勢いや、どうしても断り切れなくて契約してしまって後悔した経験はありませんか。クーリングオフの期間を過ぎているからと、解約手続きに二の足を踏むケースも多いのではないでしょうか。今回は、一旦成立した契約であっても取り消しもしくは解除できる方法はあるのか、そしてそれはどのようは場合なのかについて説明します。
契約を解約したい!クーリングオフ以外でも解約できる方法ってある?
2021年2月19日
その契約が無効であると判断されるケース
そもそも契約については法的な拘束力があります。したがって、一旦成立した場合において、どちらか一方の都合のみで勝手に解消することはできません。しかし、契約自体が無効になる場合があります。例えば、「公序良俗に反する契約」や「重大な勘違い(これを錯誤といいます)による契約」などは無効となります。また、契約内容において「消費者に一方的に不利益な契約条項」などがあれば、その条項については無効となります。
契約の取り消しができるケース
一旦成立した契約であっても、以下のような場合は、法律に基づいて契約を取り消すことができます。そして、取り消しをすると、契約は初めに遡ってなかったものして扱われます。もしも、手元に残っている商品があればそれを返還すればよく、手元にない場合には返還は不要となります。
1.詐欺や脅迫による契約
2.未成年者や判断能力がない人(成年被後見人)などが行った契約
3.不当な勧誘による契約
・契約の重要事項について噓の説明をされた
・「必ず儲かる」など不確実なことを断定的に言われた
・不利益な事実をわざと教えなかった
・訪問販売や電話勧誘販売などで重要事項をわざと説明してもらえなかった
などにより、消費者側が誤認して契約した場合
・退去するように告げても事業者が退去しなかった
・消費者の退去を事業者が妨害した
などにより、消費者側が困惑して契約した場合
・通常の分量や期間などを著しく超える過量な内容の契約
契約の解約ができるケース
契約が成立し、勧誘方法などに問題がなかったとしても、以下のような場合には契約が解除できることが法律で認められています。このことを法定解除といいます。契約が解除されると、その契約は初めに遡ってなかったものとなり、契約前の状態に戻す原状回復義務が生じます。また、相手の契約違反により損害を受けた場合は、損害賠償を請求することもできます。
1.契約当事者の一方が、契約通りに履行しない場合
2.購入したものに隠れた傷や欠陥があり、契約の目的が果たせない場合
3.クーリングオフが適用される契約の場合
4.訪問販売、電話勧誘販売において、通常必要な分量を著しく超える商品の売買(これを過量販売といいます)の契約の場合
1のような場合は、債務不履行として解除することができます。また1〜4のほかにも、解除できる条件を契約時に定めた場合は、その条件を満たすことで契約を解除することができます。これを約定解除といいます。例えば不動産の売買契約において、買主が手付金を支払った際に、買主が手付金を放棄する、もしくは売主が手付金を倍返しすることで契約を解除するケースなどが当てはまります。また当事者間の合意により契約を解除することも可能ですこれを合意解除といいます。
契約の中途解約ができるケース
例えば有料のサービスを継続的に受けるような契約の場合には、契約を途中でやめることができるものもあります。ただし、途中解約の際には費用の負担が発生するケースもありますので、その内容についても合わせて説明します。
特定商取引法による中途解約
・特定継続的役務提供
「役務」とはサービスのことをいいます。消費者が契約する継続的なサービスのうち、エステなどの6つのサービスにおいては、特定商取引法において「特定継続的役務提供」と規定されており、中途解約を行うことができます。そして、解約時に事業者が請求できる違約金についても、エステの場合は「利用開始前であれば、2万円」、「利用開始後であれば、未使用サービス料金の1割または2万円のいずれか低い額」と決められており、それ以上の違約金を払う必要がありません。また、エステの契約時に化粧品を購入したよう場合であれば、エステの契約の関連商品として、化粧品の契約も解除することができます。
・マルチ商法
マルチ商法では、いつでも解約し退会できることが認められています。入会後1年以内に退会した場合、引き渡されてから90日以内で、未使用かつ再販売していない商品については、解約や返品が可能です。そして、解約に伴う違約金については、商品の売買代金の10%が上限となっています。
委任契約の中途解約
一定の法律行為を委託する委任契約や、専門家に事務を委託する準委任契約もいつでも解除することができます。ただし、場合によっては相手方の損害を賠償する必要が生じます。
しかし、継続的なサービスの契約書で、事業者が中途解約を禁じている場合など、消費者の利益を一方的に害する不利益な特約は無効となります。また、中途解約時の違約金や損害賠償額が、同業種の平均的な損害額を超える時には、その超える部分は無効となります。
このようにクーリングオフ以外でも契約を取り消したり、解約することは可能です。ただし、取り消しや解約においては相手側と何度もやり取りをする必要があり、その精神的負担もかなりのものになります。契約を締結する際は、もし嫌だったら後で取り消せばいいなどという安易な考えを持つことはせず、最初から内容に納得がいかない点はないかどうか、しっかり考えてから契約するようにしましょう。契約の締結については完全に自己責任であることをきちんと認識しておくことが大切です。
※本ページに記載されている情報は2021年1月20日時点のものです。