家計の節約を考える時に候補によくあがる保険料。健康であるほど保険料を無駄に感じがちですが、だからといって節約だけを目的に保険の見直しをするのはおすすめできません。見直しするなら必要性を考えて行うことが大切です。
前編の記事では保障の必要性と保険の見直しの関係について説明しましたが、後編となる今回は、保険の見直しを考えたいパターンをケーススタディ的に説明します。皆さんも加入している保険があれば、チェックしてみてはいかがでしょうか。
保険の見直し、節約ばかり考えて大丈夫?
見直しするなら保険料よりも必要性(後編)
2021年7月12日
前回の振り返り
前編では、保険の見直しというのは、加入している内容を確認し、必要性が変わっていたら内容変更、追加加入、解約などのメンテナンスを行い、最適化を図ることであることを説明しました。ライフプランの変化によって保障の必要性が変わる場合が多く、それに応じて保険の見直しをするのがよいことも説明しました。前編の内容を復習したいという方はこちらからチェックしてみてください。
こんな時、どう見直したらいい? 保険見直しのケーススタディ
保険を見直す「きっかけ」は、実はライフプランの変化以外にもいろいろあります。いくつかの例を挙げ、ケーススタディとして、どんな時に、どのように見直しすればいいか説明していきます。
ケース1「保険料負担が大変。ちょっと、入りすぎてない?」
もしものために保障の備えは必要ですが、過度に入る必要はありません。民間の保険のなかには、厚生年金(または国民年金)から支給される遺族年金や、(国民)健康保険の高額療養費制度など、公的保障でカバーできる部分もあります。もしも公的保障のことまで考えずに加入していたのなら、公的保障でカバーされる部分を減額してもいいでしょう。保険金額・給付金額(どうなったときに、保険会社からいくら払われるか)を確認してみましょう。
必要保障額と公的保障のバランスを見て、カバーしきれない部分があれば民間の生命保険や医療保険で補うようにするのがおすすめです。
たとえば、医療保障なら、健康保険が効くもの、効かないもの、高額療養費制度などがあります。入院時の食事代や、個室などに入院した場合の差額ベッド代、高度先進医療費などは(国民)健康保険が効きませんから、長期で入院した場合に貯蓄でまかなえそうになければ、これらの自己負担分を民間の保険で備えます。先進医療は受ける技術によっては数百万円する場合もあるので、不安があれば先進医療特約を付けて備えておくと良いでしょう。
ケース2「保険は必要だけど、保険料負担を抑えたい」
小さな子どもを養っている人や、フリーランスなどで会社の保障がなかったり、公的保障が小さかったりする人は必要保障額も大きめです。もしもの時に困らないよう、しっかり加入するのが理想ですが、その分保険料負担が大きくなります。そのようなときには、保障額はそのままで毎回支払う保険料を少なくする方法も検討してみましょう。
たとえば保険料の払込期間を長めにしたり、掛け捨て部分の割合を大きめにしたりすることで、同じ保障金額を確保しつつ保険料負担を軽減させることもできます。ただし、新規に加入し直す場合は、年齢が上がっている分、保険料率が上がる可能性もあります。しっかりシミュレーションしてもらいましょう。
ケース3「保険会社から見直しを勧められた。入り直すべき?」
一般的に、新商品が出たときなどに、保険会社は新規加入や新商品への切り替えを勧奨することが多くあります。自社の商品を売りたい事情もありそうですが、決してそればかりではありません。
一般的に新たな保険商品が発売されるのは、医療事情や社会的な変化があるときなどです。
たとえば、長寿化とともに介護を要する人が増えると見込まれるとき。医療技術の進歩とともに先進医療を受ける人が増える傾向にあるときなど。ほかにも、最近では、病状によっては日帰り手術(外来手術)も多くなってきましたが、かつては入院を伴うのが普通でした。入院日数も短期化の傾向にあり、日帰り入院や外来手術でも給付金が支払われるような保険が発売されるようになっていますよね。
このような医療事情の変化は知らない人も多いですから、既加入者に情報提供を兼ねて、新商品への切り替えをおすすめすることもあるのです。おすすめされて絶対に切り替えしないといけないわけではないですが、説明はしっかり聞くようにしましょう。
見直しする時の注意点
見直しで新しい保険に切り替えをする場合には、新たな保険契約が成立するまで旧契約の解約は待ちましょう。申し込みから契約成立までには少し期間を要します。もしも無保険状態の空白期間に万が一のことがあった場合は、保障を受けられませんし、一旦解約した契約を元に戻すことはできません。
また、もしも健康上の不安がある場合には今加入している保険を続けた方がよい場合もあります。保険に加入する時には健康上の告知や診査がありますから、状況によっては加入できなかったり、条件がついたり、保険料が割り増しされたりする可能性もあります。
また、妊娠中の女性の場合、妊娠や出産に関して一定期間は保障しないという条件がつくこともあります。今加入している内容をしっかり確認し、不足がなければ出産するまで見直しを待つのもいいかもしれません。
家族、職業、収入、生活費など、おかれている環境は人それぞれに違いますから、みんな同じように見直しをすれば良いというわけではありません。保険の見直しをしたけど、最適化が必要かどうかわからないという人は、ファイナンシャルプランナーなど、お金の専門家に相談してみるのもおすすめです。
(※本ページに記載されている情報は2021年6月18日時点のものです)