みなさん、日本人の平均寿命は何歳かはご存知ですか?
2016年の調査では女性が87.14歳、男性が80.98歳で、過去最高を記録しています。
長寿大国日本はよろこばしいですが、社会保障に不安がある…という人もいるかもしれません。
金融庁は「貯蓄から資産形成へ」をスローガンとし、長期・積立・分散投資を通じた資産形成の必要性を打ち出しました。この長期・積立・分散投資をバックアップする制度としてiDeCoやNISAが新設されたのです。これらの非課税制度を上手く使いわけ、あなたも貯金美人になりましょう!
「長期・積立・分散」
貯金美人のiDeCoとNISAの使いわけって?
2017年11月24日
「貯蓄から資産形成へ」 聞いたことある?
日本の個人金融資産の内訳は50%超が現金・預金、15%前後が株式・投資信託です。
アメリカの場合は、現金・預金が14%前後、株式・投資信託が45%超、ヨーロッパ諸国は同35%前後、25%前後となっています。
このように日本の個人金融資産における株式・投資信託の比率は、先進国の中で最も低いのです。
長寿大国日本も少子高齢化問題に直面し、年金支給開始時期も流動的になってきました。
残念なことですが自助努力なくては、安心して老後をむかえることが難しい時代がやってきています。
投資から資産形成へ
2000年代前半に「貯蓄から投資へ」というスローガンが掲げられました。
国が投資を奨励することにより個人金融資産に占める株式・投資信託の比率が大きくなると期待されたのですが、どうも日本人にとって投資という言葉に違和感があったようです。
株式・投資信託の比率は大きくなりませんでした。
そこで今回は「資産形成」という言葉に置き換え、老後資金の自助努力を促そうとバックアップ体制の整備をはじめたのです。
iDeCoの目的は老後資金の自助努力
「貯蓄から資産形成へ」をバックアップするため、国はNISA、ジュニアNISA、iDeCo(イデコ;個人型確定拠出年金)の制度を導入しました。
また2018年1月からはつみたてNISAも新設されます。(口座開設は2017年10月から)
つみたてNISAについては「積立型NISAの創設 今までのNISAとどこが違うの?」をご確認くださいね。
これらの資産形成奨励制度は国がバックアップしているだけあり、税制面でかなり優遇されたものとなっています。
私的年金としてのiDeCo
特にiDeCoは国が老後資金の自助努力を促し、資産形成をバックアップするための制度なので、かなり手厚い税制優遇措置が設けられています。
iDeCoは、基礎年金、厚生年金保険などの公的年金に上乗せして給付を受ける私的年金として位置付けられています。
これまで自営業者等に限られていた加入対象者は、2017年1月から、企業年金を実施している企業に勤めている方や公務員、専業主婦を含め、原則すべての方が加入できるようになりました。
iDeCoを活用する場合は、無理のない金額で計画的に
掛金はそれぞれの状況により限度額が定められています。
毎月の掛金は拠出限度額の範囲内で5,000円以上1,000円単位で任意に設定できます。
加入後の変更は、毎年4月から翌年3月までの間で、年1回のみ可能です。
個人型確定拠出年金は以前からあったのですが、2017年から加入範囲を拡大し、国民にとって身近な存在になったことで、注目されるようになったのです。
掛金の上限は状況に応じてさまざま
掛金の限度額は、自営業者等が68000円/月です。
また今回、新たに加入対象になった方々と掛金の上限は公務員が12000円/月、会社員(企業年金なし)23000円/月、会社員(確定給付企業年金なし、企業型確定拠出年金あり)20000円/月、会社員(確定給付企業年金あり、企業型確定拠出年金なし)12000円/月、専業主婦23000円/月です。
ただ、専業主婦(所得税の課税限度額内のパートタイマー)場合は、iDeCoのメリットの一つである掛金の所得控除の恩恵に授かれません。
また、何らかの理由で、その月の掛金を支払わなかった場合は、後日に振込むといったような追加払い込みはできません。
このような事態を避けるためにもiDeCoを活用する場合は、無理のない金額で計画的にしたいものです。
受取り方も、いろいろな選択肢がある
60~70歳の間で、ご自身のタイミングに合わせて受取ができます。
受取り方は、受取りが可能となったときに一括で受取るのか、分割で受取るのか、一括と分割の併用方式で受取るのかと、選択肢が多いことも便利です。
万一死亡した時は、ご遺族に残高が死亡一時金として支払われます。
また、所定の障害状態になった時は、障害給付金として、60歳未満でも受取ることができるのです。
休止・再開は簡単だが、脱退には厳しい条件も
掛金拠出の休止・再開は、申し出手続きをすれば、いつでも可能です。
休止・再開は比較的簡単ですが、完全にやめてしまう(脱退)には、厳しい条件があります。
中途での解約・引き出しは、原則できません。
また、借り入れの担保とすることもできません。
納付方法は自営業者、無職の方は、ご本人口座からの引き落としとなります。
会社員の方は、給与天引きまたはご本人口座からの引き落としの選択ができます。
前納、追納という制度はないため、口座引落日に残高がなく掛金を納付できない場合、その月は未納扱いとなります。
iDeCoのデメリットも知っておこう
手厚い税制優遇措置があるiDeCoですが、デメリットもあります。
老後資金の自助努力を促す制度であるため、「60歳まで引出せない」というのが最大のデメリットです。
また、「自分でどのような商品で運用するのか決めなければならない」「制度加入時に支払う手数料と、毎月支払う口座管理手数料という2つの手数料が発生する」といったこともデメリットです。
iDeCoとNISAを使い分けて、これであなたも貯金美人!
iDeCoとNISAは、制度の導入目的および特徴を理解した上で、上手く使いわけてこそ「貯金美人」になるのです。
資産運用を考えているのなら、解約や休止に制限が少なく、運用対象に株式も含まれているNISAから始めるべきではないでしょうか。
NISAなら、換金の制約もなく、利用するもしないも、あなた次第です。
iDeCoを始めたものの、あわなくてすぐに辞める!なんてときは、思わぬコストが発生し、iDeCoのメリットを享受するどころか、余計なコスト負担になってしまうこともあります。
iDeCoの制度上のメリットは、60歳まで継続してこそ100%発揮されるということを覚えておくといいでしょう。
いずれの場合も「長期・積立・分散」は投資、資産形成の大原則です。
これを念頭に、どの制度が自分のライフプランに合っているのかを考え、「貯蓄美人」の第一歩を踏みだしてくださいね。