投資初心者でも始めやすい「ドルコスト平均法」という投資方法をご存知ですか。ルールに従って毎月投資するだけなので、仕事や家事で忙しくても、定期的にお金を運用することができます。今回は、ドルコスト平均法のメリットとデメリットを一挙にご紹介。ドルコスト平均法で、損をしてしまうケースも併せて説明しますよ。
投資初心者が知っておきたい
分かりやすい投資方法とは?
2017年8月1日
ドルコスト平均法とは?
ドルコスト平均法とは、一定期間ごとに、一定金額で、同じ投資対象を買い付ける投資方法のことを指します。例えば、「毎月1日に、A投資信託を3万円ずつ買い付ける」といった具合ですね。
投資信託の市場価格は、買い付けのタイミングによって刻々と変化していきます。今日は単価が100円であっても、来月は値上がりしていて200円になっているかもしれないし、逆に値下がりして50円になっているかもしれません。
ドルコスト平均法は、この金融商品の市場価格の値動きに関わらず、毎月同じ金額分だけ投資していくという方法です。
それでは、このドルコスト平均法には、どのようなメリットとデメリットがあるのかを詳しく見ていきましょう。
ドルコスト平均法のメリットとデメリット
メリット1. 投資初心者でも分かりやすい
先ほどご説明したように、ドルコスト平均法は、市場や経済状況に関わらず、毎月ルールに従って買い付けをしていきます。
そのため、これから市場や景気がどうなっていくのか、この商品の値段は将来上がるのか下がるのか、といったことをいちいち考えずに、機械的にお金を運用することが可能です。
この分かりやすさが、ドルコスト平均法が投資初心者の方にオススメされる理由ですね。
とりあえず少額で投資を始めてみたい、気になっている投資信託があり買い続けたいなどの理由がある方には、ドルコスト平均法は向いているといえるでしょう。
メリット2. 毎月のお金のやりくりが見えやすい
さらに、ドルコスト平均法は、「毎月1日に、A投資信託を3万円ずつ買い付ける」というルールに基づいているため、毎月資産運用に使うお金を予測しやすく、やりくりしやすいというメリットがあります。
毎月のお給与は、一定の比率に従って、先取り貯金や家賃、食費などの出費に充てた方が分かりやすく、しっかりお金をやりくりすることができます。ドルコスト平均法を利用すると、「毎月3万円を運用する」とあらかじめ分かっているので、お金の計画が立てやすいですね。
お金のやりくりについて詳しく知りたい方は、「手取り15万円でも大丈夫!家計のやりくり黄金比率とは?」の記事を参考にしてみましょう。
デメリット1. 買い付け手数料がかかる
ドルコスト平均法は、毎月商品を買い付けるため、その度に買い付け手数料を払わなければいけません。
例えば、投資信託をまとめて12口購入すると手数料は1回分ですが、これを毎月1口ずつ、12回に分けて1年かけて購入すると、手数料は12回分に。
ドルコスト平均法でお金を運用する場合は、買い付け手数料がかからない投資信託(ノーロード投資信託)の購入を検討したり、手数料が低めのネット証券を利用して、買い付け手数料を抑える工夫をすると良いでしょう。
デメリット2. 投資タイミングを逃す
毎月決まったタイミングで購入するため、誰でも分かりやすいドルコスト平均法ですが、逆に、「買い!」のタイミングを逃すという可能性があります。
例えば、何かをきっかけに、一気に市場の金融商品の値段が下がり、これから上がっていくということが予想されている場合には、3万円と言わず、ここ3ヶ月分の運用資金9万円を一気に投資した方が、利益を増やすことができるかもしれません。
逆に、購入している投資信託の運用成績が悪く、これからも値上がりを期待できない場合は、そんな商品には投資しない方が良いのですが、ドルコスト平均法のルールに忠実に従ってしまうと、それでも、毎月3万円を投資することになってしまいます。
このように、ドルコスト平均法は、市場の値動きに迅速に対応できないので、獲得できるはずの利益を逃したり、逆に不利な価格で商品を購入して損をしてしまうケースがあるのです。
デメリット3. 一つの商品に集中投資してしまう
ドルコスト平均法の基本は、同じ商品を毎月買い続けるというものなので、ある決まった商品にのみ集中的に投資をしてしまうというデメリットがあります。
一つの商品に集中投資をしてしまうと、その商品の値段が下がった時に、大きな損をしてしまうというリスクがありますね。
お金を運用する場合は、リスクを減らすために、いろいろな商品に分散して投資する「分散投資」が良いとされていますが、ドルコスト平均法だとそれが難しいのです。
そこで、毎月3万円を運用資金とする場合は、A投資信託を3万円毎月購入するドルコスト平均法ではなく、A商品、B商品、C商品の3種類の投資信託に1万円ずつ分散投資をしてドルコスト平均法を行う方が、リスクを分散させることができるでしょう。
ただし、この場合は、先ほどご説明したように、「買い付け手数料」が高くなってしまうことがあるので、事前に確認することが大切です。
ドルコスト平均法にチャレンジする時の心得
このように、ドルコスト平均法は初心者の方にもチャレンジしやすいというメリットがありますが、注意しなければならないポイントがいくつかあることが分かりましたね。
「ドルコスト平均法で毎月お金を運用しているから安心」ということは決してなく、市場や経済状況、さらに自分の手持ちの運用資金に応じて、お金の運用方法を適宜見直していく必要があります。
ドルコスト平均法でも損をしてしまうケースがあるということをしっかり頭に入れてから、資産運用にチャレンジするようにしましょう。