証券口座を開設しようとしたら、難しい用語がたくさん出てきて、前に進めなくて困っていませんか? 証券口座の開設には、あなたの個人情報のほか、専門用語が出てきてそれを選択する必要があります。間違った選択をしてしまうことで、後で面倒な手続きを踏まなければいけなくなることもあります。そうならないためにも、投資初心者の方がつまずきやすい用語をわかりやすく解説しますので、これを機に口座開設を進めましょう。
「証券口座開設ができない」を解決!
わかりにくい用語を徹底解説
2021年9月13日
まず、スムーズに証券口座を開設するために、本人確認のためのマイナンバーカードまたは、マイナンバー通知カード+運転免許証などを用意しておきましょう。これらがないと口座開設ができません。また、最近はこれらをコピーして郵送するのではなく、ネット上でアップロードすることで本人確認がすぐに完了し、当日には口座開設が可能な証券会社もあります。
1.納税方法の選択
株式投資や、投資信託などで取引して利益が出た場合は譲渡所得、配当を受け取った場合は、配当所得として税金が課されます。内訳は、所得税15%、住民税5%、2037年12月31日まで復興特別税0.315%です。これらの税金をどのように納めるか3つの選択肢があります。
特定口座(源泉徴収あり)
基本的には、こちらを選択しましょう。この口座は、投資の売却益や配当に対してかかる税金を自動的に徴収してくれる口座です。自動的に徴収してくれるということは、確定申告をする必要がなくなります。
ただし、確定申告が必要になる場合もあります。それは複数の証券口座を保有する場合で、配当金や分配金、譲渡により発生した収入等を損益通算した方が有利な場合です。確定申告すればいったん源泉徴収された税金の還付を受けることができます。
例えば、A証券口座で年間30万円の利益を出していて、B証券口座で15万円の損失が出ている場合、これらがすべて損益通算の対象となるものであれば、譲渡所得と配当所得の合計は15万円となります。特定口座(源泉徴収あり)を選択すると、A証券口座の30万円の利益に対し自動的に課税されます。確定申告をしないと、余分に税金を納めることになるということです。複数口座を持つ予定の方は、注意しましょう。
また、年間の損益がマイナスになった場合も、一定の要件をクリアしていれば、確定申告をすることで、その損失額が翌年以降3年間繰り越すことができ、翌年以降の利益と相殺することもできます。
特定口座(源泉徴収なし)
この口座は、投資の売却益が出た時点では源泉徴収はされません。1年間の損益が計算された、「特定口座年間取引報告書」が翌年の1月中旬頃に証券会社から交付されます。
これを選択した人は、報告書をもとに自分で税金を計算して納める必要があります。ただ給与所得者で、勤務先が1ヵ所で、年収が2000万円以下で、給与所得・退職所得以外の所得合計が20万円以下であるなど、特定の要件にあてはまる場合は確定申告は不要になりますので、特定口座の源泉徴収なしを選択するメリットとも言えます。
一般口座
一般口座は、源泉徴収がされません。一般口座の場合、「年間取引報告書」は発行されません。自分で計算書を作成しなければいけないため、一般口座にするメリットはないと言えます。
2.配当の受け取り方法の選択
2点目のハードルが、配当の受け取り方法です。株やETF、REITを購入すると、運用状況によって配当や分配金が支払われます。配当の受け取り方法の種類は4つあります。順番に解説します。
株式数比例配分方式
株の配当金やETFやREITの分配金が、証券会社の口座に振り込まれる方法です。また、非課税で運用できるNISA口座やジュニアNISAで購入した場合の配当金や分配金は、株式数比例配分方式を選択しないと課税されてしまうので注意しましょう。なお、投資信託の分配金がある場合は、証券口座に振り込まれるか、再投資するかの選択を商品ごとに決めますので、ここでの選択には影響はありません。
株式数比例配分方式と、特定口座源泉徴収ありで選択すると、配当金や損失を相殺してくれるので便利です。基本的には、株式数比例配分方式を選択しましょう。
配当金領収書方式
証券会社から郵送される配当金受領証を、郵便局へ持参し、配当金などを受け取る方法です。
個別銘柄指定方式
銘柄ごとに銀行口座に振り込んでもらう方式です。
登録配当金受領口座方式
全ての銘柄の配当金や分配金を、指定した銀行口座に振り込んでもらう方式です。
株式数比例配分方式、または登録配当金受領口座方式を選択する場合、ひとつの証券会社で選択すると、他の証券会社も同じ方式が適用されます。
3.その他
つみたてNISAやNISA口座、iDeCoの開設の選択も出てきます。各口座はひとつ開設すると、他の証券会社では開設できません。証券会社を変更することは可能ですが、手続きに手間がかかるため、まだ始める予定がない場合は急いで決める必要はないでしょう。
手数料に関しては、証券会社によって違います。取引頻度や取引額に応じて手数料体系が変わることがあります。こちらはすぐに変更が可能なので、現時点で想定している取引方法、取引額に応じて決めるといいでしょう。
証券口座を開設する際につまずきやすいポイントをお伝えしました。
・特定口座源泉徴収あり
・株式数比例配分方式
この2点に気をつけて開設してくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2021年8月24日時点のものです)