財形制度には、「一般財形貯蓄」「財形住宅貯蓄」「財形年金貯蓄」の3つがあります。3つあることは知っているけれど、それぞれ何が違うの?どれを選んだらいいの?と感じている人も多いのではないでしょうか。それぞれの制度の違いを確認し、ぜひ自分の目的、目標に合った制度で貯蓄を始めてみましょう。
あなたはどれ?
自分に合う財形制度を考えてみよう!
2021年1月1日
財形制度の概要
財形制度は、「勤労者財産形成促進法」に基づいた制度です。その名のとおり「勤労者」の「財産形成」を「促進」するための制度です。
財形制度は、毎月一定額を給与天引きで、会社が提携している金融機関に積立てを行います。貯蓄の基本は先取り貯蓄なので、給与天引きで積立てをする財形制度は、理想的な先取り貯蓄(口座に振込まれた給料は、すでに一定額が貯蓄された後の金額)であるといえるでしょう。
自動的にお金が貯まっていくので、貯金が苦手な人にも利用を検討してほしい制度です。
誰が利用できる制度?
第一に、会社が財形制度を導入していることが条件です。申込方法や募集期間も会社によって異なるので、申込みにあたっては詳細を必ず勤務先に確認しましょう。
またここでの「勤労者」とは、事業主に雇用されている人をいいます。民間企業に勤めている人のほか、公務員も含まれます。自営業者、フリーランスの人はここでいう「勤労者」にあたらないため、利用はできません。
貯蓄の目的を考える
ライフイベントによって利用する制度を考えてみましょう
将来マイホームを持ちたい人は財形住宅貯蓄
<主なポイント>
・加入できるのは55歳未満まで
・5年以上継続して積立を行うこと
・積立資金は、住宅取得、またはリフォームなどの費用に充てること
マイホームを購入する目標がある人は、財形住宅貯蓄を始めてみましょう。
住宅取得を目的とする積立てを条件に、「財形年金貯蓄」と合わせて積立金額550万円までと、その利息が非課税になります。(貯蓄型の場合)
老後資金を準備したい人は財形年金貯蓄
<主なポイント>
・加入できるのは55歳未満まで
・5年以上継続して積立を行うこと
・積立資金は、60歳以降、5年以上の年金として受け取ること
老後のための生活費を準備したい人は、財形年金貯蓄を利用しましょう。
積立てた金額を将来年金として受け取ることを条件に、「財形住宅貯蓄」と合わせて積立金額550万円までと、その利息が非課税になります。(貯蓄型の場合)
マイホーム購入費用や、老後資金などのまとまった金額は、すぐに準備をすることができません。財形制度を利用してコツコツ準備を始めてみてはいかがでしょうか。
ライフイベント全般に備える一般財形貯蓄
一般財形貯蓄は貯蓄目的に制限がありません。車の購入や、子どもの教育費用、病気で入院した際の療養費など、その時必要な資金に充てることができます。貯蓄目的に制限がない代わりに、利息が非課税になる優遇措置はなく、積立てた金額の利息は、預貯金同様に課税されます。
積立が継続できなくなった時のことを考える
ライフプランや生活環境は、将来変化することもあります。積立が継続できなくなった場合のことを確認しておきましょう。
積立てたお金を下ろしたいとき
一般財形では、積立開始から1年経つと自由に、必要な金額を下ろすことができます。会社を通じて引き出す場合には、引き出しを受付する期間や、支払日など、社内規定を設けている場合もあるので確認しましょう。
財形住宅・年金も、途中解約が可能です。目的以外または要件を満たさない払い出しは、過去5年間の利息に対して課税されます(貯蓄型の場合)。家を購入しなかったら積立てが無駄になってしまう、60歳以降しかお金を受け取ることができない、というわけではありません。
しかし積立期間や金融機関によっては解約手数料がかかる場合があり、元本割れをする可能性はゼロではないため、解約前には確認が必要です。
積立を中断したいとき
一般財形は、何回でも何年でも積立を中断することができます。
財形住宅・財形年金は、2年未満の中断が認められています(2年を経過すると非課税措置がなくなります)。回数の制限はないので、中断後2年以内に再開し、再び中断することも可能です。
財形は貯蓄の一種ですが、銀行預金のようにキャッシュカード1枚でお金を下ろすことができません。下ろすときには一定の手続きが必要になるため、衝動的にお金を使ってしまう、ということを抑えることができます。不便なようですが、一方で自分に厳しく貯蓄を進めることができるでしょう。
転職したらどうなる?
退職後、2年以内の再就職先で財形貯蓄を始めることができれば、これまでの積立て分を引継ぐことができます。財形住宅・財形年金で積立てた利息の非課税分も継続できます。
ひとくちに財形といっても、種類によって特徴があります。とりあえずオールマイティな一般財形から始める、もしくはライフプランや目標に応じて、財形住宅・年金をスタートしても良いでしょう。ぜひ、自分のライフプランを描きながら、積立を始めてみましょう。
(※本ページに記載されている情報は2021年1月1時点のものです)