いまや、「ふるさと納税」という言葉を知らない人はいないのではないかと言えるほど人気のふるさと納税。年末が近くなって節税対策として利用する人もいるでしょう。
ふるさと納税は「納税」という名前ながら、所得控除のひとつ、寄附金控除であることを知ってはいても、寄附金控除ってどんなもの?と聞かれると、良く知らないという人は多くいます。
そこで、今回は寄附金控除とはどんなもので、ふるさと納税以外にどんなものがあるのか、確認してみましょう。
ふるさと納税だけじゃない!?
寄附金控除にはどんなものがあるの?
2017年11月26日
寄附金控除って?
寄附金控除とは、生命保険料控除や医療費控除、配偶者控除、扶養控除などといった所得控除のひとつです。
一般的に、家族構成や個人的事情の違いによって個々人の担税力は違うもの。
例えば、年収が同じなら、シングルの人と子持ち家庭の場合では、一般的に考えると子持ち家庭の担税力は低いですね。
これらの他にも、個人ごとのさまざまな事情を考慮して、課税の公平性を図るために、所得税を計算する際、所得から一定額を控除しようというのが所得控除制度です。
個人や法人が、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し寄附をした場合、要件を満たすことで寄附金控除として所得から控除することができるのです。
特定公益増進法人って?
あまり聞き慣れない「特定公益増進法人」という言葉。寄附金控除をうまく活用するためにも、特定公益増進法人についてまずは理解しておきましょう。
特定公益増進法人とは、公共法人、公益法人等のなかでも「教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する法人」のこと。
具体的には、「独立行政法人」「自動車安全運転センター」「日本赤十字社」「公益社団法人および公益財団法人」「私立学校法第3条に規定する学校法人で一定のもの」などがあります。
寄附金控除でどうおトク?
寄附金控除の金額は、次のいずれか低い金額から2,000円を差し引いた金額です。
- その年に支出した特定寄附金の額の合計額
- その年の総所得金額等の40%相当額
例えば、特定寄附金の金額が50万円の場合で、あなたの総所得金額が200万円としましょう(年収とは異なることに注意)。
この場合、1の金額は50万円、2の金額は80万円ですから、低い方の50万円から2,000円を差し引いた49万8,000円が寄附金控除の金額になります。
仮に所得税率が10%とすると、49,800円分おトクということになります。
住民税は総所得金額等の30%を限度に、その年の特定寄附金額から2,000円を差し引いた額の10%。上記の例だと49,800円ということです。
「実質2,000円の負担でお礼の品がもらえて、その上、税金がおトク」いうフレーズをふるさと納税の説明の中で見聞きするのはこのため。
ふるさと納税も寄附金控除という所得控除制度が適用されるおかげです。
税額控除という方法も!
ところで、特定寄附には「税額控除」という方法もあります。政治活動に関する寄附、認定NPO法人等に対する寄附および公益社団法人等に対する寄附のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することも可能です。
税額控除とは、すでに算出された所得税額から、一定の金額を控除するもの。各人の所得の状況にもよりますが、一般的には、余程の高額所得者でないかぎり、納税者にとって、所得控除よりも税額控除の方が有利といわれています。
どんな寄附でも大丈夫?
寄附といえば子供の頃からやっている赤い羽共同募金や街頭募金、コンビニのレジの横にある募金箱をイメージする人も多いでしょう。
近年の自然災害などからも積極的に募金活動をする団体も増えており、私達にとっても寄附がますます身近に感じられるようになっています。
しかしながら、寄附金控除を適用するためにはどんな寄附でもOKという訳ではなく、「特定寄附金」を支出することで寄附金控除を利用できるのです。
特定寄附金とは、国、地方公共団体や先に見た「特定公益増進法人」などに対する寄附のこと。
特定公益増進法人はそもそも教育・科学の振興や、文化の向上、社会福祉への貢献などを目的として設立されている法人ですから、「特定寄附金」とはつまり、教育やスポーツ、災害支援や環境保全などの社会的な課題に対して協力する目的で行うものと考えられるのかもしれません。
つまり、法律で認められている団体への寄附であっても、寄附をした人に特別の利益がおよぶと認められるもの、また、学校の入学に関してするものは寄附金控除は適用されません。
もちろん、政治資金規正法に違反するものなどは論外です。
なお、新しい資金調達の方法として、クラウドファンディングという言葉を聞いたことがある人も多いでしょう。これは、個人・法人を問わず、インターネットを介して世界の人々から広く資金を集めるもの。資金を提供する先が法人で、一定の要件を満たす場合には寄付金として寄付金控除を受けられる場合があります。
寄付金控除を受けるにはどうすればいいの?
寄附金控除を受けるには、確定申告で申請する必要があります。
その際、確定申告書に特定寄附をしたことを証明する書類等を添付するか、申告書提出の際に提示しなければなりません。
例えば、寄附した団体などから交付を受けた領収書、その団体が特定公益増進法人である旨の証明書の写しなどが必要です。
また、政治活動に関する寄附金に関しては、選挙管理委員会等の確認印のある「寄附金(税額)控除のための書類」が必要になります。
いわゆるふるさと納税として、地方公共団体に対する寄附をする場合、「 地域もあなたもハッピー 知りたい!ワンランク上の『ふるさと納税』」の記事でも紹介しているように、基本的には確定申告が必要なものの、「ワンストップ特例制度」として、確定申告が不要となる方法もあります。
さまざまな寄附があるなかで、寄附先等によって所得・税額控除の別、寄附金控除の申請方法や必要書類が異なることになりますから、最寄の税務署でしっかり確認してみましょう。
確定申告で混雑する前に行くのがおススメですよ。