会社に勤めている人が貯金をしたいと思ったとき、“財形制度”をご存じでしょうか。給与天引きの制度を利用して、確実に先取り貯蓄ができます。特に目的がないけどとりあえず貯金をしたい。とりあえず老後のために貯金をしたい。来年の旅行資金を貯めたい。など、さまざまな目的に利用できる財形貯蓄制度のポイントをまとめてみました。
“財形”をうまく活用して、人生を楽しもう
2020年5月15日
“財形”とは?
財形制度とは、「勤労者財産形成促進法」に基づき、勤労者(会社員・公務員)が財産を形成することを促進するための制度です。
会社がその人の給与から一定額を提携している金融機関に払い込みます。
また制度は3種類、マイホーム購入のお金を貯める目的の「財形住宅貯蓄」、老後の生活費を貯める目的の「財形年金貯蓄」、貯めたお金の用途に制限がない「一般財形貯蓄」があります。
どの財形を始めたらいい?
マイホームを購入のためのお金を準備したい!老後のためのお金を貯めたい!という目的があれば、「財形住宅貯蓄」や「財形年金貯蓄」がオススメです。制度の要件が「一般財形貯蓄」に比べて少し多くなりますが、税制上の優遇があります。長期的な目標を持ち、積み立てを始めることが大事です。
用途は決めていないけど、とりあえず貯金をしたい場合は「一般財形貯蓄」がオススメです。貯まったお金は必要な時に必要な額を引き出すことができ、自動車の購入や旅行資金、また急なケガや病気など不意な支出に備えるなど、様々なライフプランに対応できます。
なぜ財形でお金を貯めることができるの?
財形制度で積み立てを行うことのメリットをまとめてみました。
先取り貯蓄だから貯まる
財形を利用する1番のメリットは「給与天引き」による強制貯金であることです。給与を受け取ったときには一定額の積み立てが完了している状況ですので、自分の見えないところで自動的に積み立てがされる仕組み、と言えるでしょう。
貯蓄は「先取り」が基本です。毎月余った分を貯蓄にまわす、という方法では貯蓄の計画を立てづらく、毎月の積立額も不安定になり、「あれ、今月は貯金できなかったな・・・」ということにもなってしまいます。
預け忘れがなく費用もかからないから貯まる
給与が振り込まれたら一定額を別口座に預け替える、という方法も貯蓄として有効ですが、引き出し手数料や振込手数料がかかったりしていませんか。財形は会社が金融機関への積み立てを行ってくれるので、預け忘れがなく、費用もかかりません。
自分のペースで積み立てできるから貯まる
貯蓄は始めなければ、貯まりません。財形は1,000円から始められ、また「一般財形貯蓄」は、積み立てを中断することができます。中断した後、また再開することもできるので、生活の変化に応じて無理のないペースで積み立てを行っていくことができます。(「住宅財形貯蓄」と「年金財形貯蓄」は中断に条件があります)
すぐに引き出せないから貯まる
財形で積み立てたお金は、ATM等で引き出すことはできません。引き出すには会社への申請が基本です。自分で積み立てたお金なのに簡単に引き出すことができないと思うと不安に感じるかもしれませんが、手続きに手間がかかる分、気軽に引き出そうと思わなくなり、衝動的に使ってしまうことを避けることができます。
貯金の計画を立ててみよう
自分で貯め方を決められるのも、財形制度のいいところです。例えば、「一般財形貯蓄」で1年後の旅行資金20万円を目標に積み立てるとしたら、皆さんならどのように貯めますか?
・毎月の給与とボーナスからバランスよく貯める派
毎月の給与から1万円を積み立て、年2回のボーナスから毎回4万円を積み立てる
・毎月の積み立ては抑えたい!ボーナスでしっかり貯める派
毎月の給与から5千円を積み立て、年2回のボーナスから毎回7万円を積み立てる。
・ボーナスは使いたい!毎月の給与から積み立てを頑張る派
毎月の給与から1万7千円を積み立て、ボーナスからは積み立てない。(1年後は20万4千円になります。)
どのように積み立てるかは皆さんの自由です。
将来のための資金計画を立てることは、とてもワクワクしませんか。
財形を利用するにあたって注意したいこと
財形制度を利用するにあたって、確認しておきたい事項をまとめました。
利用できる人が限られる
財形は勤労者のための制度です。そのため、会社役員や自営業の人は利用できません。また財形制度を採用していない会社もあるので、利用にあたってはまず勤務先に確認しましょう。
金利が低い
財形で貯めたお金はそれ自体あまり増えません。金融機関によって異なりますが、その銀行の定期預金の利率と同等くらいであることが多いです。また、積み立てたお金の利息には銀行同様20.315%(復興特別所得税含む)がかかります。リスクがない安全資産ですが、運用して増やしたい!という目的には合わないかもしれません。
すぐお金が必要!に対応できない
貯めたお金は自分の都合に合わせて引き出すことができますが、所定の手続きが必要となります。会社によって払い出しの方法やスケジュールが異なるので、積み立を始める前に確認しておくといいでしょう。
将来のために、また身近な目標の貯金のために、財形制度は有益な方法の選択肢の一つです。財形で、ぜひ自分に合った積み立て計画を立ててみてはいかがでしょうか。
(※本ページに記載されている情報は2020年4月9日時点のものです)