もうすぐ出産で休暇に入ったけど、収入が減る育休中のお金のやりくりはどうしよう…、給付金が出る程度のことは聞いたことはあるけど、どのくらいお金がもらえるのかな、など育休中のお金について具体的にわからない方も多いでしょう。そこで今回は、出産に関わるお金の制度と、育休中特有の出費、家計の見直し方法、仕事復帰への備え方についてお伝えします。ライフスタイルが大きく変わる時は、お金のことについて考えるチャンスです。しっかり押さえておきましょう。
育休中のお金のやりくり術とは?
制度を知る・整える・備えるでOK!
2020年10月14日
出産のお金の制度を知っておこう
妊娠から出産までの検診費用は、自治体からの補助があります。その他に出産でもらえるお金は、「出産育児一時金」、会社員であれば「出産手当金」と「育児休業給付金」です。出産にかかった費用は、確定申告をすれば医療費控除が適用され、支払った金額の一部を税金から引いてもらえます。
出産育児一時金
私たちは健康保険に入っていますので、出産した人は必ず「出産育児一時金」がもらえます。子どもひとりにつき42万円が、出産費用として支給されます。健康保険組合が、出産費用を直接医療機関などに支払う「直接支払制度」もありますが、キャッシュレス決済が可能であれば、本人が医療機関などに支払いしてもよいでしょう。後日「健康保険出産育児一時金支給申請書」などの書類を提出してから、42万円を受け取れます。ポイントがもらえるのでおトクになります。
出産手当金
「出産手当金」は、会社員の人が出産のために仕事を休み、給与の支払いが出なかった場合、出産前の42日間(多胎妊娠の場合は98日)、出産後の56日間のうち仕事を休んだ日数分が出産手当金として支給されるお金です。出産が早まった場合の支給は、出産日以前は休んだ日数分に短縮されます。反対に出産が遅れた場合は、その分もプラスして支給されます。
支給金額は、出産手当金支給開始日の以前12ヵ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3です。(標準報酬月額が12ヵ月以上支給されている場合)つまり、月収が30万円であれば、30万円÷30日×2/3=約6,600円/日、1ヵ月だと約19.8万円もらえるイメージです。
育児休業給付金
「育児休業給付金」も会社員の人がもらえる制度で、産後休暇の後180日間は、休業開始前の賃金の67%が、181日目からは50%が1歳になるまで支給されます。(上限・下限額あり。雇用保険に12ヵ月以上加入していることが条件)月換算で考えると、月収が30万円の場合、最初の半年間は毎月約20万円、半年過ぎからは、15万円受け取れるとイメージしておきましょう。
また、預け先がないことが理由で職場に復帰できない場合は、子どもが1歳6ヵ月になるまで、再延長で2歳になる前日までの期間も支給されます。パパが育休を取る場合は、「パパママ育休プラス」制度で、子どもが1歳2ヵ月まで支給が延長可能です。(ママの育休は1年で終了になります)
家計を整えよう
育児休暇中の収入がわかったら、家計を見直します。出産によるライフスタイルの変化で増える支出と減る支出を調整し、上手にやりくりできるようにしていきましょう。実践したいことは3つです。
1.収入の一定額と児童手当を貯金する
子どもがまだ小さいうちの方が、貯金はしやすいです。子育て中の理想の貯金額は収入の17〜18%程度が理想ですが、まずはムリのない範囲で金額を決めて、収入が入ったら確実に貯金用の口座に移す「先取り貯金」をして、残りの金額で生活をします。
自治体から支給される「児童手当」も将来の学費用に貯金しておきましょう。中学卒業まで、約198万円貯めることが可能です(所得制限あり)。注意点は、原則として、申請しないと支給されない事です。申請月の翌月分の手当から支給されます。さかのぼって請求することはできません。産後間もない時に、不慣れな手続きが多いですが、ぜひ家族にもやってもらいましょう。
2.固定費の見直し
見直しが必要になりやすい固定費をご紹介します。
・住居費
家族が増えた事で、マイホームや引っ越しを検討する方も多いと思います。収入の25%程度を目安に検討しましょう。
・通信費
外出が少なくなることで、通信量の消費が減る場合は契約ギガ数を減らしても問題ないでしょう。また、通話をほとんどしないのであれば、格安スマホに変えれば毎月5,000円程度は安くなることもあります。契約内容を見直してみましょう。
・保険
保険は、貯金や一方の収入で賄えるのであれば加入する必要はありませんが、家族ができたことで検討してもよい保険もあります。それは「収入保障保険」です。収入保障保険は、自分にもしものことがあったとき、残された家族の生活費を保障してくれる保険で、子どもが独立するまでなど、自分で設定した年齢まで毎月保険金を受け取ることができます。時間の経過とともに保険金総額が段階的に下がっていくので保険料が割安です。30代で月額保障が15万円であれば月2,000円〜3,000円代で加入できます。他にも不要な保険がないか見直しをしましょう。目安は収入の3〜5%程度です。
・水道光熱費
自宅にいる時間が増えるため支出が増えがちです。ガスや電力自由化を利用しましょう。水道代もお風呂のシャワーヘッドを節水タイプのものにするとよいですね。目安は、収入の5%程度です。
・習い事や定額サービスの解約
出産によって行けなくなった習い事や動画、スマホの月額サービスなど使用していないものがあれば解約しましょう。
3.変動費の見直し
・ベビーグッズと被服費
自分の洋服代は抑えられそうですが、オムツや赤ちゃんの衣類やベビー用品の支出は増えがちです。ネット上でかわいいモノを目にすることが増え、ついつい買ってしまいたくなることも。しかし、使うの期間はほんのわずかです。本当に必要かどうか考え、フリマアプリのようなサービスで安く手に入れ、不要になったら売り出すことも意識しましょう。
・交際費
出産祝いをいただく機会も増えます。お祝い返しは、いただいた金額の1/3〜1/2程度を目安にしましょう。
・食費
産後は気軽に出かけられないため、外食費は減らしやすいです。しかし、慣れない育児で、食事を作れずにお惣菜や加工食品などで支出を増やしてしまわないように気をつけましょう。ママや赤ちゃんのためにも、なるべく自炊で身体によい食事を心がけたいものですね。とはいえ、産後の疲れやすいママに、ムリは禁物です。たまにリフレッシュを兼ねた外食やテイクアウトを楽しむことは大切です。予算内に納めてやりくりしましょう。
もしもに備えよう
職場復帰するためには、子どもの預け先を確保しなければいけません。保育園の見学や、待機時児童が多い地域かなど保活をしておくと慌てずに済みます。
(保活の方法については、「保活って何からすればいいの?」 は3ステップで解決!こちらを参考にしてみてくださいね)
また、復職後に今まで通りの勤務体系で働くか、時短勤務にするかでも収入は変わってきますし、働いているがゆえにかかる支出もあります。収入、貯金、生活費がいくらくらいか想定しておきましょう。
育休中にお金の整理をしておくことで、復帰後もお金のやりくりに困らなくなります。子育てを楽しみながらやりくり上手、ぜひやってみてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2020年10月14日時点のものです)