火災保険は家を購入したら契約するもの、と思っていませんか?また、家を借りるとき契約した火災保険を、補償内容が分からないまま加入を続けていませんか?
賃貸住宅で役に立つ火災保険のポイントを確認し、万が一の時に慌てずに対応できるようにしておきましょう。
賃貸住宅に火災保険は必要?
2020年10月30日
火災保険は火事に備えるもの?
火災保険が役に立つのは火事になったときだけ、と思っている人もいるかもしれません。
現在保険会社では、火災のほか、落雷や台風、大雨による水災など、様々な自然災害や突発的な事故を補償するプランを用意しています。
保険会社によってプランや補償内容は様々ですので、自分の補償内容を確認してみましょう。
失火法とは?〜隣の家で火災が発生した場合〜
民法では、故意や過失で他人に損害を与えてしまったら、その相手方に対して損害を賠償しなければならないと定められています。しかし、その原因が失火による場合にはその限りではないとも定められています。これを失火法(失火責任法)といいます。つまり、自分の部屋が火元となり隣の部屋や近くの建物を類焼させてしまった場合、相手への法律上の賠償は発生しませんので、隣の家で火災が発生し、自分の財産に被害があったとしても、損害賠償を請求することも難しいでしょう。
自分でいくら火の元に注意を払っていても、一方的に損害が発生する事態は起こりえるのです。
自分の部屋で火事が起きた場合
家財の補償
今住んでいる建物が火事になり家財が全焼、新しく家財をすべて買いそろえなければいけなくなった時、いくら必要になるでしょうか?
人それぞれ異なりますが、テレビやベッド、洗濯機や炊飯器、電子レンジ、ソファや机、洋服やカバンなど、これらを一度に購入するのは経済的負担が大きくなります。このような時、火災保険で家財の補償に備えていれば、契約内容に応じて補償を受けることができるので安心です。
建物の賠償
人から物を借りたとき、キレイに整えてから返す人は多いと思います。これは賃貸住宅でも同様で、借りている部屋を退去するときは、その部屋を借りたときの元の状態で、返さなければなりません。万が一、火災等で建物の壁や柱に損害を与えてしまった場合、建物の修繕費用となるとかなり高額になります。これに備えるのが「借家人賠償責任保険」です。賃貸住宅契約時に、家財の保険とセットで加入している人も多いかもしれません。
大家さんが建物の保険に加入しているのでは?と思うかもしれませんが、賠償すべき加害者がいるのに大家さんの火災保険で修理するのは、意味が違います。大家さんの保険では補償されないケースや、仮に修理ができても、損害賠償請求が求められるケースもあるので、自分自身で備えておくと安心です。
建物に損害があったとき、自然災害によるものは大家さんの火災保険、自分に責任がある場合は自分の保険で補償される、と考えましょう。
周りへのお見舞い
失火法により、自分の部屋が火元となり隣の家、財物に損害を与えてしまったとしても、法律上の損害賠償は発生しません。しかし相手方に「私に賠償しなければならない責任はありません!」と言うのは現実的ではないかもしれません。火災保険には、被害があった相手方へのお見舞費用を補償してくれる特約がありますので、必要に応じて加入を検討しましょう。
部屋に泥棒が入った場合
戸締りをしていても、部屋に泥棒が侵入し盗難にあう可能性はゼロではありません。火災保険では、盗難による家財の損害(盗まれた!汚された!)に備えることもできます。保険会社により補償範囲が異なりますが、高額な家具やブランドのバッグ、現金や通帳が盗まれ預金が引き出されてしまった場合などに補償を受けることができます。
部屋で水漏れを起こした場合
例えば、部屋の洗濯機のホースが外れ、下の階の部屋に水漏れを起こしてしまった場合は、相手の損害に対して賠償責任が発生します。
このような場合に備え、「個人賠償責任保険」に加入しておくと安心です。
そのほか、自転車で人にぶつかってしまったとき、お店の商品を誤って壊してしまったときなど、日常生活で第三者に損害を与えてしまったとき、相手への賠償をカバーすることができる保険です。
個人賠償責任保険は火災保険のほか、自動車保険や傷害保険などに付帯させて加入することができるので、加入を検討する場合には、一度自分の契約を確認すると良いでしょう。
ストーブやコンロ、コンセントなど、日常生活に欠かせないものが火元になる火災も多く、「火の用心」は決して他人事ではありません。
自分で気を付けているだけでは防げない火災もあり、家財の補償や相手への補償は、保険で備えるべきものの1つといえるでしょう。
これから冬になり空気が乾燥すると、火災が発生しやすくなります。
万が一に備えて、ご自身の火災保険を見直してみてはいかがでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2020年10月30日時点のものです)