最近書籍などでも話題になっているFIREとは、「Financial Independence Retire Early」の略で経済的自立を伴う早期リタイアを意味します。時間にもお金にも余裕があり、好きなときに好きなところに行けると言った夢のような世界に感じますね。その実現に欠かせないキーワードが4%ルールです。これはどういう意味でしょうか?4%ルールの解説と、目指すにあたり知っておきたい4つの注意点を解説します。
FIREの4%ルールとは?
実践する前に知っておきたいの4つの注意点
2021年11月26日
4%ルールとは?
まず、4%ルールとは、生活費などの支出を総資産の4%以内に抑えたら、資産を目減りさせることなく生活することができるという考え方です。アメリカのトリニティ大学が、過去の米国市場における運用状況をもとに試算しています。
具体的には、年間の支出を180万円に抑えた場合、この金額の25倍にあたる4500万円を保有し、これを上手に運用して年4%の収益を実現すれば、総資産を減らすことなくリタイア生活が可能になるということです。
この4%は、アメリカの代表的株価指数のS&P500の成長率7%とし、アメリカのインフレ率3%として計算されています。インフレ(インフレーションの略語)率とは、物価の上昇を表す指標です。米国の資産運用環境をベースに算出されています。
注意点
1.経済状況が悪化しているときは投資元本が減る・生活資金が足りない
例えば、米国の代表的な株価指数のひとつS&P500は、2020年のコロナショックでは、30%以上下落しましたし、2008年のリーマンショックでは、50%近く下落した期間もあります。このような期間に、先述した年間生活費180万円を切り崩すと元本は減ります。また、資産残高の4%を取り崩しても年間の支出がまかなえないこともあるでしょう。あくまでも過去のデータからの結果であり、資産が底をつく可能性が全くないということではありません。
2.厚生年金が減る・社会保険料の支払い
会社員の方は、厚生年金に加入していますが、会社員を辞めるとなると国民年金のみになるため、年金の受給額はかなり少なくなります。また、国民年金は、60歳まで支払いが続きます。そのほかにも国民健康保険、40歳以上になれば、介護保険料も発生します。社会保険料も年間支出に計上しましょう。
3.ストイックな節約生活が必要
例えば、手取り月収25万円の人が、生活費20万円(年間支出240万円)、2割の5万円を毎月投資に回して年利4%で運用した場合、年間の支出の25倍の6,000万円に達するまで、40年4ヵ月もの時間を要します。もちろん、収入が上がれば、投資金額を増やすことも可能ですが、結婚、出産などでライフスタイルが変わる可能性もあると、それ以上に時間を要する可能性もあります。実現するためには、相当な節約をする必要があります。
4.運用益による課税分は考慮されていない
通常運用益に対して約20%の税金が課されます。年間250万円引き出すと手元に入る現金は、約200万円です。
思ったより難しい?!じゃあどうする?
FIREの4%ルールとは、年間生活費の25倍の資産形成をし、築いた資産の4%、または運用資産の4%を取り崩して生活することで、資産を減らすことなくリタイア生活ができるというアメリカにおけるライフプランのひとつです。日本でそのまま実現できるというわけではありませんが、これをひとつのロールモデル(目標)とすることは可能です。
注意点は、経済状況によって資産の増減が大きいこと、会社員であれば、厚生年金が減ること、FIRE後も社会保険料の支払いは続くこと、相当な節約が必要なこと、税金が考慮されていないことです。
現実的でないと、残念な思いをした方もいらっしゃるかもしれません。でも、この考え方を知ることで、日ごろのお金の使い方を見直すいい機会にはなりそうです。資産を築くためには、ムダな支出は徹底的に抑える必要があります。まずは、家計を見直して2割を投資に回す、収入を上げ、投資金額を増やし、生活費はできるだけ変えないことが重要です。そういうことを実践する中で、よりよいお金の使い方、働き方について考え、理想の暮らし思い描くきっかけになります。まずは、家計を見直し、収入の2割を投資に回すところからやってみてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2021年10月19日時点のものです)