税制改正により、2024年から一般NISAが新NISAへ変わることになりました。2階建ての仕組みということで、つみたてNISAの利用が必須になるのかどうか気になるところですね。新NISAの仕組みについて、簡単にご紹介します。
2024年から新NISA始まる!
つみたてNISAの利用は必須ですか?
2021年5月26日
制度を見直しての延長
5年延長
2020年度税制改正で、一般NISAとつみたてNISAの延長(5年)が決まりました。ジュニアNISAのみ延長はなく2023年末で終了です。
この延長により一般NISAは2028年まで利用できることになり、つみたてNISAの制度期限が2042年までとなります。2023年まではつみたてNISAにおいて20年間の積立期間が確保できるということですね。
つみたてNISAは5年延長とだけ考えておけばいいくらいの改正内容ですが、一般NISAは2階建ての制度に見直されるため、新NISAと呼んで区別されています。
・つみたてNISA→つみたてNISA
・一般NISA→新NISA
・ジュニアNISA→なくなる
出典:財務省(https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei20/kojin.html#kojin02)
どちらかを選ぶ制度
ここで、つみたてNISAと現行の一般NISAの違いを軽く復習しておきましょう。一般NISAかつみたてNISA、どちらかを選んで利用する制度となっています。
一般NISA
・一般NISAの投資対象商品は上場株式、公募株式投資信託、ETF、Jリートなど
・一般NISAの上限は年間120万円
・一般NISAの非課税期間は5年間
つみたてNISA
・つみたてNISAの対象商品は長期、積立、分散に適していると金融庁から認められた公募株式投資信託、ETF
・つみたてNISAの上限は年間40万円
・つみたてNISAの非課税期間は20年間
・つみたてNISAは一般NISAに比べ若年層の利用者が多くみられている
出典:金融庁(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/overview/index.html)
つみたてとなる1階を必ず使わないといけないの?
なぜ2階建て?
一般NISAから新NISAへの大きな変更点は2階建てに仕組みになること。少額からの積立・分散投資を促進させたいという狙いのもとに導入されました。
簡単にいうと、一般NISAの一部をつみたてNISAと同様の制度にしたというイメージです。1階部分の投資対象商品はつみたてNISAと同様とされています。
つみたてNISAは非課税期間が長いけれど、新NISAでのつみたてだとどうなるのかと心配になりますよね。新NISAの1階部分で投資した商品は5年経ったあとにつみたてNISAにロールオーバー(※)可能です。
※非課税期間満了時に翌年の非課税枠を使用し、継続して非課税保有すること
つみたてなしで利用できる場合も
2024年からの新NISAの1階、2階部分の限度額はそれぞれ以下のとおり。
1階:20万円
2階:102万円
1階と2階合わせて122万円です。現行の一般NISAの上限が120万円ですから、2万円プラスとなります。そのうちのおよそ16%をつみたてにしてくださいねという構成です。
原則として、1階部分を利用して積立投資をした人が2階部分での投資も利用できるというルールとなります。ただし、従来のNISA口座を開設していた方や上場株式等の取引を行ったことのある方は、例外として1階部分の利用なしで2階部分の上場株式に投資できます。なお、この場合の対象は上場株式のみで上限は102万円です。
ロールオーバーの扱いの違いとジュニアNISAについて
新NISAにロールオーバー
一般NISAから新NISAへの移行についてですが、一般NISAで利用している投資商品は、非課税期間終了時に(新NISAの対象商品であれば)新NISAへロールオーバーできます。このとき、2階部分の枠が優先的に利用されます。
その際、時価ベース(非課税期間終了時の時価)でのロールオーバーとなります。ロールオーバーする金額は、まず新NISAの2階部分に充当され、102万円を超えると1階部分の枠が使用されます。122万円を超える場合は両方の枠を使い切ることになりますが、全額を新NISAに移管することができるので安心しましょう。
つみたてNISAにロールオーバー
一般NISAから新NISAの2階部分へのロールオーバーは時価ベースですが、1階部分のつみたて部分からのつみたてNISAへのロールオーバーは簿価(取得原価)で行われます。
例えば取得原価10万円の投資商品がロールオーバー時点で時価15万円となっていても、(投資枠のうちの)10万円分としてロールオーバーされるということ。投資枠が残りやすいため新規の投資をしやすくなりますね。
ジュニアNISAは20歳になるまで利用可能
終了するジュニアNISAについては、終了するまでに保有していた投資商品を名義人が20歳になるまで保有可能です。2024年以降の新規投資ができなくなるだけです。
また、制度廃止後はこれまで設けられていた引き出し制限(18歳まで引き出せないというもの)がなくなり払い出し可能となる変更点もあります。これまで利用してきた方にとってのメリットのひとつといえるでしょう。
新NISAとなっても、一定の条件下であれば1階部分であるつみたて投資を利用しなくても2階部分を利用できます。ただし、上限額が変わるなどの注意点もありますので、今のうちからつみたて投資についても検討しておくとよいでしょう。非課税メリットを利用する自分なりの投資方法についてゆっくり考えてみてください。
※本ページに記載されている情報は2021年5月11日時点のものです。