自分のキャッシュフロー表を作成する時、大抵の場合、親からの相続財産は含めずに考えます。でも、実際には親からの相続も少なからずあるでしょう。注意すること、早めにやっておくべきことなどをお伝えいたします。
知っておきたい「親からの相続」
2021年7月14日
相続の基礎
まずは相続の基本を押さえておきましょう。
親の財産がそんなに多くないほど揉めやすい
相続争いというと莫大な財産を持っている家の話で自分には関係ないことのように思うかもしれませんが、実際には相続争いで調停を申し立てている人の3分の1は親の財産が1,000万円以下、そして3分の2は親の財産が5,000万円以下です。現実的な金額の方が親族間で争いが発生しやすく、決して他人ごとではありません。親子ともきちんと対策が必要です。
子どもは相続する権利がある
親が亡くなった時、法定相続人になるのはその配偶者と、そして第1順位で子どもです。ですから、自分のご両親が亡くなった時は、必ず自分は法定相続人になります。
時には、「相続財産はすべて配偶者に相続させる」という親もいるでしょう。しかし、そのような場合でも、子どもは法定相続分の半分は相続する権利を持っています。これを遺留分といいます。できれば親の意思は尊重したいものですが、どうしてもその財産が必要であれば、請求することも可能です。
相続税がかかる人
相続をしたからといって、必ず相続税がかかるわけではありません。相続財産が、基礎控除(3,000万円+600万円x法定相続人の人数)を超えている場合、超えている部分に対して税金が発生します。実際に相続税が課税される人は8%程度と言われています。
期限が決まっている
相続が開始されると、さまざまな手続きが発生し、それぞれ期限が決まっています。
主なものとしては、3カ月以内に自分が相続するか放棄するかの意思決定をする、4カ月以内に亡くなった親の確定申告を代わりに行う、10カ月以内に自分の相続税の納付を行うなどです。
親の財産に合わせて何をしたらよいのか
相続税が発生しないのであれば、全く問題ないのかというとそんなこともありません。親に借金があったとか、現金がほとんどなくて、兄弟間でうまく分けられないなど少なからず影響を及ぼしてくる場合があります。相続財産が多い場合も含めて、これらのケースの対策をご紹介します。
親に財産がたくさんある場合
親にたくさん財産があればあるほど、自分が相続する財産も多くなる可能性が高くなります。そうすると、相続税も多額になる可能性が高くなります。
相続税を抑える方法として、生前贈与、保険の活用などが挙げられますが、これらは、あくまでも親に行動を起こしてもらう必要があります。自分の親がたくさん財産持っていそうだと思ったら、早めに親と話し合う機会を設けましょう。
親に財産はあるが現金がほとんどない場合
上記と重なりますが、税金は原則として現金納付なので、自分に預貯金があまりなく、親の財産が不動産だけというような場合は特に対策が必要です。税金を払えなくて、せっかく受け継いだ不動産を売却しなければいけないということにもなりかねません。
やはり、親と早めに話し合う機会を設けましょう。
親に借金がある場合
住宅ローンや自動車ローンが残っているとか、事業をやっていて借入金があるような場合もあります。中には、プラスの財産よりも、マイナスの方が多いという親もいるでしょう。マイナスの財産を抱えている状態で、そのまま相続すると、自分が相続割合に合わせてそのマイナスの財産も抱えることになります。
これを避ける方法としては、限定承認と放棄があります。
限定承認とは、自分が相続するプラスの財産の範囲内でマイナス分も引き受けるという方法で、自分の財産から持ち出しになることがありません。ただし、法定相続人全員で申し立てを行わなければいけないなど手続きが面倒なこともあり、実際にはもう一つの方法である放棄をする方が多いようです。
放棄は、相続財産すべてを受け取らないことにすることです。借金も背負うことはない代わりに、実際に計算してみたらプラスであったという場合にも相続することはできなくなります。
大事なことは親と話し合い
親からの相続に関しては親の意思が最優先です。問題が起きる可能性があれば親に伝え、動いてもらうことが必要です。そのためには、話し合いをしましょう。
・親にどれくらい財産があって相続税が発生しそうかどうか、
・現金がたくさんあるかどうか、
・借金があるかどうか、
・離れて暮らしている場合、不動産はどうするのか
など、話し合うポイントがいくつかあります。
デリケートな話題ではありますが大事な問題でもあります。だいたい親が70歳になったらそろそろ話し合いましょうと子どもの方から話を持ち掛けてみましょう。
(※本ページに記載されている情報は2021年6月23日時点のものです)