2022年4月から年金制度が改正されるのはご存じでしょうか?
年金制度改正のポイントと、年金制度が改正されることで何が変わるのか、働き方にどのような影響があるのかをお伝えします。
2022年4月
年金制度改正、何が変わる?
2022年4月19日
年金制度、改正の目的は?
日本の公的年金制度は、日本に住んでいる20歳以上のすべての人が加入する国民年金と、会社員・公務員などが加入する厚生年金があり、これらを合わせて「公的年金」と呼ばれています。
あらかじめ保険料を納めることで、自分が65歳になった時や、重度の障害を負った時、また一家の大黒柱が亡くなってしまった時に給付を受けることができる社会保険のひとつです。
この年金制度が2020年5月に改正され、2022年4月から順を追って施行されます。
今回の改正の目的は、働き方が多様化されつつある中で、より多くの人が長期的に働きやすい社会にするということです。
2022年4月から改正されるポイントは?
2022年4月から年金制度がどのように改正されるのか、主なポイントをみていきましょう。
在職中における年金受給の仕組みの見直し
60~64歳を対象とする在職老齢年金制度が見直されます。
今までは、働いている60~64歳の人の賃金と年金受給額の合計が月額28万円を超えると超過分の年金支給が停止されていましたが、2022年4月以降は月額47万円に緩和されます。
受給開始の選択肢の拡大
公的年金の受給開始年齢は原則65歳です。
でも、今までは希望すれば60歳~70歳の間で受給開始年齢を自分で決めることができました。
4月からは、受給開始年齢は原則65歳(希望により60歳~)のままですが、受給開始時期の繰り下げ上限が今までの70歳から75歳に引き上げられました。
年金の受給開始年齢を繰り下げることで、受給額は1ヵ月あたり0.7%増額されます。つまり、仮に75歳から年金を受け取るとすると、120ヵ月分繰り下げることになるので、0.7%×120ヵ月=84%増額することができます。
また、受給開始年齢を繰り上げて60歳~64歳で受け取る場合、減額率が今までの1ヵ月あたり0.5%から0.4%に変更されます。
年金額を減額してでも少しでも早くから受け取るのか、できるだけ遅くから受け取って増額するのかは悩むところでしょう。
でも、自分の寿命は自分では決められません。年金はあくまでも「一生受け取り続けることができる保険」と捉えて、自分のライフプランと相談してくださいね。
確定拠出年金における加入可能要件の見直し
確定拠出年金は、公的年金制度に上乗せして自分で準備をするため「私的年金」とも言われています。
企業が掛金を拠出する「企業型確定拠出年金」と、加入者自身が掛金を拠出する「個人型確定拠出年金(iDeCo)」があります。
今までは、受給開始時期を60歳〜70歳の間で自由に決めることができましたが、2022年4月以降は公的年金の受給開始時期の選択肢の拡大に合わせて、確定拠出年金の受給開始の上限年齢も75歳まで引き上げられます。
基礎年金番号通知書への切替え
4月1日以降、国民年金制度や厚生年金制度に初めて加入する人には、国民年金手帳ではなく「基礎年金番号通知書」が発行されます。
新しく導入される在職定時改定とは?
2022年4月からは、今まで制度になかった「在職定時改定」が新しく設けられました。
この制度が導入された背景には、高齢になっても働く人が増え、高年齢者雇用安定法の施行などにより企業で70歳までの継続雇用が努力義務となったことがあげられます。
「在職定時改定」は、65歳以上のすべての在職中の被保険者に関わる制度です。
今までは、退職等により厚生年金被保険者の資格を喪失するまでは、老齢厚生年金の額は改定されませんでした。
しかし、「在職定時改定」によって、65歳以上かつ在職中の老齢厚生年金受給者を対象に、毎年10月に段階的に年金額を改定し、働きながら年金額を増額することができるようになります。
年1回支給年金額が増える
毎年9月1日の基準日において、被保険者である老齢厚生年金の受給者の年金額について、前年9月から8月までの被保険者期間を算入し、毎年10月分の年金から改定されます。
対象者は65歳以上70歳未満の老齢厚生年金の受給者です。65歳未満で年金を繰り上げ受給している人は在職定時改定の対象とはなりません。
今までは、65歳以上の社員は厚生年金の保険料を毎月納めていても、すぐに年金額が増額されませんでした。でも、働きながらでも年に1度年金が増額されるのであれば、元気な間は働こうと思う人が増えるかもしれません。
これからますます働き方が多様化してくることが予想されます。年金を受給しながら働く在職受給者のモチベーションアップに繋がればいいですね。
※本ページに記載されている情報は2022年3月16日時点のものです