家は人生のうちでも、もっとも高い買い物のひとつです。また、一度購入すれば気軽に買い換えられるものでもないため、自分の資産を守るためにも、割高な物件をつかまされて損をするのだけは、絶対に避けたいと誰もが思うはず。でも普段の買い物と違い、物件となると、何を基準に“相場”を見ればいいのかわからない…という人も多いのではないでしょうか。その物件が割高なのかお買い得なのかを簡単に判断できる、便利な法則があるのをご存知ですか?
これであなたも物件マスター!?
物件を買う時に知っておきたい価格のヒミツ
2016年5月26日
物件の“相場”って、どこを見ればわかるの?
「ついにマイホームを買う!」となったとき、さまざまな疑問や不安が頭に湧いてくるのは当然のこと。そのなかで、物件価格が安いのか高いのかわからないという疑問を持つ人は多いのではないでしょうか。
住宅は一生のうちで一番大きな買い物。誤った判断で住宅を購入してしまったとしたら、余計に貯金を食いつぶしてしまう可能性もあり、その結果ライフプランに大きな影響を及ぼしかねません。
マイホームの購入金額が妥当かどうかを判断する基準のひとつとして、「200倍の法則」というものがあります。これは、物件価格が家賃の200倍以内の場合は、その物件は借りるよりも買う方がお得であるというもの。「200倍」という数値は不動産業界の長年の経験則から割り出されたもので、信憑性があるとされています。
例えば、買いたいマンションの価格が4000万円だったとします。近隣の同じクラスのマンションで賃貸にだされているものをインターネットなどで探したところ、家賃相場が18万円だったとしましょう。これを先ほどの「200倍の法則」にあてはめると、18万円×200=3600万円。この物件については、現時点では買うよりも借りた方がお得だ…と見極めることができます。
「利回り」を見ればお買い得物件がわかる
不動産投資の判断基準としては、利回りもチェックすべき重要なポイントです。これは物件価格に対して家賃収入がいくら得られるかという数値をいいます。
例えば物件価格が1000万円で年間家賃収入が80万円なら、利回りは8%(80万円÷1000万円×100)になります。
利回りは不動産の現在価値を表しています。一般に新築マンションの利回りは3~4%程度で、そのマンションが築1年になれば5~6%になります。利回りが高くなっているということは、物件価格が下がっていることを意味します。
築1年でここまで物件価格が大きく下がるのは、新築物件には“プレミアム”がついていることが多く、そのぶん割高になっているからです。
新築物件の価格には、地権者からの土地の仕入れ費用や物件自体の建設費はもちろんのこと、物件販売のための広告宣伝費や集めた建設資金にかかる利息なども含まれています。特に広告宣伝費には、モデルルームに置いておくパンフレットから新聞・雑誌に掲載する広告、テレビCMなどのほか、モデルルームの維持管理費など、さまざまな上乗せ分が加算されています。割合は物件によって異なりますが、2割くらいがこれらの諸経費という場合もよくあります。
1年たって新築でなくなればこれらの上乗せ分がなくなるため、建物の状態はそれほど変わらないにもかかわらず大幅に物件価格が下がるという現象が起きるのです。
利回りが6%程度の物件は価格と価値がつりあっている状態とされており、6%を下回る場合は、実際の価値より価格が上回っている「買い損物件」と判断することができます。この「6%」という数値は前出の「200倍の法則」の基準に収まっており、家を買うときはこの2つの基準でジャッジすると失敗が少ないでしょう。
先ほどの物件なら、年間家賃は18万円×12ヶ月=216万円ですから、「216万÷3600万円=利回り6%」となっています。「家賃200倍の法則」と合わせてこちらの数値も見ると、条件によっては購入を考えてもよい物件と言えるでしょう。
その物件、30年後の価格はどのくらい?
不動産を購入するときには、将来の資産価値も考えなければなりません。このときのポイントは、建物が建っている土地の値段です。
人気の高い地域であれば時間がたっても土地の値段はそれほど下がりませんが、人気の高くない土地や人口が減っていく土地では、資産価値がどんどん下がっていきます。
建物は古くなればなるほど価値が下がっていきますので、これに加えて土地の価値まで下がり続ければ、物件自体の価値はまさに大暴落。同じ金額で購入した物件でも、土地の価値の有無によって30年後の資産価値に倍以上の差がつくこともあるんです。
4000万円で買った家が、30年たってローンをすべて返し終わったとき、3000万円の価値を維持できているのか、1000万円にまで落ち込んでしまっているのか……。老後に売却することを考えている人にとっては特に、とっても大きな問題ですよね。将来の資産価値を減らさないためには、購入時にしっかりと物件の価値を比較・検討し、人気エリアや人口増加率の高い地域で選ぶなど、できるだけリスクの少ない選択をすることが大切です。
今までお話した200倍の法則、そして利回りがよい物件を選べたとしたら、それは「お金の教養」の面からしても、とても素晴らしい買い物と言えそうですね。自分の好みの物件を選ぶことはもちろんですが、長期的な視点も持ちながら、後悔のない物件選びを心がけてみてくださいね。