「年金」というと、老後貰える老齢年金を思い浮かべる人が多いと思いますが、他にも遺族年金と障害年金があります。ここでは、障害年金について、どういうときにもらえるのか、どんな特徴があるのか、注意しておくことなどお伝えします。
障害年金の仕組みとは?
受給方法と注意点を解説
2021年5月24日
障害年金は誰がもらえるのか
障害年金は、日本年金機構が定める「障害認定基準」に定められている状態になると支給されます。
障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金があります。障害基礎年金は国民年金に加入している人、障害厚生年金は厚生年金に加入している人に支給されます。厚生年金に加入している人は、同時に国民年金にも加入していますから、要件を満たしていれば、障害基礎年金と障害厚生年金の両方がもらえることになります。
ただし、以下のような支給要件を満たしている必要があります。
・障害の原因となる病気やけがの診察を受けていること(初診日)
・一定の障害状態であること
・初診日の前々月までに、保険加入期間の3分の2以上を納付または免除をしていることと、過去1年間未納期間がないこと
初診日から一定の期間を経過したのち、障害と認定され、初診日の時、20歳未満の場合は、20歳になり年金加入者になっても障害状態が続いているようであれば、障害年金が支給されるようになります。
障害年金はいくらもらえるのか
障害認定基準により、障害等級が決まります。そして、障害等級によって貰える年金額が決まります。
- 障害基礎年金の場合
1級 780,900円 x 1.25 + 子の加算
2級 780,900円 + 子の加算
- 障害厚生年金の場合
1級 報酬比例の年金額 x 1.25 + 配偶者の加給年金額 224,700円
2級 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額 224,700円
3級 報酬比例年金額 最低保障額 585,700円
(令和3年4月分から)
例えば、2級に該当する厚生年金加入者であれば、2級の障害基礎年金と障害厚生年がもらえます。3級で厚生年金加入者の場合は障害厚生年金のみ、3級で国民年金加入者の場合はもらえないということになります。
身体障害者手帳
障害者になった場合には、お住まいの都道府県に身体障害者手帳の交付を申請します。こちらも障害等級が1級から7級までありますが、障害年金で規定している等級とは別のものです。
身体障害者手帳を持っていると、以下のようなサービスが受けられます。
・障害用に使う器具の費用助成
・公共施設、公共交通機関料金などの割引
・所得税・住民税の障害者控除
・障害者雇用枠への応募
障害者になることで、仕事に制限が出てきたり、通院費用、障害に係る器具の費用などが掛かってくる代わりに、それらの費用をなるべく抑えるような措置が取られています。等級や地方自治体によって、受けられるサービスが異なってきますので、自治体の窓口などで確認しましょう。
注意点
障害年金は、以下の点について注意が必要です。
保険料は払い続ける
老齢年金の場合は、保険料の支払いが終わって65歳になったらもらうという流れになりますが、障害年金の場合は、60歳未満の場合、年金をもらえる一方で年金保険料を払わなくてはなりません。20歳から60歳までの40年間、保険料を払うという決まりになっているからです。
保険料未納の場合は、年金の支給が停止されてしまいますので注意しましょう。
老齢年金の繰り下げができない
老齢年金は通常は65歳から受け取りますが、繰り下げて受け取るることもできます。繰り下げることによって、受け取る年金額が増えるので、繰り下げたいという人も多いでしょう。
しかし、障害基礎年金をすでに受け取っている人は老齢基礎年金を繰り下げることはできませんし、障害厚生年金をすでに受け取っている人は、老齢厚生年金を繰り下げることはできません。
老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰り下げは別々に設定できますので、障害厚生年金のみ受け取っている人であれば、老齢基礎年金は繰り下げることができます。
障害年金について詳細は日本年金機構のホームページ 障害年金の制度のページ(https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/shougainenkin/index.html)で確認してください。
必要に応じて保険の見直しを
障害年金は、万が一のときに強力なサポートになります。
「高度障害になったらどうしよう」と不安になって医療保険に加入する人もいますが、保険に入る前に障害年金についてしっかり調べておくことをおすすめします。自分が障害者になった場合、どれくらいの年金がもらえるのか計算してみましょう。また、会社の福利厚生制度や自分の貯金を計算してみましょう。それでも足りない場合に、医療保険を検討するという順番でいいと思います。
すでに医療保険に加入している人は、必要に応じて見直しをしましょう。保険料を抑えることができれば、その分を貯金に回し、いざというときに使うことができます。
※本ページに記載されている情報は2021年5月11日時点のものです。