いつか、その日がきた時に慌てないための大切な知識。遺産相続以外のお金の手続き、処理をお教えします。
故人の預金から葬式代を
引き出したらダメなの?
〜遺産相続以外のお金の手続き 〜
2017年3月7日
ある日、突然やってくる死
ある日、突然やってくる死。いくら準備をしていたとしても、死んだ本人が絶対に準備できないこともあります。なぜなら、病院で死ぬ以外の人にとっては、昨日まで普通に生きていたわけで、ガスや水道、その他のライフラインにまつわるお金はそのまま、ですよね。
「明日、死ぬかもしれないからガスを止めてください」なんてガス会社に電話をできる人はいません。
生きている限り、ずっとお金はかかるものですが、死んだらそれ以上かからないように、周辺の人が代わりに手続きをすることになっています。
葬式代を故人の口座から引き出すのってNG?
差し当たっての出費は、故人の告別式、葬式代だと思います。葬式代は国税庁では相続財産とはみなさずに、非課税になります。なので、法定相続人の断りなしに、軽い気持ちで故人の口座から勝手に引き出してトラブルになる場合も多々あります。通常、遺族が銀行に知らせない限り口座は凍結されませんので、暗証番号さえ知っていれば難しいことではありません。(口座が凍結された後だと、口座からお金を引き出すのに法定相続人すべての同意が必要になります)オススメの方法としては、故人が現金で葬式代を用意しておくか、相続人の誰かが代表して立て替えるのが一番無難な方法でしょう。
※葬式代に含まれない葬式関連費用
(1)香典返しのためにかかった費用
(2)墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
(3) 初七日や法事などのためにかかった費用
ライフラインの名義変更
もしも、故人と同居していて故人の死亡により口座が凍結されたとしたら、電気ガス水道など毎月自動的に引き落とされるようなライフライン費用が払われない事象が起こります。
この場合は、速やかに契約者名義と契約口座を変更する手続きを行う必要があります。
・ 契約者の変更
・使用口座の変更
問い合わせ窓口に電話をかければ、スムーズに応対してくれるので、落ち着いたら手続きを行いましょう。(通常2ヶ月以内)
死亡後すぐに届けが必要な手続き
死亡届や埋葬許可申請書などは葬儀社の人が代行してくれることもありますが、お金にまつわる手続きは、遺族が行わなくてはいけません。
・年金受給停止の手続き
故人が65歳以上で年金を受給していた場合は、死亡後すみやかに(国民年金は14日以内)市区町村の国民年金課などの窓口に行き、年金受給者死亡届や年金証書などを届け出る必要があります。しかし、届けをしないままに不正に年金をもらい続ける事件が相次いでいます。年金機構側のシステム上の不備もあり対応が急務とされていますが、露見した場合は詐欺罪として刑事罰に処せられます。
・介護保険資格喪失届
年金受給と同様です。市区町村の福祉課の窓口にいく必要があります。
・その他
生命保険を受け取るための手続きや、遺族年金の請求など、役所に通う回数も頻繁になる遺族もいます。
不動産、自動車、携帯電話、クレジットカード、ゴルフ場の会員権など、故人の名前と紐付けられている資産はすべて変更手続きが必要ですが、これらは相続税とも絡んできて、より一層複雑になります。それはまた別の機会に。