最近はコインチェックの仮想通貨不正アクセスのニュースが紙面をにぎわせていますね。数年前にはビットコインの消失事件が話題になったことが思い出されます。投資の1つの選択肢としてにわかに人気が出てきた仮想通貨ですが、実はまだまだ法整備も追いついていない新しい取引通貨のため、有事の際の消費者保護については、遅れているのが現状です。こんなときだからこそ、改めて預金保険制度をはじめとする、投資に関する法制度をおさらいしてみましょう。
もしかしてお金が帰ってこないかも…。
いまこそ知っておきたい
お金を守る法律って?
2018年2月15日
預金は安全?
少し前までは給料日には通帳をもって銀行窓口、ATMへ並ぶという光景が見られましたが、最近ではネット銀行やネットバンキングが浸透し、銀行窓口へ赴くことも少なくなりました。
また銀行窓口のない、ネット銀行も従来の銀行と同様に一般化してきています。
すべてがネット上でやり取りになり実際の現金を手元においておくことがすくなくなった現在、果たして本当に預金は安全なのでしょうか?
預金保険制度とは?
預金保険制度とは、金融機関が加入する保険制度で、金融機関が預金保険料を預金保険機構に支払います。万が一、金融機関が破綻した場合には、預金者の預金は、この保険制度を利用し一定額の預金等が保護されます。
ただし、外貨預金、譲渡性預金、金融債などは本制度の対象外となります。保護対象のうち、決済用預金口座(当座預金や利息のつかない普通預金)は、全額が保護され、一般預金は、合算して元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
預金は分散させて
ここでのポイントはこの保護金額は、1金融機関ごとということ。つまり1つの銀行しか口座を持っていない場合、保護金額以上の部分は破綻した銀行の財産状況によって返済されない可能性があるということです。
預金は安全だからと1つの銀行にすべてを預けるのではなく、銀行口座も複数銀行に分散させておくことがリスクヘッジとなります。
ネット銀行も預金保険制度の対象?
預金保険の対象金融機関は、日本国内に本店のある銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、信金中央金庫、全国信用協同組合連合会、労働金庫連合会、商工組合中央金庫で、加入は法律により義務化されています。
ただし、対象金融機関であっても、海外の支店は対象外となり、外国銀行の在日支店も対象外です。
対象銀行にはネット銀行も含まれており、2018年2月1日時点では、以下のネット銀行が保険対象となっています。
(対象ネット銀行)
新生銀行、あおぞら銀行、ジャパンネット銀行、セブン銀行、ソニー銀行、楽天銀行、住信SBIネット銀行、イオン銀行、ゆうちょ銀行、大和ネクスト銀行、じぶん銀行
SBJ銀行、新銀行東京
投資にリスクはつきもの、でもまったく保護されないの?
仮想通貨を投資のスタートとして扱った人もいるかもしれませんね。
仮想通貨に限らず、投資には必ずリスクがついて回りますが、こうした投資における消費者・投資者保護ルールがあります。そのルールとして「金融商品販売法」「金融商品取引法」が制定されています。
金融商品販売法とは?
金融商品販売法(金融商品の販売等に関する法律)は、金融商品を販売する業者が、商品を販売する際、その金融商品の持つリスクなどの「重要事項」の説明義務を定めています。
商品販売者が、当該重要事項の説明義務を怠り、その結果として、購入した顧客が損害を被った場合には、販売者が、損害賠償責任を負う事になっています。
つまり、お客側は、リスクを十分に理解したうえで購入しなければならず、多くの場合購入の際に、重要事項の説明を受けたか否かの確認を求められます。
しっかりと説明を受けて
銀行や証券会社経由での購入の場合、当該法規制をしっかり踏まえた手順を踏んでいることがほとんどですが、知り合いから薦められた、個人の投資化経由で紹介してもらった案件などは、時に重要な事項の説明がなされていないケースがあるかもしれません。
また信頼できる銀行や証券会社からの説明を受けたとしても、理解できていない場合には面倒くさがらず、しっかり自分自身がそのリスクを理解できるまで説明を求めることが重要です。
金融商品取引法とは?
金融商品取引法とは、様々な種類の金融商品があるなかその特徴の違いから法的隙間がでないように整備された法律で、主に以下の内容についての規制、規定が定められています。
・広告規制
・リスク、手数料などの表示明確化
・利益見込みについての過大表示や誤認を招く表示を禁止
・契約時・販売時等におけるルール
・契約締結前、契約締結時等の書面交付の義務づけ
・虚偽説明の禁止
・取引によって生じた損失の補てん禁止
・適合性の原則(顧客の知識、経験、財産の状況を鑑み、不適当と認められる勧誘を行わない) など。
金融商品取引法の対象になるものは?
では、金融商品取引法の対象となるのは一体どのようなものなのでしょうか?
以下のものが、対象商品として定められています。
・金融商品取引法の対象は投資性のある金融商品
・仕組預金、外貨預金、変額年金保険など投資性のある金融商品も規制の対象
・国債、株式、投資信託などの有価証券や有価証券デリバティブ取引
・集団投資スキームにて投資を行うファンド等
・金融先物取引のほか、金利・通貨スワップ取引、さらには天候デリバティブ取引、クレジットデリバティブ取引など有価証券以外のデリバティブ取引
・信託受益権
・抵当証券
仮想通貨は、金融商品取引法の対象になるの?
冒頭に出てきた仮想通貨ですが、果たして金融商品取引法の対象となるのでしょうか?
結論から言えば、仮想通貨は現時点では対象外となっています。
つまり、消費者、投資家保護を目的として整備されているルールは適用されず、現時点ではすべて消費者、投資者の自己責任となっているのです。
まとめ
・預金は預金保険制度で保護されるが、上限は1金融機関での合算1000万円まで。
・外貨預金は預金保険制度の対象外
・投資家・消費者を保護する目的として、金融商品販売法と金融商品取引法がある。
・リスクなどの重要事項は納得するまで説明を求めること。
・仮想通貨は、金融商品取引法の適用外。リスクは自己責任。
銀行の預金制度をはじめとし、今回紹介した制度について、ぜひ覚えておくとよいでしょう。