親が70代くらいになってきたら、そろそろ親の財産について一緒に話し合う機会を設けましょう。なぜそれが必要なのか、そしてどんなことを話し合い、何をしておいたらよいのかについてお伝えします。
親の財産について話し合おう!
その必要性とやっておくべきこと
2021年2月12日
親が元気なうちに話し合う必要性
親が元気なうちに、親の財産について聞くのは失礼だという人がたまにいますが、親が認知症になってしまったり、亡くなった後では、親が本当はどうしたかったのか確認することができません。きちんと親の気持ちを聞いておいて、最後まで親の意思を尊重してあげるのが最大の親孝行です。
親と話し合う手順とポイント
そうは言っても、親の立場からすると、いきなり自分の財産について話し合おうと言われたら身構えてしまうかもしれません。家族全体の大事な話し合い事項であることを理解してもらい、きちんと親の意思を尊重することを伝えて話し合いを進めていきましょう。
以下のような順番で考えていくことをお勧めします。
親の財産は親のものと理解する
たまに、親の財産は同居している自分が管理して当然とか、自分がもらう予定だからもう使ってもいい、など間違った認識の人がいます。
親が築いた財産は夫婦二人で役割分担をしながら築き上げてきた財産であり、父親の財産を母親が相続したのであれば、母親のものであって、自分のものではありません。また、親に断りもなく勝手に口座から引き下ろすのも当然間違った行為です。
まずは、親の財産は親のものという認識を持ちましょう。
親の意思を確認
次に、親はその財産をどうしたいのか確認するようにします。
家族全員で集まって話す機会を設ければ、後々のもめ事を避けることもできます。どのような財産を持っているのか確認しながら、それを誰に譲りたいのか、寄付したいのか、あるいは売却したいのかなど聞いてみましょう。
その際、親に考えがあって言いたくないのであれば無理に言わせようとしないこと、自分に都合のいいように誘導しないことは心がけましょう。
相続対策を確認
そして、親が高額な財産を持っている場合は、自分たちに相続税が発生する可能性があります。もし親がしっかり対策を取っていないとか、あまり財産について教えてくれないような場合は、一緒に相続対策について考えなくていいか確認してみましょう。
例えば、年間110万円までの贈与であれば非課税ですし、孫の教育費として手続きをして贈与すれば1,500万円まで非課税です。このように生前贈与を活用することで相続財産を減らし、相続税を抑えることができます。
相続税は原則として現金で納めなくてはいけません。親の財産が不動産ばかりの場合、自分の手持ちの現金が多くない場合、親と相談しておかないと支払いの時に大変になります。
親が認知症や介護状態になった場合を確認
もし、親が認知症や介護状態になってしまった場合、お金の管理を誰がやるのかということもありますが、どこで誰が生活全般の面倒を見るのかということもあります。もし介護施設に入ってもらうという場合はどれくらいの費用が必要なのか、それは親の財産で賄いきれるのか、など確認しておきましょう。
認知症対策として、後見人制度や家族信託などがあります。本人に代わって財産管理を行う制度です。これらは本人に判断能力があるうちに決めて契約を結んでおかないといけませんので、ぜひ親が元気なうちに話し合っておきましょう。
エンディングノート・遺言書などを書いてもらう
以上の話し合った内容はきちんとエンディングノートや遺言書に書いておいてもらいましょう。
エンディングノートには法的効力はありませんが、書く内容は自由です。財産にかかわることの他に、亡くなった際に誰に連絡をしたらいいか、口座やパソコンのアカウントのパスワードなど、いざという時家族が困らない情報をすべて書いておいてもらいましょう。
遺言書は法的効力を持ちます。主に財産の配分について書きます。法定相続人が多いとか、財産の種類が多くて揉めそうなどという場合はぜひ遺言書を書いてもらうようにしましょう。不動産や銀行口座の名義変更手続きを行う時、公正証書遺言がある方が手続きがスムーズに済みます。
きちんと情報収集と専門家に相談しましょう
親との話し合いは1回では済まないと思います。親がきちんと財産状況や意思を伝えてくれたとしてもうまくまとまらないこともあるでしょうし、自分たちだけで進めていると、あとでとんでもない相続税額になったり、介護費用が足りなくなったりということも起こりかねません。最近は相続争いの件数も増えています。専門家にどんな方法があるのかしっかり情報収集しながら、相続対策、認知症対策などを進めていきましょう。