家計管理、貯蓄、資産形成のために必要な銀行ですが、銀行の手数料は節約したい支出のひとつです。実は、最近、手数料の引き下げを発表する銀行が相次いでいますから、メリットを得られる人もいるかもしれません。しかし、どんな場合に、いくら手数料がかかるかきちんと理解できていますか?
本記事では、最近の手数料改定をめぐる銀行の動きを紹介するとともに、上手に銀行と付き合う方法について説明していきます。
銀行の手数料が引き下げ傾向に!
あらためて上手な銀行との付き合い方を考えよう
2021年7月30日
銀行の手数料が下がる?!
2021年10月から11月にかけて、多くの銀行が「他行へ振り込みする場合の」振込手数料を引き下げる旨、発表しました。
銀行の振込手数料は、基本的に振込先が「自行の同一支店への振込」「自行の他支店への振込」「他行への振込」の3つ、振込方法が「店頭・窓口」「ATM」「ネットバンキング」の3つによって異なる金額が設定されています。
今回の引き下げは、「全銀ネット」と呼ばれる共通のシステムを使った銀行同士での送金手数料が引き下げられることに伴い、銀行利用客に対する手数料も引き下げられることになったものです。そのため、全銀ネットを利用しない、同じ銀行の中での振込については今回の引き下げ対象とはなりません。すべての振込手続きにかかる手数料が下がるわけではないことに注意しましょう。
いくら下がるの?いくらになるの?
実際の引下げ額は銀行によって異なりますが、振込額が3万円未満の場合は55円~70円、3万円以上の場合は110円~120円の引き下げとなるようです。
手数料が安くなるのは利用者には嬉しいことですが、他行への振込手数料は、自行へのそれにくらべてかなり高めに設定されています。大手都市銀行の各行の発表を参考にすると、たとえば3万円以上の振込の場合、引き下げ後でもATM・ネットバンキングで220円~330円(税込)、店頭だと770円~880円(税込)です。
引き上げ?引き下げ? 自分の銀行の手数料はどうなっている?
銀行の手数料には振込手数料以外にも、ATM利用料や両替手数料などさまざまなものがあります。長らく続く低金利の影響で各種手数料の引き上げや新たな手数料の設定があったほか、顧客サービスの一環で一部手数料を引き下げや無料化など、さまざまな見直しが進められています。
最近の手数料改定のうち、いくつか代表的なものを紹介しますので、自分の口座がある銀行がどうなっているか確認してみましょう。
紙通帳発行手数料
一部の銀行では、紙通帳を発行する際に手数料が徴収されるようになっています。 新規口座開設による発行、紛失などによる再発行、通帳繰り越しによる発行など、どの場合も「紙通帳」を選ぶとお金がかかります。手数料額は銀行によって異なりますが、ある大手都市銀行では、紙通帳を利用している限り、毎年550円(税込)が預金残高から引落しされます。
オンライン通帳に切り替えることで手数料はかからなくなります。
未利用口座管理手数料
一部の銀行では、2年間入出金のない未使用口座に対して口座管理手数料が徴収されるようになっています。 徴収基準は銀行によって異なりますが、2年間入出金がなく、かつ残高が1万円未満の口座に対して手数料を徴収する銀行が多いようです。
手数料額は銀行によって異なりますが、ある大手都市銀行では、毎年1,320円(税込)が預金残高から引落しされます。なお、預金残高が未利用口座管理手数料未満となった場合には、口座残高のすべてを未利用口座管理手数料の一部として徴収し、その後自動的に口座が解約されます。
コンビニATM利用手数料
コンビニ利用手数料は数年前から多くの銀行で引き上げ傾向にありますが、2021年4月頃から一部の銀行でさらに値上げとなっています。
たとえば、ある大手都市銀行では、手数料を110円引き上げて、平日の日中(8:45~18:00)は220円(税込)、それ以外の時間帯は330円(税込)となっています。
その一方で、毎月25日と26日の日中(8:45~18:00)は手数料を110円引き下げて、平日の日中(8:45~18:00)は無料、それ以外の時間帯は110円(税込)としています。
これは、給与の支給が集中し、多くの人がATMを利用することに配慮したものです。
銀行手数料負担を抑えるために、上手に銀行と付き合おう
銀行口座は給与受取りはもちろんのこと、お金を出したり、移動させたりと、家計管理、貯蓄、資産形成のために日常的に利用するものです。お金の出し入れ・移動の事情によっては手数料負担を避けることができない場合もありますが、できる限り負担は少なくしたいものです。
今回、いくつかの手数料のかかり方を紹介しましたが、どのような場合に、どれだけかかるか知っていれば、負担を小さくすることはできるでしょう。
たとえば、口座が複数あるなら必要最小限にまとめて未利用口座を持たないようにしたり、オンライン通帳を利用したりすることもできるはず。また、できるだけ現金を引き出さなくてもいいようにキャッシュレス決済を活用したり、貯蓄用口座へのお金の移動は自動振替の積立て制度などを利用すれば手数料はかかりません。
このとき大切なことは、毎月の家計支出をきちんと管理できるようになることです。毎月、何に、いくら、どんな方法でお金を使うかわかっていれば、銀行が手数料の見直しをしたとしても、大きな負担が増えることもなくなりそうですね。
(※本ページに記載されている情報は2021年7月24日時点のものです)