20~30代の女性がかかるがんの中で多いとされる子宮頸がん。HPVワクチンには子宮頸がんを予防する効果があるといわれていますが、まだ受けていない方もいます。無料接種のチャンスのなかった女性たちが無料接種を求める署名を厚生労働大臣に手渡した話もニュースになりました。費用がどのくらいか、何回接種すればいいのかなど、女性として気になる子宮頸がんワクチンの基本情報について簡単にご紹介します。
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の費用は
どのくらい?何回接種すればいい?
2021年4月23日
子宮頸がんワクチンの現状
賛成派も反対派もいる
子宮頸がんワクチン費用の話をする前に、このワクチンを接種することの賛成派も反対派もいることを言っておかなければならないでしょう。
大ざっぱに理由を分けると、まず、賛成派は子宮頸がんにかかるリスクを下げられるからするべきという意見です。日本における子宮頸がん患者数は年間約1,100人程度(2017年)、子宮頸がんでなくなる方が年間約2,800人程度。反対派は副作用(あるいは副反応)のリスクを許容できないという意見です。
日本における子宮頸がんワクチン接種率は低い
日本の子宮頸がんワクチン接種率は低い(1%未満)のですが、世界では国による違いがあるものの30%以上、50%以上、80%以上など高い接種率が見られています。
どんなワクチンにも副作用リスクはありますが、子宮頸がんワクチンに関しても接種してよかったと考えている方と受けなくてよかったと考えている方もいるのが現状です。
その上で、自分はどうしたいのか、しっかり考えてから決めることが求められています。
子宮頸がんワクチンとは
感染を予防
子宮頸がんとは、その名のとおり子宮頸部(子宮の入り口)にできるがんのこと。ヒトパピローマウイルス(HPV)感染が原因ではないかと考えられています。一般的に性行為による感染とされています。
なお、HPVに感染した人が全員がんになるわけではありません。90%以上の場合でウイルスは自然に排出されます。子宮頸がんにかかる人は20代後半から増加し、40代がピークとなります。
子宮頸がんワクチンは、このHPV(具体的にはHPV16型と18型)への感染を予防します。子宮頸がんの原因の50~70%を防ぐ(後にご紹介する任意接種の新しいワクチンはさらに高い割合)といわれています。100%予防できるわけではないため、ワクチンを打ったとしても子宮頸がん検診(2年に1回)を受ける必要があることも知っておきましょう。
気になる副反応
HPVワクチンにかかわる有名な話の1つとして副反応(や副作用)が挙げられます。この点が気になり接種をためらった人も少なくないでしょう。
皮下注射ではなく筋肉注射のため痛みが起こりやすく、半数以上の人に接種部位の痛みが発生します。失神を起こした人もいて、因果関係が明らかとなっていない例もあるものの重篤とされる症状が出た人が1万人あたり約5人います。
発生頻度が低いとはいえ広い範囲に広がる痛みや手足の動かしにくさ、不随意運動などの症状が出た人がいるため、リスクを知ってからワクチン接種するかどうか冷静に判断しましょう。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/qa_shikyukeigan_vaccine.html、https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/)
子宮頸がんワクチンの費用
3つの種類がある子宮頸がんワクチン
子宮頸がんワクチンは定期接種の対象となっており、小6、中1、2、3、高1の女性は無料で接種(自治体の指定医療機関での接種の場合)できます。しかし、副反応の情報が十分提供できていないという理由により積極的な推奨はされていないという面もあります。
定期接種のワクチンにはガーダシルとサーバリックスの2種類があり、どちらを扱うかは医療機関ごとに異なります。
定期接種以外としては、2021年よりシルガード9というワクチンが新しく登場しています。予防できるHPVの数がほかの2種類に比べて多いため、任意で受ける場合、シルガード9を選ぶ人が多いと考えられるでしょう。
安いとはいえない接種費用
さて、気になる子宮頸がんワクチンの費用ですが、インフルエンザワクチン同様、医療機関によって費用が変わります。
ガーダシルやサーバリックスは3回接種で計50,000円前後の医療機関が多く見られますが、シルガード9はもう少し高めです。1回25,000円の医療機関であれば3回接種で計75,000円、1回30,000円であれば90,000円かかることになります。
インフルエンザワクチンと比べものにならないレベルで高価ですね。なお、子宮頸がんワクチンに限らず、ワクチン接種を希望する際は医療機関に在庫確認をしてから足を運ぶことをおすすめします。
子宮頸がんワクチンは約半年かけて3回接種する必要のあるワクチンです。費用も高いため、得られるメリットとデメリットを比較して自分自身で判断する必要があります。
厚生労働省のHPに小学生から高校生と保護者へ向けたリーフレットが公開されています。読みやすいためHPVワクチンが気になる若い女性にもおすすめです。子宮頸がんワクチンを扱っている医療機関の医師に相談してみてもよいでしょう。
※本ページに記載されている情報は2021年4月14日時点のものです。