何かあったときに入っていればよかったと思うのが保険。でも加入しても何もなければお金がもったいないし、だからといって保険はやっぱり何かあってからでは遅いもの。しかし最近では少額の保険料で短期間の補償を得られる保険が出てきています。これなら必要な時だけ加入して保険料のムダも防げそうですね。
月々1,200円の差に!
お金のムダにならない保険で家計再生
2018年1月23日
最近よく聞く少額短期保険って?
少額短期保険とは、その名が示すとおり、保障金額が「少額」で、保障期間が「短期」の保険です。
2006年4月の保険業法の改正に伴い発足した少額保険業ですが、最近始めて名前を聞いたという人も多いかもしれません。
一般社団法人少額短期保険業協会によると、2017年12月4日現在で96事業者が登録。
取扱している保険も生命保険、医療保険、家財保険、個人賠償責任保険、ペット保険などさまざまな種類があります。
少額・短期ってどれぐらい?
保険期間は1年以内、ただし損害保険分野については2年以内と決められています。
保険金額は、保険種類によって法律で最高金額が決められています。
例えば、死亡保険では保険金の最高限度は300万円まで。しかし会社によっては同一商品で、20万円、40万円、60万円、100万円というように、最高限度の範囲内でいくつかの保険金額プランを設けています。
また、損害保険の最高金額は1,000万円までですが、会社や商品によって最高限度の範囲内で複数タイプの保険金が設定されています。
なお、生・損保、医療保険とさまざまな種類の少額短期保険がありますが、すべてを合わせて1,000万円までとされています。
どこで加入できるの?
「生命保険会社」と「少額短期保険業者」は法律できちんと区分されています。
この区分というのは、取扱商品の内容や制限以外に事業規模の制約や監督省庁など。たとえば「保険会社」の監督省庁が金融庁であるのに対し、少額短期保険業者は「財務局」が監督しています。
これらの区分は、つまり、一般の保険会社は少額短期保険を取扱していません。
冒頭で述べた現在96ある少額短期保険業者で申込みをしなければなりません。
業者それぞれに取扱う保険種類が異なりますから、まずは少額短期保険業協会のサイトで登録業者のリストを確認してみるといいでしょう。
※一般社団法人少額短期保険業協会HP「少額短期保険業者登録一覧」
少額短期保険って、保険料も安いの?
では、少額短期保険は一般の保険と比べてどのぐらいおトクなのでしょうか。
例として、医療保険でみてみましょう。保険料は加入年齢35歳、女性、入院給付金日額10,000円でシミュレーションしています。
一般の医療保険(A社) | 少額短期医療保険(B社) | |
入院したとき | 1日あたり10,000円 |
|
手術したとき |
|
なし |
放射線治療を受けたとき | 1回につき10万円 | なし |
個人賠償責任保険 | なし | 1,000万円限度 |
保険期間 | 終身・終身払い | 1年 |
月額保険料 | 3,040円 | 1,820円 |
両者を比べると、少額短期医療保険の方が月々1,220円、年間に換算すると14,640円安いのが分かります。
保障がイマイチ充実してないのでは?
上の表をみて分かるように、保障内容はA社の一般医療保険の方が充実しています。
実のところは保障内容や保障期間などが異なるため、保険料に関して損得を言い切ることはできません。
しかし、医療技術の進歩に伴い、入院日数は短くなっている現状。
例えば、厚生労働省の「医療給付実態調査(平成27年度)」をみてみても、30代女性に多い入院「乳房及びその他の女性生殖器の疾患」では、1件あたりの平均入院日数は約5日間。「乳房の悪性新生物」でも約7日間という状況です。
一人ひとり違うデリケートな女性の健康状態を一概に比べることはできませんが、このように医療が進化しているのは事実。
いくら長期入院の保障があっても短期間で退院できるのなら、そればムダな保障となってしまいます。
ちなみに上記の少額短期医療保険で初日から14日間だけ保障するプランなら、月額保険料は1,520円。A社と比べて1,520円、つまり半分の金額です。
必要な時に必要な分だけ保険をかけられる!
少額短期保険の魅力は保障内容がシンプルで、期間が短く、金額が小さい、いわば小回りが利くところ。
必要のない保障にまで保険料を支払わなくてもいいというものです。
その究極が最近登場した「Warrantee Now」。必要な時に必要な分だけ、24時間単位で保障をかけられるオンデマンド型保険アプリです。
「この製品を、この日だけ」と物品や日にちを指定して、スマホのアプリで24時間いつでも契約・解約ができるというもの。保険の対象の故障・破損・水濡れ等を補償してくれます。
例えば、旅行に行くとき、友人からデジタル製品を借りたときなど、旅行保険や携行品損害補償保険に加入するまでもないというときに便利です。
保険料は保証対象によりますが、例えばデジタルカメラに24時間の保険をかけるとき、保険料はなんと39円から。
友人から借りたデジカメを壊してしまった…なんてときに弁償することを考えると家計のためにも良さそうですね。
少額・短期ながら東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険の大手損害保険3社が引受会社となっています。
ニーズに合わせて保険選びを
そもそも保険の本来の目的は「もしも」への備えであることを忘れずに。
保険に入るときは、まず自分のニーズは何かをきちんと考えましょう。
いまは保険料の安さに惹かれても、長期間の保障が必要なら、少額短期保険を毎年更新していくより、最初から長期の普通の保険に加入した方がトータルでは保険料が安くなるということもあります。
また、一般の保険では、保険会社が万一破綻した場合などの「保険契約者保護機構」という制度が設けられていますが、少額短期保険業はこの制度の対象外であることもきちんと知っておきましょう。
公的保障や企業保障だけではちょっと足りない部分を補填したり、当面の間だけ必要な場合など、あなたのニーズに合わせて一般の保険と少額短期保険をうまく使い分けましょう。
それが本当の意味で保険料のムダを省き、家計再生への近道です。