ここ数年来、出版業界では売れ筋の書籍というのはだいたい決まっています。2017年現在も、男性向けは「ビジネス本」、女性向けは「ライフスタイル本」のジャンルがとても盛況です。今回は、非常に面白い成長展開をみせている女性向け「ライフスタイル本」について解説します。
幸せな女子になるための
アガる↑ブックシェルフ
2017年6月9日
恋愛指南が一転…?!
最近では、書店の陽の当たる場所に置かれている女性向け「ライフスタイル」本ですが、10年前にこの位置にあったのは、いわゆる恋愛本でした。恋愛小説も、恋愛指南本も女性向け書籍の王道といわれ、15年くらい前には携帯小説ブームもありました。いわゆるハーレクインロマンスなどの海外ロマンス物も根強いファンに支えられ、書店の一角に確固たるスペースを確保していました。
しかし、いまの時代に携帯小説のような恋愛本が出版されても、当時ほどの人気は得られないでしょう。 なぜなら、現代の女性が書籍に求めているものが変わってしまったように感じるからです。
人気ジャンルに変動があったのはどうして?
それは「Love」から「モテ」への興味の移り変わりが挙げられます。この2つには明確な違いがあります。「Love」は2人以上必要なのですが、「モテ」は実は自分ひとりでも完結できます。恋愛指南本で男の心理や好みを勉強し、それに合わせて恋愛勝者をめざすよりも、自分を磨くことで 獲得できる「モテ」の方が、いまの時代にフィットしているのかもしれませんね。
言い寄ってくる男性にも、ある程度フィルターをかけられる気がします。 自分磨きに熱心な女性の多いこの時代、幸せになる近道は女性たち自身の方がよくわかっているようですね。
自分磨きで得られるのは?
電子書籍が広く流通するようになったとはいえ、やはり書店で本を自分の目で見つけるのは格別の楽しみがあります。毎日、たくさんの本が出版されていて、週に1度行くだけでも、商品ラインナップがずいぶん変わりますので、ぜひ書店に行くことをおすすめしたいのですが、お忙しい方にとってはなかなか時間が取れないようです。
そんな方に、今どんなライフスタイル本が売れているのかをお伝えしたいと思います。2017年現在、書店で多く見かける書籍(新宿ブックファースト調べ)をご紹介したいと思います。
オトナ女子のためのモテしぐさ図鑑
ワニブックスから出版されている美人開花シリーズの一冊として今春発売になりました。このシリーズは女性のためのマナー指南のシリーズとして人気があり、前作で「オトナ女子のための食べ方図鑑 食事10割で体脂肪を燃やす」というヒットが出ています。そして、今回は「モテしぐさ」というド直球の内容です。
「デカい声でバカ笑い、素直といっても限度あり」、「ワキが開いてるだけで見た目3kg増」などなど、女性のモテにはつながらない行為に対して徹底的にダメ出しをしています。
この本の著者は、昨年ディスカバー21より出版された「美人なしぐさ」の著者の中井信之氏であり、彼は芸能人の卵を5000人以上磨き上げたポージングディレクターという耳慣れない肩書きの持ち主ですが、さすが着眼点はなるほど、と思わせるものがあります。
オトナ女子の気くばり帳
またまた、オトナ女子という言葉が入ったタイトルですが、出版社も著者も違います。確か、大人女子という言葉を最初に使い出したのは宝島の40代向けファッション誌の「GLOW」だったと思いますが、当時は、40代に「女子」という言葉を使うなんて! などとバッシングもありましたが、使い勝手のよい言葉として、ずいぶん浸透したようです。
さて、こちらの本の内容ですが、小さな気配りのススメというのでしょうか、 知らない人と打ち解けたいときは「緊張しますね」と自分から言ってみたり、相手のチャームポイントを具体的に褒めてみたりと、ある意味当たり前のことも多いのですが、こういう気配りをすると相手だけじゃなく自分も気持ちよくなるよ、と主張している点がいまの時代を象徴しているな〜、と思わせる本でした。
仕草を変えたら外見を変える
オトナとしての仕草や気配りなどの内面に注目したら、次に変えるべきは外見の部分。とはいっても、ダイエットなどの身体の変化ではない部分へ着目した本が売れているようです。
服を買うなら、捨てなさい
こちらの本は、「断捨離」ブーム以降にずっと続いている片付けや整理術、あるいはミニマリストという生活哲学の流れの中の書籍です。「持たないスタイル」を提唱する著者は、ファッションについて多くの人が持っている勘違い、たとえば「選べる服がたくさんあることはオシャレの証拠」というのは、ダサくなる原因だからすぐに捨てなさい、と提唱しています。
イマイチの服を着るくらいなら、好みの服が2、3種類に偏っても構わない、なんども同じ服を大切に着なさい。そして、買い換えるときも似たような服になっても構わないといいます。 なかなか衝撃的なタイトルですが、服選びのセンスに力を注ぎたい女性にとっては目から鱗の内容が多いのではないでしょうか。
断捨離についてはこちらの記事でもおススメしているので、よければチェックしてみてくださいね。
内面、外見、最後はアレの使い方…!?
内面を磨き、外見に気を使い…とさまざまな自分磨きの本を見てきました。最後にご紹介するのは、生き方に関係してくる「お金」の使い方について関わってくる本です。
美しく生きる女(ひと)のお金の作法
こちらの本も、自分磨き系の本なのですが、自分磨きとお金の使い方を組み合わせた珍しい企画の本です。「服・肌・髪・ネイルー“美投資”のバランスを決める」、「財布は家計のクローゼット。できるだけ小さく整える」など、生活に即したお金の使い方を指南してくれるなかなかみない稀少な本ですね。男にモテたいだけじゃなく、お金にもモテたいという女性の方は必読だと思います。こちらから購入することができますよ。
時代によって読まれる本も変わっていく
雇用機会均等法が施行され、女性の社会進出が始まって、まだわずか30年。(1986年施行)第一期生がようやく、その人生を振り返れるようになった時代、女性のライフスタイルはまだまだ試行錯誤を繰り返しています。さまざまなライフスタイルの提唱に耳を傾けたいと思う女性のニーズに合わせて、これからもさまざまな女性向けライフスタイル本が刊行されるでしょう。
今回、取り上げたライフスタイル本で興味を持たれた方は、ぜひ書店に足を運んでみましょう。思わぬ本との出会いで人生観が変わってしまうかもしれませんよ。書店はいろんな人生と出会う魅惑のスポットです。