NISAの上限(投資限度額)が気になっていませんか。取引に慣れて売買の機会が増えると、すぐに上限の120万円に達してしまうかもしれませんね。NISAの次のステップとして、特定口座について知りたいと思う方もいるでしょう。NISA口座と特定口座の取引の違いを簡単にご紹介します。
NISAの次のステップ
特定口座の基本を知っておこう
2021年4月28日
NISAは非課税
難しく考えなくて大丈夫
NISAには非課税という大きなメリットがありますが、年間120万円の投資額上限もありますよね。この上限を超えて投資したい場合、ほかの口座を利用しなければなりません。
しかし、これまでNISAで投資をしてきたという方であれば、別の口座(課税口座)の利用を難しく考える必要はありません。
それぞれの口座について詳しく知っておくことも大切ではありますが、あまり難しいことを考えずにNISAから次のステップに進みたいという方は、税率がどのくらいか、確定申告が必要かどうかの知識だけ、基本としておさえておきましょう。なぜかというと、課税口座の場合、税金がかかるため確定申告が必要かどうかという話が関わってくるからです。
非課税期間終了後も投資を続ける方は必見
NISAを始めてから4年以上経つような方は、5年間の非課税期間終了後のことが気になり始めているかもしれませんね。
NISAには5年間の非課税期間が設けられており、それまでに株などを売却しなかった場合、翌年の非課税投資枠に移すロールオーバーを選択するか、課税口座に移すかどちらかを選択しなければなりません。
そのため、NISA口座での投資しか考えていないという方にも、課税口座の簡単な知識は役立ちます。なお、つみたてNISAの非課税期間は20年です。
NISA以外は課税口座
ほかにどんな口座が?
NISAを利用している方が保有している口座はNISA口座です。
NISAで投資しているときに注文画面などで目にした機会があるかと思いますが、証券口座には、ほかに一般口座と特定口座があります。また、特定口座では源泉徴収ありと源泉徴収なしを選べます。
【証券会社で開設する口座の種類】
・一般口座
・特定口座(源泉徴収あり)
・特定口座(源泉徴収なし)
・NISA口座
税率は20.315%
個人投資家向けの優遇制度であるNISAの大きな特徴の1つが非課税であること。これはNISAだからであり、本来は課税されるルールとなっています。
一般口座や特定口座での投資では、譲渡益に税金がかかります。具体的な数字でいうと、税率は20.315%。中途半端な数字と感じるかもしれませんが、復興特別所得税が0.315%のため、このような数字となっています。わかりやすく10,000円の利益があった場合で考えると2031.5円ですね。
NISAでの取引に慣れていると、こんなに税金がかかるの!?と感じてしまうかもしれませんが、これが本来の形です。
出典:国税庁(https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/index.html、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1476.htm、https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/04_5.htm)
確定申告が必要かそうでないか
源泉徴収ありの特定口座がおすすめ
NISA口座での投資は非課税とされているため、原則的に確定申告の必要がありませんでした。同様に、特定口座の源泉徴収ありを選んだ場合も(課税はされますが)確定申告せずに投資できます。金融商品取引業者(証券会社など)が源泉徴収してくれる仕組みのためです。
そのため、NISAの次のステップとしてほかの口座の利用を考えている方には特定口座の源泉徴収ありがおすすめとなります。なお、特定口座の源泉徴収あり・なしは年単位で決めるものであり、年途中で変更することはできません。
一般口座、そして特定口座の源泉徴収なしを選んだ場合は、20万円以上の利益が生じたときに確定申告が必要です。詳細は省きますが、一般口座のほうが申告に手間もかかります。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/b/01/1_06.htm)
源泉徴収ありのデメリット
先ほど20万円以上という数字が出ましたが、一般的な給与所得者や年金所得者は、20万円以下の利益のときは確定申告しなくてもいいと定められています。
しかし、源泉徴収ありの特定口座を利用していると、20万円以下の利益の場合でも源泉徴収されてしまいます。これは、特定口座の源泉徴収ありを選択した場合のデメリットです。
また、所得など個人ごとの状況により確定申告をしたほうが有利になることもあります。なお、同一口座内で譲渡損が出た場合は確定申告しなくても還付金が戻ります。
一般口座には未公開株を購入できるなどのメリットもあるのですが、NISAの次の口座を考えているような個人の方は特定口座を選ぶことが一般的というイメージで問題ありません。
必要であれば確定申告してもよい
大切なポイントなのですが、特定口座の源泉徴収ありにすると確定申告できなくなってしまうということではなく、しなくて済むということです。必要に応じて確定申告してもよいと覚えておきましょう。
NISA以外の初めての口座を考えている方にはまだ関係ありませんが、例えばほかの口座との損益通算(複数の口座を保有していて利益が出た口座と損失が出ている口座がある場合に利益から引き算できる仕組み)などをしたい場合に確定申告することでメリットを得られるケースもあります。
損失の出た口座があったときに確定申告することで損失を翌年以降に繰り越す(翌年以降の損益通算に使える)こともできます。
NISAの次のステップとして課税口座を利用する場合、確定申告なしの簡単な方法を選びたいのであれば特定口座の源泉徴収ありがおすすめです。確定申告することでメリットを得られる場合もありますが、申告上の所得額が増える可能性なども含めた総合的な検討が必要です。気になる方はFPに相談したりマイペースで学んだりしてもよいかもしれませんね。
※本ページに記載されている情報は2021年4月21日時点のものです。