あなたは何歳まで働きたいと思っていますか。
老後のためのお金の備えも大切ですが、健康管理をして少しでも長く働き続ければ老後設計が楽になりますね。
世の中を見渡してみると働きたいという意欲を持つ高齢者は多く、2人に1人の女性が60歳を過ぎても働き続けています。
長寿社会を生きる身として知っておきたい老後の生活費目安と60歳以降の就労の考え方についてご紹介します。
60歳を過ぎても働く女性は50%以上!
あなたの老後はいつからにする?
2018年10月12日
年をとっても働きたいと思えるもの?
高齢者の就業状況を知りたい
忙しく働く毎日を過ごしていると、のんびりと暮らす老後に憧れる瞬間がありますよね。
のんびりと一口に言っても、仕事を全くせずにのんびり暮らす生活もあれば、無理のない働き方をしながら若いころよりものんびりするような生活もあり、思い描くイメージは人それぞれです。
少子高齢化の影響で街を歩く高齢者を見かける機会が増える中、労働力人口に占める高齢者の割合も増え続けています。1985年には約5%で20人に1人の割合でしたが、2016年には約12%に増え、8人に1人の割合となっています。
働いている高齢者の約4割の人が、働けるうちはいつまでも働きたいと希望しているというデータもあります。働くことが生きがいや生活の安定力につながっている様子がうかがえます。
女性の半数以上の人が働いている
そうはいっても働き続けやすいのは男性のほうでは、という疑問を持つ人もいるでしょう。確かに60~64歳で働いている男性の割合77.1%に比べると女性の割合は50.8%と少なめですが、それでも半数以上です。65~69歳の女性の場合でも33.3%で、3人に1人の人が働いています。
働き方には正規雇用と非正規雇用がありますが、労働者全体の中に占める非正規雇用者の割合は37.3%(2017年)と高い数字になっています。若いときに正規雇用にこだわっていた人でも、高齢になったら、自身のキャパシティを冷静に考えた上で非正規を柔軟に受けとめやすくなるはず。
実際に、数字の上でも、その傾向がはっきり表れています。会社役員を除いた統計ですが、65歳以上の女性の約82%の人が非正規で働いています。男性を合わせた数字でも約75%と高い割合です。65歳以上の人で、正規雇用を希望していながら非正規雇用で働いている人の割合は、わずか9.2%。自らの希望でゆとりを持った働き方を選んでいるのです。
出典:内閣府(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/zenbun/s1_2_4.html)、厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/content/000179034.pdf)
年をとったときの生活費はどれぐらい?
働き続ける理由には生きがいなどもありますが、現実問題として年金だけに頼る生活に困難を感じている人は少なくありません。
例えば平均年収が300万円、400万円の人が40年間働き続けた場合に受給できる厚生年金は、およそ5.5万円/月、7.3万円/月(※)。国民年金満額分を足したとしてもおよそ12万円/月、13.8万円/月です。
※厚生年金受給額の計算式(平均標準報酬月額×7.125/1000×2003年3月までの加入月数+平均標準報酬額×5.481/1000×2003年4月以降の加入月数)をもとに算出
参考までに総務省家計調査報告(2017年)による高齢単身無職世帯の消費支出額をご紹介すると、およそ14.2万円。さらに非消費支出である社会保険料も上乗せされます。先にご紹介した公的年金受給額と比較すると年金だけでは足りない様子がわかります。厚生労働省の「国民生活基礎調査(2016年)」でも、高齢者世帯の52%の人が「大変苦しい」「やや苦しい」という生活意識を持っている様子が明らかとなっています。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/03.pdf)
老後をいつからにするかは自分次第
60~64歳まで働くとどの程度の余裕が生まれる?
若いときの働き方の感覚を引きずって考えてしまい、少ない収入のために働くなんてばからしいと感じてしまう人もいるかもしれませんね。しかし、公的年金だけで生活できないとなれば、若いうちからしっかり貯蓄しておき、さらに働き続けるという選択が重要となります。
また、60歳を過ぎてから公的年金受給開始の65歳までの間、貯蓄を取り崩しながら生活しなければならないというリスクとも向き合わなければなりません。国民年金を繰り上げ受給したとしても生活費としては不足します。
例として、60~64歳まで働き続けた場合に5年トータルでどの程度の余裕が生まれるかについて改めて考えてみましょう。
・手取り5万円/月となる仕事で働いた場合:300万円/5年
・手取り10万円/月となる仕事で働いた場合:600万円/5年
・手取り15万円/月となる仕事で働いた場合:900万円/5年
月単位で考えず、年単位、5年単位と長期的な目で考えていくとメリットを感じやすくなります。働けば働いた分だけ貯蓄を取り崩す必要がなくなるため、貯蓄が減っていく不安を軽減できますね。
老後のイメージはさまざま
年をとってからの働き方を検討するときは、若いときの働き方を引きずらず、自分に合った新しい形を選択していく姿勢が大切です。シニアの働き方ガイドブック作成を行っている自治体もあり、前職とは全く異なる環境で生き生きと働く方々の例も見られます。興味のある人は、将来イメージを膨らませるために広報や自治体ホームページの情報をチェックしてみるとよいでしょう。
成人年齢や結婚できる年齢は法律で定められていますが、老後をいつからと捉えるかは自分次第です。厚生労働省による調査では、老後を70歳からと考える人が最多で32%、65歳からと考える人が28.6%となっています。60歳からと考える人は18.7%、75歳からと考える人は9.9%と、人によって大きなばらつきのある様子がうかがえます。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h24hou_2.pdf)
仕事をして生活が充実していれば、老後と感じる時期を遅くできるかもしれませんね。確実な収入源を得られるだけでなく、生活に張りが出たり、新しい自分を発見したりなどの機会にも恵まれるでしょう。
年齢にかかわらず、生き生きと働く人は見ていてとても気持ちのよいものです。将来のための貯蓄をどうしようかと不安を抱えるとき、働き続ける生き方を前向きに検討できると気持ちの余裕が違ってくるはず。いつの間にか、こんなに働き続けていたと笑顔で言える老後を迎えられたら素敵ですよね。