2016年8月1日に、金融緩和政策の強化や長期国債の買入れなど、日本の金融政策のニュースが発表されました。これらの報道を受け、日経平均株価や円の値動きは、大きく変動をしています。経済用語で、円高・円安といいますが、そもそも、円高・円安についてしっかりと説明できますか?普段ニュースで何気なく聞き流す円高・円安について、その定義をきちんと確認してみましょう。
円高と円安
日本にとっていいのはどっちなの?
2016年8月29日
円高や円安とはどういう状態?
新聞やニュースで毎日耳にする円高と円安という言葉。どういう状態かもう一度チェックしてみましょう。
円高とは?
まずは円高の状態についてです。 円高とは、円の価値が、海外の通貨に比べて高い状態を指します。 例えば、手元にある1万円をドルに両替するとします。円とドルの交換比率を表す為替相場が、1ドル=100円であれば、1万円は、100ドルに交換できますね。しかし、もし為替相場が1ドル=80円であれば、1万円は、1万を80で割った125ドルになります。 このように、同じ1万円という金額でも、1ドル=80円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、多くのドルを取得できるので、円の価値が高い状態、つまり円高であるということになります。
円安とは?
では、逆に円安の状態を見てみましょう。 先ほどと同様に、手元にある1万円をドルに両替するとします。 為替相場が、1ドル=100円であれば、1万円は100ドルです。しかし、もし為替相場が1ドル=125円であれば、1万円は、1万を125で割った80ドルになります。 このように、1ドル=125円の場合は、1ドル=100円の場合と比べて、同じ1万円であっても、より少ないドルしか取得できないので、円の価値が低い状態、つまり円安ということになります。 円高と円安の状態を理解できたでしょうか。 では、実際私たちが海外旅行に出かける時、円高と円安、どちらの方がおトクに買い物ができるか、すぐに判断できるでしょうか。詳しい解説を見ていきましょう。
海外旅行に行くなら円高がおトク?
ハワイやヨーロッパなど海外旅行にでかけた際に、ブランドもののカバンや靴など、お買い物を楽しむ人も多いのではないでしょうか。 そこで問題です。ハワイで200ドルのカバンを買う場合、1ドル=80円の時と、1ドル=100円の時と、1ドル=120円の時では、どれが一番おトクに買い物ができるでしょうか。 正解は、「1ドル=80円の時」が最もおトクに海外で買い物をすることができます。 それぞれの為替相場の時のカバンの値段を計算してみると、以下の通りになりますね。 1ドル=80円の時、200ドル×80円=16,000円 1ドル=100円の時、200ドル×100円=20,000円 1ドル=120円の時、200ドル×120円=24,000円 このように3つのケースを比較してみると、海外旅行をする時は、「1ドル=80円の時」、つまり「円高」の状態が一番おトクになります。旅行する時期や、買い物をする時期を選ぶ場合は、為替相場に注目してみましょうね。
日本経済にとっていいのは円高?円安?
それでは、次に日本経済について考えてみましょう。 日本経済にとって、円高と円安では、どちらの方が良い状態と言えるのでしょうか。これは、一概にどちらが良いとは言えません。日本の各企業によって状況が大きく変わってきます。
企業によって「円安」「円高」の価値観は大きく変わる
例えば、自動車を日本で製造して、海外に輸出している会社を考えてみましょう。 車の値段を1万ドルに設定してアメリカで販売している場合、日本円で換算すると、車の値段は1ドル=80円の時は80万円、1ドル=100円の時は100万円、1ドル=120円の時は120万円となります。 「1ドル=120円の時」つまり「円安」の状態が、一番売上高が大きくなりますね。 一方、石油をサウジアラビアなどの海外から輸入している日本の会社を考えてみましょう。石油の値段が100ドルと場合、日本円で換算すると、石油の値段は1ドル=80円の時は8千円、1ドル=100円の時は1万円、1ドル=120円の時は1.2万円となります。 輸入している企業からすると、「1ドル=80円の時」つまり「円高」の状態が、一番安く石油を買うことができるため、おトクですね。 このように、日本の企業の場合、輸出中心の企業形態なのか、輸入中心のビジネスを行っているのかどうかで、円安と円高のどちらの方が良いかということが決まってくるのです。 日本は、一般的に、商品を海外に輸出している企業が多いため、円安の状態の方が、景気が良い傾向がありますが、日本政府は、急激な円高や円安にならないように監視して、さまざまな政策をとっているのです。 いかがだったでしょうか。円高や円安がどのような状態か理解できましたか。 このような言葉が分かってくると、日々の経済ニュースも興味を持って聞くことができますね。
これからは、日本経済により関心を持って、ニュースに耳を傾けてみましょう。 また、この差益を利用した外貨預金についての記事もこちらの記事でご紹介しているので、ぜひチェックしてみてくださいね。