。
介護休業
もうひとつの制度が「介護休業」制度。介護休業制度は要介護家族1人につき、通算93日まで会社を休んで介護に従事できるというもの。これまで対象家族につき原則1回とされていたものが、2017年1月からは通算93日、3回を上限に分けて取得できるようになりました。
この制度を利用するためには、休業開始予定日の2週間前までに書面等で事業主に申し出なければなりません。詳しくは勤務先の総務担当者等に確認してみましょう。
ところで、休業できても給料がもらえなくなると困りますね。介護休業を取得するときに、雇用保険の加入条件等の一定要件を満たしていれば、雇用保険から「介護休業給付金」が支給されるので安心です。支給額は原則として休業開始時賃金日額の67%×休業日数分。ただし、介護休業中に会社から給料が支払われる場合や減額して支給される場合には、給付金が出ない、または減額調整されます。
介護は誰にとっても不安な問題。だからといって不安を放っておけばその不安は大きくなるばかり。まだ早いと言わず、今からでも少しずつ準備を進めていくようにしたいですね。