風邪をひいたり、疲れが溜まると、ふと体を壊したときのことが頭をよぎり不安になりますよね。突然の病気やケガによる入院や手術には日頃から気にしておきたいもの。万が一のとき、日本の健康保険には、入院時などのための手厚い保障があるんです。また、民間の保険会社で補える保険も一般的ですよね。健康な今から、保険に関するお金の教養を身につけておけば、万が一のときにも安心です。
制度を活かせば支払い減!
公的制度を活用しよう
2016年3月29日
高額になった医療費が控除される?「高額療養費」制度
平成26年度の厚生労働省「患者調査」によると、年齢別で見た場合、20代~40代では女性の方が男性に比べて入院する確率が高くなっています。この年代は、妊娠・出産によるトラブルや乳がん、子宮がんなど女性特有の病気が多く見られる年代です。さらに、この年代の女性に多く見られる病気の代表例である子宮筋腫は実に成人女性の4人に1人が持っていると言われる病気なんです。
病気にかかって入院が必要になった場合、まず心配になるのが治療費と仕事を休んだことによる収入ダウンなどの、お金に関する事柄だと思います。このうち治療にかかるお金はある程度、健康保険からカバーされています。
そもそも私たちが病院の窓口で支払う医療費は、原則3割負担。残りは健康保険から支払われます。
たとえば、100万円の医療費がかかってしまった場合、病院で支払う金額は30万円となるはずです。しかし、30万円は窓口で払うとなると貯金のみならず家計簿にも影響がでそうですよね。そこで使われるのが「高額療養費」制度です。毎月保険料を支払っている私たちは、年収に応じて1ヶ月の自己負担額の上限が決まっています。負担額の上限は、年齢と所得に応じて決まります。70歳未満で年収が約370万円未満の場合は57,600円。年収が約370万円〜770万円の場合は「80,100円+(医療費—267,000円)✕1%」となります。
これによって、私たちが1ヶ月に払う医療費は多くても、8万円~9万円に抑えることができるのです。申請方法などの詳しいことはこちらの記事で紹介していますので、ぜひ確認してみてくださいね。
「医療控除」や「傷病手当金」も活用しよう!
さらに、年間の医療費が10万円を超えてしまった場合は確定申告をすることで医療控除を受けることができます。医療控除とは、10万円を超えた部分の医療費から一定額が戻ってくる制度です。医療費そのものが返金されるわけではなく、所得税の一部が戻ってくるもの。高額医療制度とは異なるので、10万円以上かかってしまった場合は必ず申請するようにしましょう。医療控除で返金される額は所得に応じて変わります。計算式は「実際に支払った額-(年間医療費—保険で補てんされる金額—10万円)」です。
仕事を休んだことによる収入ダウンについても、会社員の人が加入する健康保険から手当金が支払われます。入院より4日目から発生し、最大で1年半、お給料の3分の2を受け取ることができます。これを「傷病手当金」と言います。
傷病手当金の受け取り金額は1日につき「標準報酬日額×3分の2」。標準報酬日額の算出方法は「標準報酬月額×30分の1」です。つまり、月額報酬が30万円の人の場合の標準報酬日額は1万円。1日につき6,667円を受け取れる計算になります。
「所得補償保険」への加入でさらに安心
ここまで聞くと、もし入院することがあっても、出費は思いのほか軽く済みそうですよね。補助があるおかげで、今の貯金で対応できそうだと感じる人がいるかもしれません。もちろんそれも方法のひとつなのですが、病院の窓口で払うすべての費用が健康保険から払い戻しされる対象になるわけではないので、貯金だけに頼るのはちょっと危険かもしれません。
また、最近ではケガや病気によって働けなくなったときに保険金が受け取れる民間の保険会社が提供する「所得補償保険」も一般的になってきました。医療保険が入院したときの医療費をカバーする保険であるのに対し、所得補償保険は病気やケガなどによって働けなくなり、収入が減少するのを補うための保険です。
医療保険、そして所得補償保険。この2つを組み合わせれば、働く女性の“もしも”に対する安心感はずいぶんと増えるのではないでしょうか。入院・通院をしないで、健康的に過ごすことがまず第一ではありますが、万が一のことを考え、制度を知っておくことは悪いことではありません。なにかあった時、自分に必要な金額はどのくらいなのか、ぜひ確認してみてくださいね。