人によってはもう親御さんの介護を経験されている方もいるでしょうし、そろそろという方もいるでしょう。将来の自分のためも含めて、介護費用はどれくらいかかるの?介護施設にはどんな種類があるの?など、基本的な知識を押さえておきましょう。
親の介護・将来の自分の介護
押さえておきたい介護の基礎
2020年12月9日
介護施設
介護度やサービス内容によって、以下のような種類があります。
介護度の低い人も入居できる順に並べてご紹介します。
シニア向けマンション
分譲タイプと賃貸タイプがあります。普通の物件を購入したり賃貸する場合にプラスして高齢者向けにバリアフリーになっていたり、看護師常駐、食事サービスなどのサービスがあります。
健康型有料老人ホーム
食事サービスの付いた有料老人ホームで、介護が必要になった場合は退去しなければいけません。
サービス付き高齢者向け住宅
介護の必要がない、比較的元気な高齢者のための住宅で、安否確認や生活相談を行ってくれます。介護は外部サービスを利用できますが、介護度や体調によっては退去しなければいけない場合もあります。
ケアハウス
低所得の高齢者向けです。一般型は自立している人、介護型は外部サービスの提供を受けることができます。
住宅型有料老人ホーム
食事サービスの付いた老人ホームで、介護が必要となった場合は、別契約で外部サービスを利用することになります。
グループホーム
認知症の診断を受けている高齢者が、5~9人程度のユニットで共同生活する介護施設です。認知症専門の職員が介護を担当してくれます。
介護老人保健施設
病院から退院して、そのまま自宅に帰るのが不安という高齢者を対象にリハビリをして、在宅復帰を目指すための施設です。入居期間は3~6カ月程度で、リハビリ効果が確認されたら退去する必要があります。
介護付き有料老人ホーム
介護が必要な人を対象とした老人ホームで、看取りまで可能な施設が多いです。食事や入浴といった日常生活の支援、機能訓練のサポートなどを行ってくれます。
介護療養型保険施設
長期の療養を目的としている施設です。看護体制がしっかりしているので、医療ケアを必要としている人によい施設です。
特別養護老人ホーム
要介護3以上の人を対象とした施設で、看取りまで可能な施設が多いです。サービス内容は介護付き有料老人ホームとほぼ同じですが、自治体が運営しているため、費用が抑えられます。
介護費用
施設にかかる費用として、金額は異なりますが、大きく分けて、入居一時金と月額利用料がかかります。
入居一時金は敷金とは違い、入居している期間に応じて費用として償却されていきます。退去時に残っている場合には返還してもらえます。
月額利用料の内訳としては、施設の賃料、施設管理費、食費、水道光熱費、介護費用などがかかります。
公的な施設では、入居一時金や施設管理費がかからないところもありますので、施設選びの時に確認してください。
また、施設にかかわらず、おむつなどの介護用品、医療費などもかかります。
介護保険制度
要支援以上の高齢者が介護サービスを受けた場合、介護度や収入に応じて介護サービスにかかった費用のうち1~3割を負担します。
サービスごとの自己負担額が設けられていますが、介護度別に介護保険支給限度額が決められており、限度額を超えたサービス利用については全額自己負担となります。ただし、自己負担限度額を超えた場合は、超過分を払い戻してもらえます。
一方、介護保険施設(特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設)、および特定施設(有料老人ホーム、ケアハウス、一部のサービス付き高齢者住宅)入居者の場合は、どれだけサービスを利用しても介護度別の負担限度額内という定額サービスになっています。
自分の仕事・お金
親の介護のために離職をする人は年間10万人を超えています。年齢的に50代が多いことから、再就職が難しく、離職後、無職の人が75%を占めます。転職できたとしても、女性の場合、正社員で働ける人の割合は転職者の3割程度で、パートやアルバイトで収入を得る人が5割以上です。収入額も平均で、転職前が約350万円であったのに対し、転職後は約175万円と半減します。(明治安田生命生活福祉研究所 2019)
この状態を回避するためには、デイサービスを活用すること、リモートワークを活用すること、介護休業制度を利用すること、などが挙げられます。
親の介護は、自身の経済面、肉体面、精神面に大きな影響を与えます。親が介護状態になる前に、家族や親族と介護についてあらかじめ相談をしておくと安心です。介護が必要な状態になった時には、一人で抱え込まないで、会社の人事担当者に相談したり、ケアマネジャーにケアプランを作ってもらいましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年12月9日時点のものです)