資産を増やすための手段に貯蓄型の保険があります。なかでも近年、外貨建ての保険は人気があり、アメリカの国債利回りが上昇して、積立利率がアップしたことで保険の加入数が伸びているようです。外貨建て保険が気になるけど、イマイチよくわからない方のために、仕組みからメリットデメリットをご紹介します。
これで解決!人気の外貨建て保険とは?
仕組みをわかりやすく解説
2022年10月13日
外貨建て保険とは?
外貨建て保険とは、保険料を外貨で支払い、保険金や解約返戻金を外貨で受け取る保険商品のことです。また運用も外貨で行っています。終身保険、個人年金保険、養老保険などがあり、いわゆる貯蓄型の保険となります。保険料は債券を中心に運用され、保険会社が契約者に約束する予定利率が保険の契約時に決まっていて、満期時や解約時にどのくらい資産が増えているのかが予測できます。
メリットとデメリットをそれぞれ3つずつ解説します。
メリット1.円建ての保険より利率が高い
日本は低金利ですので予定利率はどんどん下がっています。1%を切っているところがほとんどですが、アメリカやオセアニアなどいくつかの国々は、利上げの影響で利回りが高くなっています。先ほどお伝えした予定利率が日本の貯蓄型保険より高いので資産が増えやすいのです。
メリット2.万が一のときの保障になる
保険ですので万が一の時には、支払いは免除となり、保険金として受け取ることができることです。
メリット3.為替差益が得られる
ドル高・円安が進めば為替差益が得られ、元本より大きく資産が増える可能性があることです。
デメリット1.為替手数料がかかる
外貨建て保険では、円と外貨を交換するために為替手数料が発生します。円建ての保険は保険料の支払いで済みますが、外貨建ての場合は余分なコストが発生するということです。
例えば、月々の保険料が100ドル、為替手数料が0.5円の場合、為替が1ドル100円なら10,050円の支払いになります。1ドル130円であれば13,050円となり、ドル高になれば保険料も高くなります。
デメリット2.為替リスクがある
月々の保険料も、受け取る満期金や解約返戻金も、為替レートによって変動します。例えば、保険料が100ドルのとき、1ドル100円なら1万円ですが、1ドル130円になると13,000円になります。支払った保険料に対して解約時に円安が進んでいれば為替差益が得られますが、円高になっていると損失が出る可能性があります。
実際2008年から2013年前半頃までの5年もの間は、1ドル100円を割れていた時期もありました。世界の中心貨幣であるアメリカドルが世界経済の成長とともに価値が上がっていくことは想定はできますが、今のようなドル高の時期に加入して、解約のときは大きく円高に振れていたら、払い込む保険料も高額なうえに受け取る保険金は元本割れしてしまうなんてことも考えられるのです。為替変動の予測は難しいことを理解しておきましょう。
デメリット3.早期解約は元本割れしやすい
外貨建て保険に限ったことではありませんが、貯蓄型保険は、加入してしばらくは、初期費用や維持費管理手数料がかかっている分、運用益が出ていても元本割れします。加えて外貨建ての場合、円建てにはない解約控除費用がかかることが多く、早期解約で損失が出やすい傾向があります。
そもそもなぜ保険に入るのか考えてみよう
ここで今更ではありますが、そもそもなぜ外貨建て保険を検討するのでしょうか?万が一に備えるため、資産を増やすためなどが考えられますよね。外貨を保有することで物価高に対応できるとも考えられます。もし万が一のためだけが目的であれば、掛け捨ての生命保険でも充分です。そして資産を増やすことが目的であれば、他にも手段はあります。
資産を増やしたいなら他の手段もある!
外貨で資産を保有する
円だけで資産を持っていると、昨今の物価高では、資産が目減りしてしまいます。そのインフレリスクに備えて他国の通貨でも資産を持っておきたいという場合は、銀行で外貨預金することも可能です。一度にまとまった資金を外貨に替えてもよいし、定額、定期的に外貨を積み立てることも可能です。この積立ての方法をドルコスト平均法といい、為替が円高のときは、ドルをたくさん買うことができるので、長期間積立てると為替差益が大きくなる可能性が高くなります。ただし、先述した為替手数料がかかり、為替が円高に振れると元本割れする可能性はあります。
つみたてNISA
つみたてNISAは、自分で運用する商品を決める必要があり、元本割れのリスクはありますが、定額、定期的に株式や債券などの投資信託などを積み立てていくことで、世界経済の成長とともに資産を増やせる可能性があります。また、つみたてNISAの特徴として、通常運用益にかかる約20%の税金が20年間は非課税です。つみたてNISAもドルコスト平均法を利用するので、長い期間かければ資産は増えやすくなります。
外貨預金とつみたてNISA、この2つに共通している大きなメリットは、貯蓄型保険のような契約初期の手数料はかからないことです。ですから、保険と違ってたとえ1年後に売却しても、為替が円安だったり、選んだ資産(投資信託)の運用益がプラスだったりすれば、運用益は得られるのです。保険は債券で運用していると言われますが、自分で運用すれば、手数料も最低限で済むということです。
資産運用の方法は他にもありますが、初めて円貯金や保険以外の方法で資産を増やしたい方であれば、上記の2つが始めやすいでしょう。
まとめ
外貨建て保険は、日本だけ低金利の中、世界各国の利上げの影響で、利回りが高いと注目されています。為替差益が得られる可能性があるので、支払った保険料より資産が増える可能性があり、万が一のときの保障を得ることができます。しかし、契約して間もないうちの解約は元本割れすること、為替が円高に振れると元本割れする可能性があることなど、リスクが高い一面もあります。
資産を増やすことや物価高リスクに対応することが目的であれば、保険以外に外貨預金(積立て)、つみたてNISAなどの資産運用も手段になります。元本割れする可能性や為替差損の可能性は、保険と同じですが、保険のような契約時にかかる手数料などは抑えられ、資金拘束がないことはメリットです。保険の仕組み、入る目的をよく考えてから加入を検討してくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2022年8月20日時点のものです)