専業主婦は所得税を納めていないから、iDeCoに加入するメリットがない……という話も聞きます。でも、本当にメリットはないのでしょうか? 専業主婦がiDeCoに加入して得られるメリットについてお伝えします。
専業主婦がiDeCoに加入しても
メリットはある?
2021年9月24日
そもそもiDeCoとは
iDeCoとは、個人型確定拠出年金の愛称です。以前はiDeCoを利用できるのは自営業者などに限られていましたが、2017年に税制改正がされたことで、専業主婦をはじめ、ほとんどの人が加入できるようになりました。
iDeCoは、一言でいうと自分で作る年金制度です。毎月一定額を積み立てて、あらかじめ準備された定期預金や保険商品、投資信託などの金融商品の中から自分で選んで運用をします。そして、60歳以降に年金または一時金で受け取ります。
iDeCoは、毎月5,000円から始めることができます。それ以上積み立てたい場合は職業などによって上限金額が定められており、専業主婦の場合は月額23,000円まで積み立てをすることができます。掛け金の変更は1年に1度できるので、まずはムリのない範囲で始めて、余裕ができたら金額を増やすということもできます。
iDeCoのメリットは?
iDeCoは、60歳までは出金することができませんが、その代わりに税制上の大きなメリットが3つあります。
1.掛け金が全額所得控除の対象となり、所得税と住民税が節税できる
2.運用益が非課税になる
3.受け取るとき、年金形式で受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象になる
専業主婦にメリットがないと言われるのはなぜ?
専業主婦がiDeCoに加入してもメリットがない、と言われる理由の1つに、専業主婦は所得控除が利用できないことがあげられます。専業主婦や年収100万円未満で所得税や住民税を支払っていない主婦は、掛金に対する所得控除が利用できないため節税効果がないからなのですね。
専業主婦がiDeCoに加入するメリットは?
勤務先で企業型確定拠出年金に加入している人もいるでしょう。でも、もし会社を辞めてフリーランスになったり結婚して専業主婦になったりした場合、今まで貯めてきた企業型確定拠出年金はiDeCoに移管して引き続き運用していくことになります。専業主婦はiDeCoのメリットの1つである所得控除が利用できないとお伝えしましたが、専業主婦でもiDeCoに加入して受けられるメリットはあるのです。
専業主婦も自分の退職金を作ることができる
専業主婦は、毎日家事をすることで家族を支えています。そんな専業主婦にとって、iDeCoに加入することで、自分自身の退職金を作ることができるのです。先ほど、iDeCoのメリットの1つに、一時金で受け取る場合は「退職所得控除」の対象になるとお伝えしました。つまり、退職金制度のない専業主婦は将来iDeCoを一時金で受け取ることで、退職所得控除を利用することができるというわけです。
退職所得控除とは
まずは、退職所得控除について知っておきましょう。退職所得とは一言で言えば退職金のことです。そして退職金にも所得税がかかります。ただし、退職金全額に所得税がかかるわけではありません。課税対象になる退職金の金額は、「収入金額(源泉徴収前の金額)-退職所得控除額)×1/2」で計算されます。
まずは、退職所得控除額の計算方法を見ていきましょう。
・勤続年数が20年以下の場合・・・40万円×勤続年数(最低80万円)
・勤続年数が20年を超える場合・・・800万円+70万円×(勤続年数-20年)
勤続年数が1年未満の端数は切り上げて数えます。
仮に専業主婦が20年間毎月1万円、iDeCoで運用した場合、元本は240万円となります。この元本に運用益が上乗せされたとしても、800万円までは非課税で受け取ることができるというわけです。
運用益ももちろん非課税
同じ老後資金を積み立てるとしても、一般的には定期積立や投資信託で積み立てをしていく場合、運用益に対して20.315%の税金が源泉徴収されます。でも、iDeCoで運用することで、どれだけ運用益が出たとしてもその運用益がまるまる非課税になります。これは専業主婦でももちろん利用できます。
専業主婦はiDeCoに加入してもメリットがない……と思い込んで利用しないというのは、もったいないです。専業主婦の人も、非課税で運用しながら自分の退職金を作っていきましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年2021年9月9日時点のものです。