最近、ニュースでもESGという言葉が取り上げられるようになってきました。ESGとは環境、社会、企業統治のことで、それらを重視して投資先を選ぶことをESG投資といいます。今回はESG投資についてわかりやすくお伝えします。
ESG投資ってなに?
投資する前にメリットやデメリットを知って
2021年8月27日
そもそもESGってなに?
最近ニュースなどでも「ESG」という言葉を聞くことが多くなりました。ESGとは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「企業統治(Governance)」のそれぞれの頭文字を取った言葉です。
企業が成長していくためには、この3つの観点から事業の内容をチェックしていく必要があるという考え方が広がってきています。
具体的には下記のような点が注目されます。
①E(環境)
・二酸化炭素の排出量が多くないか
・再生可能エネルギーを利用しているか
・排水による水質汚染の改善をしているか
・使用済み製品のリサイクルに取り組んでいるか
②S(社会)
・地域活動に貢献しているか
・労働環境の改善に取り組んでいるか
・ワーク・ライフ・バランスの確保に取り組んでいるか
・男女の雇用機会の均等に取り組んでいるか
③G(企業統治)
・業績をあげながらも不祥事を防ぐ経営をしているか
・リスク管理のため、情報開示をしているか
・法令順守をしているか
・人材育成に取り組んでいるか
これらESGの観点が少ない企業は、これから長期的な成長が期待できないと考えられています。
ESG投資とは?
ESG投資とは、先ほどお伝えした環境・社会・企業統治に配慮している企業に投資をすることをいいます。
ESG投資の歴史
ESG投資は、もともとは欧米を中心に広がってきました。それが、2006年に当時の国連事務総長のコフィ・アナン氏が各国の年金基金や運用会社に呼びかけ、PRI(投資にESGの視点を組み入れることなどを原則として掲げる国連責任投資原則)を提唱したことがきっかけとなり、世界的な拡大につながりました。
2019年には、2,400近い年金基金や運用会社などがPRIに署名し、運用資産残高の合計は20兆ドル以上に達しています。
日本では、2015年に公的年金の運用を行っているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が、PRIに署名したことにより大きく認知されるようになりました。
今では、投資判断の基準としてESGを考慮する投資家が増えてきています。
ESG投資が注目されるわけ
今までは、投資先の企業を選ぶ時に、収益や債務などの業績がわかる財務情報が分析され、投資判断が行われていました。しかし、新たな視点として、ESGに積極的に取り組んでいる企業は収益が安定的し、持続的に成長していくと考えられるようになりました。
このような企業は、投資家にもリターンをもたらすことが予想されます。
逆に、利益だけを優先して経営している企業は、環境に負荷がかかったり、長時間労働が行われたりすることで、結果的に悪影響が生まれ持続的な成長が見込まれなくなってしまいます。
こうした考え方から、投資先の判断基準として企業がESGに取り組んでいるかどうかも加えられるようになったのです。
ESG投資、メリットやデメリット
投資をする上でメリットやデメリットを知っておくことは大切です。ESG投資のメリット・デメリットはどのようなものがあるかみていきましょう。
メリット
ESG投資は、先ほどお伝えしたように、持続的に成長していく企業に投資をするため、長期的な資産形成に向いています。
また、「環境」「社会」「企業統治」に配慮した企業に投資することで、自分自身もより良い世の中になることを後押しすることができます。
デメリット
メリットでお伝えしたように、ESG投資は長期的な資産形成に向いています。そのため、短期的な投資で利益を得たいと思う場合は向いていないといえます。
また、ESG投資は、財務情報だけでなくESG要素を見極めるためのデータを探して分析する必要があります。しかし、ESGを含む非財務情報について、開示をしていない企業がまだまだ多いということ、また開示をしていてもデータが少ない場合があります。
こうした背景も手伝って、ESG分析をしっかりと行っていないのに、ESGをうたった投資商品も出ていることが問題視されています。
まとめ
初めて投資をする場合、ESG投資の企業を自分で選ぶということは少しハードルが高い……と思っている人もいるのではないでしょうか。そのような場合は、ESGにフォーカスした投資信託で運用するという方法があります。
投資信託は運用のプロがESGを評価した企業に投資をしてくれるので、自分で投資企業を選定するという手間を省くことができます。まずはESGに関連したニュースなどに注目してみて、資産運用先の1つとして考えてみてはいかがでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2021年8月17日時点のものです)