保険は目的を間違えて入ると、いざという時役に立たないものになるばかりか、損をしてしまいかねません。それぞれの保険がどんな目的のために作られていて、どういう風に活用すれば効果的なのか、おさらいしておきましょう。
損しないように!
「保険の目的」のおさらい
2020年11月23日
保険の種類
死亡保険
自分が亡くなった時に残された家族が金銭的に困らないために入るのが死亡保険です。
死亡保険金はみなし相続財産となり、法定相続人の人数だけ相続税の非課税枠がありますから、相続人の多い人が活用するにはいいと思います。
しかし、資産運用するための商品ではありません。外貨建て死亡保険に多いのですが、「外貨建ては利率が高いので、日本の保険に入るよりも満期返戻金が多くなる」「途中解約しても100%以上返ってくる」といった謳い文句で加入を促しているケースがあります。しかし、満期になった時あるいは解約した時の為替によって損をすることもありますし、かなり長期間加入していないと解約返戻率が低い商品が多いのが特徴です。
教育費のように中期的に一定金額が必要になる場合は、死亡保険で運用と考えてはいけません。
個人年金保険
自分が60歳や65歳など決められた年齢になった時、老後資金としてお金を受け取れるという、自分の老後に備えるための保険が個人年金保険です。
自分が生きている限り貰えますし、「保険料の払込期間が10年以上ある」「年金の受け取り期間が10年以上ある」など、いくつかの条件を満たしていれば所得控除もできますので、貯蓄方法の一つとして考えてもいいでしょう。特に貯金が苦手という方にはお勧めです。
保険料の総支払額よりも受け取る保険金額が多い商品であるかどうかは必ず確認してください。中途解約は損してしまいますので、手元に貯金があまりない人はよく考えてからにしましょう。
医療保険
自分が病気やけがをしたときの出費に備えるための保険が医療保険です。
入院給付金は入院費用を賄うため、手術給付金は手術費用を賄うための給付金です。入院して仕事ができなくなった分を賄うわけではありません。
医療保険に入る前に考えてほしいのが高額療養費制度です。年収に基づいて1ヵ月あたりの医療費の上限額が決められており、これを超えた分は払い戻しされます。お勤めの会社によってはさらに保障が厚いところもあります。ですから、ある程度貯金があれば、医療保険は必要ないかもしれません。
中にはお祝い金が付いている医療保険もあり、お祝い金がもらえると得した気になりますが、そもそも保険に入らずに貯金した方がもっと得です。
がん保険
自分ががんになった場合の出費に備えるための保険です。考え方は医療保険と同じです。医療保険の場合は、さまざまな病気やけがに対応できますが、がん保険はがんしか保障していません。がんにならなければ、保険料がすべて無駄になることも心にとめておきましょう。
そして、最近は入院日数が短くなり、通院型治療に変わってきています。加入する場合には、保障内容が最新の治療方法に対応しているかどうか確認が必要です。
また、先進医療を心配される方もいますが、原則として治療は、保険が適用される標準治療がほとんどです。医師から先進医療を勧められたとしても、先進医療は最良の治療というわけではなく、標準治療を選択することもできます。
補償保険・就業不能保険
自分が病気やけがで働けなくなった時に備えるための保険が所得補償保険や就業不能保険です。所得補償保険は、所得に応じた金額を設定期間、就業不能保険は、決められた金額を保険満了時まで支払います。
これらの保険に加入する前に考えていただきたいのは、健康保険に加入の方は、病気やけがで休業した場合、傷病手当金が出るということです。1年6ヵ月にわたり、標準報酬月額のおよそ3分の2が支給されます。
さらに、働けなくなる理由は自然災害や、今回のコロナのような休業要請などもありますが、その場合は所得補償保険や就業不能保険の対象外となってしまいます。
火災保険
家が被害を受けた時に備えるのが火災保険です。補償範囲が火災被害だけと思っている方も多いのですが、落雷・風災・水災などの自然災害、水漏れ、物体の衝突、盗難なども補償してくれます。
病気やけがの場合は、自分がある程度の貯金をしておけば医療保険に加入していなくても賄えますが、家が被害を受けた場合は貯金では賄えない金額になる可能性があります。必ず加入しておきましょう。
また、地震によって火災や損壊の被害を受けた場合は、地震保険をかけていないと補償対象になりません。併せて保険をかけておきましょう。
個人賠償責任保険
第三者に損害を負わせた時に備えるための保険です。自転車に乗る人は対人賠償に備える保険に加入することが義務化された地域もあります。自転車などで対人事故を起こすと損害賠償金が1億円に上ることもありますので、必ず加入しておきましょう。
火災保険や自動車保険の特約としてすでに付保されている場合もありますので、確認してください。
(※本ページに記載されている情報は2020年11月23日時点のものです)