2022年の4月にiDeCoの積立可能期間と受給開始期間が延長されました。10月からは、現在企業型DCに加入していて、iDeCoに加入できなかった方でもほとんどの方が iDeCoも利用できるようになりました。しかし、イマイチ両制度が分からない、違いを知りたい、必要性はあるのかなどの疑問を感じていませんか?これからは自分で年金をつくる時代です。できる範囲でやってみることをおススメします。丁寧に解説しますので、この機会に理解を深め、始めてみましょう。
どう違う?必要性は?
iDeCo VS 企業型DC徹底比較!
2022年10月20日
iDeCoと企業型DCの違いと共通点とは?
iDeCoとは?
個人型確定拠出年金のことで、加入者が掛け金を出して、自ら金融機関、金融商品を選んで運用します。
企業型DCと違って金融機関を自分で選べるため、商品を選ぶ自由度が上がることがメリットです。デメリットは、口座開設手数料や1年に1回かかる口座管理料が自己負担になることです。2022年5月から65歳未満まで加入できるようになりました。
企業型DCとは?
企業型確定拠出年金のことで、企業側(事業主)が掛け金を拠出し、企業と契約した運営管理機関が選定した運用商品の中から自分で商品を選び運用します。
1番のメリットは、企業側が掛け金を支払ってくれることです。また、運用中にかかる管理費用を企業側が負担してくれる点もメリットです。デメリットは、金融機関が企業側で決められているので、選ぶ商品が限定されていることです。
条件によっては、従業員が上乗せすることも可能です。2022年5月から70歳未満まで加入できるようになりましたが、企業によっては加入できる年齢に違いがあります。
共通点は3つ
ひとつ目は、企業型DCとiDeCoの掛け金は全額所得控除の対象になり、所得税と住民税が節税できます。つまり手取りがアップします。
iDeCo公式サイトの「かんたん税制優遇シミュレーション」を使って、30歳年収400万円で、iDeCoと企業型DCに月5万円を65歳まで掛けた場合でみてみましょう。上の図の通り、未加入時に比べ課税所得額が減るので節税されるということです。今回の場合、所得税と住民税合わせて年間だと約9万円、35年で約315万円が節税されることになります。
ふたつ目は、運用益が非課税になることです。
運用益は通常、約20%の税金がかかりますが非課税になります。例えば、100万円の運用益が出た場合、受け取り分が80万円になるのが通常ですが、企業型DCとiDeCoの場合、100万円全て受け取ることができます。そのほかにも退職所得控除、公的年金控除の対象になり、節税しながら資産を受け取ることができます。
今回の改定でどうなるの?両方やった方がいいの?
2022年9月までは企業型DCを導入している企業で、「マッチング拠出」を導入している企業は、従業員が企業型DC掛け金を上乗せすることができましたが、iDeCoとの併用はできませんでした。それが、2022年10月よりマッチング拠出で企業型DCの掛け金を上乗せするか、iDeCoを利用するか自分で選択できるようになりました。企業型DCの限られた商品から選ぶのではなく、自分で金融機関と金融商品を自由に選択できるようになります。あなたにとってよりよい方法で資産運用をするチャンスがやってくるということです。ですから、いま企業型DCに加入しているけれど、もう少し掛け金を増やしたいという方は、iDeCoの利用を検討してみるといいでしょう。
以下、知っておきたい掛金限度額や注意点です。
掛け金限度額は?
事業主が加入している企業年金の種類と事業主が掛けている金額によって、iDeCoの掛け金の上限が変わってきます。限度額は以下の表の通りです。
例えば、企業型DCに加入している方がiDeCoに加入する場合(表の紫)で事業主の掛け金が3万円であっても、iDeCoで掛けられる金額の上限は 2万円となります。
また、企業型DCと確定給付に加入している場合(表のピンク)、企業型DCの事業主掛け金が2万円であれば、iDeCoの掛け金は 7,500円が上限になります。
あなたのお勤め先の状況によって掛け金の上限が変わってきます。
注意点
まずは、長い間引き出せないことです。企業型DCもiDeCoも原則60歳まで引き出せません。掛け金はムリのない範囲で決めましょう。だからと言ってiDeCoの場合、口座開設手数料や年間手数料の他、年金として受け取る場合、1回につき440円の手数料もかかります。ですから、あまりにも少ない掛け金にしてしまうと、手数料の割に受け取れる金額が少ないと感じてしまいます。ですから、掛け金は1万円以上はできるといいでしょう。
なお、手数料は、口座開設手数料が1度だけ2,829円のほか、金融機関によって違いはありますが、口座管理料がだいたい1年に2,000円程度がかかります。
まとめ
2022年10月から、今まで企業型DCに加入していてiDeCoが利用できなかった方でもiDeCoに加入できるようになりました。企業型DCの運用商品に魅力を感じなかった人や、もう少し掛け金を増やしたい方は、iDeCoでも運用することで将来の不安を少しでも軽減できます。掛け金上限は、お勤め先の企業年金の導入内容によって変わってきます。分からない方は、確認したうえで始めましょう。
(※本ページに記載されている情報は2022年9月30日時点のものです)