小室哲哉さんの引退宣言で、介護という問題を改めて考えた人は多いのではないでしょうか。まだまだ親は元気という人でも、突然その日がやってくるかもしれません。介護にはどのくらいのお金がかかるのか、介護保険について知っておくなど、知識があるだけでも、心の余裕が生まれます。いざという時に慌てないためにも、ここで一緒に勉強してみましょう!
他人事ではない!
迫りくる親の介護にどう対処する?
介護とお金の話
2018年2月20日
介護にどのくらいお金がかかるの?
もし自分の親が介護が必要になったら、どのくらいお金がかかるのか気になるところでしょう。
ひと月の介護費用は?
一言で介護と言っても、その状態によって、かかってくる費用は違います。
公益財団法人生命保険文化センターが行った「生命保険に関する全国実態調査(平成27年度)」によると、月々の介護費用の平均額は7.9万円、一時的にかかった費用の合計額は80.3万円となっています。※
※公的介護保険サービスの自己負担費用を含む。一時的にかかった費用とは、住宅改造や介護用ベッドの購入など。
介護はいつまで続く?
そして、介護費用の出費がいつまで続くのか、見通しが立てられないのが頭の痛いところです。同調査によれば、介護期間の平均は4年11カ月となっています。
ただし、この結果は過去3年間に介護経験がある人に、どのくらいの期間介護を行ったのかを聞いたもので、現在介護を行っている人は、介護を始めてからの経過期間を答えています。故に、実際はもう少し長くなるでしょう。
トータルでいくらかかる?
仮に介護期間を5年とした場合、上記の平均額を使って計算すると554万円ほどかかります。
実際は、個々の状況によって、かなり金額は変わってくるでしょう。最低限、このくらいかかると思っておくとよいと思います。
次に、こうした介護費用の負担を軽くするための介護保険サービスを紹介します。
介護保険の仕組みを理解しよう!
介護保険を利用するためには、まずは介護の状態がどの程度なのかを市区町村に申請して、認定を受ける必要があります。
介護保険の認定区分と支給限度額
要支援1、2は介護までは至らない人で、予防サービスを受けることができます。
要介護は1~5まであり、1は部分的な介助が必要な人、数字が大きくなるにつれて重くなり、5は全面的な介助が必要な人となります。
在宅でサービスを受ける場合、1カ月に利用できるサービスの量(支給限度額)が認定区分別に決められており、その範囲内であれば、自己負担額は1割(一定以上の所得者の場合は2割)で済みます。
介護サービスの種類
介護サービスには「居宅サービス」「施設サービス」「地域密着型サービス」の3種類があります。
居宅サービスは、自宅に居ながら受けられるサービスで、訪問介護員(ホームヘルパー)が自宅に訪問し、日常生活の介助を行う「訪問介護」、利用者が日中だけ施設で過ごす「デイサービス」、短期間施設に入居して介護を受ける「ショートステイ」などがあります。ベッドや車椅子などの福祉用具のレンタルサービスも居宅サービスに含まれます。
施設サービスは、「介護老人保健施設」「特別養護老人ホーム」「介護療養型医療施設」の3つの施設で入所者が受けられる介護サービスで、料金は定額制となっています。
《介護老人保健施設》
在宅復帰を前提に、医療ケアやリハビリを必要とする要介護者が入居できる施設です。入居期間に制限を設けています。
《特別養護老人ホーム》
公的に運営されている介護施設のひとつで、在宅介護を受けることが難しい方のための施設です。費用が安価なため、入居希望者が多く、なかなか入居できないという問題があります。
《介護療養型医療施設》
老人ホームの中でも医療ケアが充実しており、介護度が高い人向けの施設となっています。
しかしながら、2018年2月時点で、厚生労働省は2020年までに介護療養型医療施設を廃止する方針を打ち出しています。
地域密着型サービスは、要介護者が、住み慣れた地域で、住民と交流を持ちながら介護サービスを受けられることを目的に、市区町村が指定した事業者が行っているサービスです。小規模な施設へ入居して受けるサービスと、自宅に居ながら受けられるサービスがあります。
サービス料金は単位で表示
介護保険サービスの利用料金は「金額」ではなく、「単位」で表されます。1単位=10円が基準となっており、たとえば、訪問介護で2450円利用した場合、245単位と表されます。
また、地域による人件費や家賃などの差を考慮し、全国を1級地~7級地、その他に分け、最大で20%の加算があります。つまり住んでいる地域によって、1単位の単価が変わってくるというわけです。
いざという時に慌てないために
介護にかかるお金、介護保険について、大まかにイメージできたでしょうか。
介護保険については実際に利用してみないと分かりづらい部分も多いのですが、専門家(ケアマネージャー)とケアプランを作成してから取り組めるので、そこでいろいろと相談できます。(ケアプラン作成は無料です)
もしも介護費用が足りなくなってしまったら?
介護費用は基本、要介護者(親など)が出すものです。
そのために介護費用を元気なうちから貯めておくことが大事なのですが、介護には想定外の費用が発生することも多く、資金繰りで行き詰る可能性もないとは言えません。
その時に、親の代わりに子が負担をするケースがあります。
ここで気を付けなければならない点は、自分(子)の生活を削ってまで支出するのは賢明ではないということです。介護のために仕事を辞めることは一番やってはいけないことです。
そうした事態に備えるためには、要介護者の資産を把握しておくこと、その上で無理のないプランを立てることです。
それでも、不測の事態が起きてしまったら、一人で抱え込まず、地域包括支援センターや福祉事務所など、市区町村の相談窓口を利用しましょう。
介護の話をするとどうしても深刻な話になりがちですが、将来的には福祉サービスは拡充し、制度も利用しやすくなっていくと思います。
この機会に家族と話し合ってみるのもいいかもしれませんね。