いつかは結婚するものと思っていたA子さん。お付き合いする相手もいたものの結婚にいたらず、気がつけば38歳で独身。仕事は嫌じゃないし、このまま一人でもいいかな~と最近思い始めてきたといいます。一方で、このままシングルとして生きるのなら、どれだけ貯金が必要なのか、急に不安になったとのこと。
実はお金があれば使ってしまうタイプだったA子さん。早速、家計簿をチェックして改善点を探ります。
【FP家計簿チェック】38歳、女子、シングル。この先、結婚するかどうかわからず、老後に不安を感じるようになりました
2019年5月30日
今回の相談者は、シングル女子A子さん
- A子さん(38歳)のプロフィール
- ・独身
- ・一人暮らし/都内
- ・年収400万円/手取り月収21.7万円、ボーナス60万円
- ・貯金400万円/定期預金
都内のメーカー企業に正社員(事務職)として勤務。大卒で入社後、人事部一筋でやってきて、現在勤続16年。上司からの信頼も厚く、重要な仕事を任されるようになり、やりがいを感じているとのこと。
プライベートでの趣味は声楽と書道。レッスンに通うほか、ときどきプロのオペラ公演にも通うのが楽しみ。
A子さんの家計簿をチェックしてわかったこと
仕事もプライベートも充実しているA子さん。どちらもずっと続けたいけれど、そう思ってふと将来をイメージすると「このまま、ずっと一人かも」と思い始めたそうです。結婚はご縁だから……と、あせる様子もなく、縁がなければ一人でもいいかとも考えるようになってきたそう。
今回は、「もしもこのままずっと一人だとした場合、貯金やお金の使い方は今のままでいいのでしょうか」というご相談です。
早速、A子さんの家計簿を拝見しました。
月々の支出の内容を見ると「食費」「被服・美容費」「趣味・お小遣い」の3費目が少々高め。趣味の声楽では年に何度か発表会があり、そのためには衣装や美容院代もかかると言います。
また、お稽古の帰りにレッスン仲間と食事して帰ることも多く、外食費を「食費」に入れてみたり、「趣味・お小遣い」にしてみたりときちんと管理されていないことがわかりました。
貯金は毎月定期預金に2.5万円ずつ積み立て。ボーナスは旅行やバーゲンでの買い物などに使い、残った分を貯金に回すとのこと。昨年は勤続15年のお祝いと称し、海外旅行を楽しみ、ブランド物のジュエリーを自分にプレゼント。500万円近くあった貯金が約400万円に減りました。
おばあちゃんになっても趣味は続けたい!支出を削るなら……
年齢を重ねても趣味はずっと続けていきたいと希望しているA子さん。お腹から声を出す声楽は健康にも良さそうですし、大きな声を出すことでストレス発散にもなりそうですね。書道も気持ちを落ち着けないと良い字が書けないと、精神を集中させるクセもつきそう。心身のバランスを保つのに効果的な2つの趣味は、ぜひこの先も続けていって欲しいと思います。
ただ、レッスン代以外の部分でお金がかかっていることは見逃せません。この部分をもう少し削ることが出来れば、貯金をもう少し増やすことも可能です。
FPのアドバイス
A子さんのご相談の柱である「このままお一人様だとした場合の経済的な対策」を考えると、やはりいまより月々貯金に回す金額を増やしたいものです。
老後資金として準備したい金額
リタイアした後は年金がメインの収入源。リタイア後の生活費は個々人の暮らしぶりによるところが大きいですが、一般的に公的年金だけでは不足するため足りない分は貯金などを取り崩す必要があると言われています。
総務省の「家計調査・家計収支編(2017年)」によると、65歳以上の単身無職世帯の1カ月の収入金額は約11.6万円。対して支出は約15.5万円です。月々4万円程度が不足する計算になります。
65歳まで働き、90歳まで生きるとすると、25年間で必要な補填額は1,200万円。
4万円×12カ月×25年間=1,200万円
案外少しでいいことがわかりますが、A子さんが希望するように歳を取っても趣味を続けたいならば、その分も見ておかなければなりません。趣味代が月1.5万円、お稽古を楽しむのは80歳までだとしても270万円必要です。
1.5万円×12カ月×15年間=270万円
その他、万一、介護施設に入ることや、病気のことなどを考えると、2,000万円あれば安心でしょう。
65歳までに2,000万円と目標を決めて貯金
A子さんが65歳になるのはいまから27年後。いまのペースでは27年間で810万円、いまある400万円を足しても1,210万円です。ボーナスからの貯金を増やす手もありますが、ボーナスは企業業績に左右されることもあるため月々の給料から貯金していく方が確実です。
現在の貯金400万円のうち約6カ月の給料分130万円は緊急予備資金として確保するようにします。目標2,000万円から貯金270万円を差し引いた不足する1,730万円を27年間で貯めるために月々4万円(手取りの約18%)、ボーナスは変動する可能性もありますが、10万円程度は貯金に回すと決めましょう。
賢く節約して後のお買い物に活かす
貯金を増やす分、支出を減らさないといけません。趣味にかけるお金以外にA子さんのお金の使い方にも変更させたいポイントがあります。少々高くても質の良いものを選ぶ傾向があり、洋服や化粧品はいつもデパートで購入。良いものを買って長く使うのは悪くないことですが、毎日使う化粧品などは消費量も多くなるため支出が膨らみます。基礎化粧品にはこだわるとしても、ポイントメイクやメイク用品はプチプラのものでもいいのでは?
浮いたお金の一部をデパート積立に回す方法もおすすめです。満期までは少々我慢したいですが、今後のデパートの買い物がよりおトクになるでしょう。
今回の家計簿チェックでA子さんへの家計簿見直し提案はこのようになりました。
レッスン仲間との食事など、外食ではなく交代で家に集まり「内食・中食」「家飲み」にして、節約したいと決意したA子さん。今年10月からの消費税アップを考えても節約効果はありそうですね。