主婦や学生がアルバイトを始めたときに気になる、所得税の問題。48万円を超えたらかかるのか、103万円を超えたらかかるのか、よくわからないと不安になりますよね。世帯主の扶養控除との関係が気になるという方もいるでしょう。主婦や学生のアルバイトと所得税の関係などについて、具体的な数字で簡単にご紹介します。
主婦や学生のアルバイト!所得税がかかるのは
48万円から?103万円から?
2021年1月8日
一定額以上稼ぐとかかる所得税
所得税とは
主婦や学生が新しくアルバイトを始めようとするとき、「所得税を払うことになるのか?」が気になりますよね。
「所得税」は、個人の所得(収入)がある人にかかる国税です。細かい話までいうと、復興特別所得税(東日本大震災からの復興財源のための税金)と所得税をあわせて納付することになっています。
ただし、少しでも収入があると、すぐに税金がかけられる、というわけではなく、税負担を軽くするための「控除」の金額が差し引かれた後の課税所得金額に対して所得税が課される仕組みです。この控除との関係が、いくらまでなら所得税がかからない、いくらから所得税がかかる、という話につながります。
基礎控除48万円と103万円の壁について
所得に対する控除のうち、すべての方に適用されるものが「基礎控除」です。所得2,400万円以下の方の場合、基礎控除額は48万円。
次に、よく聞く103万円の壁の103という数字のカラクリの話にうつりましょう。所得にはいろいろな種類がありますが、一般的な正社員やパート、アルバイトの方がもらうのは給与所得ですよね。給与所得のある人の場合、給与所得控除が適用されます。
収入の額によって給与所得控除額は変わるのですが、162万5,000円までの方であれば55万円です。先ほどご紹介した基礎控除が48万円ですから、合わせると103万円となりますね。この二つの控除を合わせた範囲内の103万円までだったら所得税がかかりませんとなるのです。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/01_1.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1410.htm)
所得税、住民税にかかわる数字の話をもう少しくわしく
基礎控除額までだと48万円
給与をもらうスタイル以外、例えばメルカリで手作り商品を売るとか、家庭教師をして直接お金をいただくとか、そのような働き方の場合は、給与所得控除が適用されないため103万円の話には該当しません。基礎控除の48万円が基本となります。
なお、課税所得金額195万円までの方の所得税の税率は5%です。
住民税まで考えると103万円ではなく100万円
さて、国税である所得税のほかに、地方税である住民税(の所得割)も話も知っておく必要があります。前年の所得に対してかかる仕組みで、税率は10%です。
住民税の場合は、所得割の非課税限度額が45万円のため給与所得者の場合で(55万円とあわせた)100万円までとなります。給与所得者以外であれば45万円まで。
学生なら勤労学生控除が使える場合も
学生の所得に関しては、勤労学生控除27万円も受けることができるため、あわせてご紹介しておきましょう。勤労学生控除を受けられる条件は、合計所得金額(給与所得-給与所得控除55万円、収入-経費など)が75万円以下であること、そして勤労による所得以外の所得(株式投資による配当など)が10万円以下であることです。
給与所得のある方には、アルバイト先から給与所得者の扶養控除等申請書が渡されます。勤労学生控除を適用したい場合は、申請書内の該当の場所にチェックを記入すれば勤労学生控除27万円も受けられることになります。(給与所得控除、基礎控除とあわせると130万円となる)
給与所得以外の、例えば家庭教師報酬は事業所得あるいは雑所得の扱いです。給与所得控除は適用されませんが交通費などの経費は引けます。この場合でも、勤労学生控除を(確定申告すれば)受けられます。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1175.htm)
扶養の問題について
配偶者控除と配偶者特別控除
続いて、働く本人ではなく、世帯主の所得税額に影響する扶養控除などの話にうつります。世帯全体で見たときの税額に関係するため、こちらも大切な問題です。
主婦が新しくアルバイトなどを始めるときの、配偶者の所得に対する控除について簡単にまとめると以下のとおり。(配偶者控除、配偶者特別控除が適用されると配偶者の所得税額が少なくなる仕組みということ)
・配偶者の合計所得金額が1,000万円以下であれば配偶者控除を受けられる
・収入103万円(所得48万円)以下であれば、配偶者が13~38万円の配偶者控除を受けられる(配偶者の所得金額によって控除額は変わる)
主婦の収入が103万円(所得48万円)を超える場合でも、201.6万円(所得133万円)以下であれば配偶者の所得に応じた1~38万円の配偶者特別控除を受けられます。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1191.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1195.htm)
19歳以上23歳未満の方は特定扶養親族
先ほど勤労学生控除の話で控除額が130万円までになるという話がありましたが、学生のアルバイト収入が103万円超(所得48万円超)になってしまうと、親の所得税の扶養控除対象から外れてしまうため注意が必要です。
19歳以上23歳未満の方は特定扶養親族にあたり、控除額が63万円。親の所得税率により変わりますが、例えば所得500万円の方であれば税率20%のため12.6万円(63万円×20%)も所得税が増えてしまいます。
子どもがアルバイトを始めるときは、年間いくらまでを目安とするのが適当か、親子であらかじめ話し合っておくと安心ですね。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1180.htm、https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm)
(※本ページに記載されている情報は2021年1月8日時点のものです)