大切なお金は、できるだけムダにはしたくないですよね。ムダ使いはもちろんいけませんが、ただ貯金ばかりしているというのも、お金を生かすチャンスをみすみす逃してしまっているかもしれません。大切なのは、自分にとって本当に必要なお金の使い道を厳選できているかということ。お金の力を最大限に生かして、自分らしく豊かな人生を生きるための考え方をお教えします。
投資と浪費
あなたはどっちにお金を使っている?
2016年5月20日
いいお金の使い方と悪いお金の使い方、境界線はどこ?
せっかく家計管理をしてお金を貯めても、お金の使い道を間違えてしまうと上手にお金を活かすことができません。
では、お金を上手に生かすには、どうすればよいのでしょうか。
実は、お金の使い方は、次の3つに分けられます。「生き銭(=投資)」「回り銭=(消費)」「死に銭(=浪費)」の3つです。
『お金の教養』(大和書房)などの著書があり、金融学習協会理事長でもある泉正人さんは、「払った価格<価値」であるのが投資、「払った価格=価値」であるのが消費、「払った価格>価値」であるのが浪費だといいます。
つまり、限りあるお金を使って最大限のパフォーマンスを生み出すには、できる限り自分の将来への投資となるような、生き銭としてのお金の使い方をしていくことがポイントとなります。
ここで覚えておいてほしいのは、3つの使い方すべての基準になっている「価値」そのものの感じ方が、人によって異なるということです。
とかくお金の使い方に対する価値観は、人によって千差万別。ある人にとっては生きがいといえることでも、別の人にとっては浪費にしか映らない、そんなことはめずらしくありません。
仕事が終わってから飲みに行くのがなによりのストレス解消法…という人に、「それはただの浪費だからやめたほうがいい」というのは単なる主観でしかありません。スターバックスでコーヒーを飲みながら読書する時間が好き、という人に、「コーヒーなら自宅で飲んだほうが安上がりなのに」と思ったところで、それがムダなお金の使い方だと決めつけることはできないのです。
投資 or 浪費、見分けるときのチェックポイント
ただし、他人のお金の使い方に自分の主観を挟むことは意味がないにしても、お金はその人が使いたいように使えばいい、とすべてを肯定してよいというわけではありません。
なぜなら、使えるお金の額には限りがあります。自分や将来への投資だからという大義名分のもとに、すべてのことに気の向くままお金を使うわけにはいかないのです。矛盾するようですが、ある程度の客観性を持って自分の主観を精査し、優先順位をつけていくことが大切なポイントになります。
自分にとってどのようなお金の使い方が「投資」なのかがわからなければ、できるだけシンプルに考えてみて下さい。例えば、「明日、死ぬとしたら、何をやり残したと後悔する?」「20年後、どんな生活をしたい?」「自分がやりたくないことを3つ挙げるとしたらなに?」…というような質問です。
このような質問を自分に投げかけることで、あわただしい毎日の中で見落としがちだった大局的な夢や願望が浮かび上がってきます。同時に、それをかなえるために必要な物事の優先順位も見えてきます。おのずと今何にお金を使うべきで、何をガマンすべきなのかということがわかってくるでしょう。
こうした夢や希望への道筋がはっきりしているものほど生き銭(=投資)となり、反面、関係が薄いものほど死に銭(=浪費)ということができるのです。
「金融商品=投資」とは限らない
多くの人は「投資」と聞くと、株式投資やFXといった、金融商品への投資を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし、ここでいう生き銭(=投資)とは、何も金融商品に限定してお金を投資する、ということを指しているのではありません。
最近では「自己投資」という言葉もよく耳にするようになりましたが、投資とは、一言でいえば、リターンが得られることに期待してお金を使うことです。
ただし、投資対象が金融商品であれ、自分自身であれ、それを生き銭(=投資)として活用するためには、リターンを明確に意識するということが必要不可欠。
例えばどんな仕組みなのかもわからないまま、銀行の窓口ですすめられた金融商品を購入する。これは本当の意味での「投資」とはいえません。むしろわからないまま投資したお金は死に銭(=浪費)になってしまう可能性があります。
「自分磨き」という大義名分のもとに、十分な検討もせずエステや英会話などにお金を使うのもNG。お金を使うことで自己満足しているだけでは、投資としては不十分です。それによって最終的にどのようなリターンを求めているのかを自覚することが、生きたお金の使うための必須条件なのです。自分の糧になる「投資」をぜひ探してみてくださいね。