株や投資信託で運用した利益に対して税金がかからない少額投資非課税制度のNISAが改正されるのはご存じでしょうか。お得な制度でありながら、2023年までで終了することになっていたNISAですが、2024年からは新NISAとして改正後の内容でスタートします。この改正が投資をしている人・したい人にどう影響してくるのか改正の内容が気になりますね。金融庁の資料などを参考に、新NISAの内容を先取りチェックしてみましょう。
NISAが変わるって知っていますか?!
変更点を先取りチェック!
2020年2月9日
いまのNISAを再確認
今現在取り扱いされているNISAの仕組みを確認しておきましょう。そもそもNISAは金融機関でNISA口座を開設し、その専用口座を通して年120万円を限度に株や投資信託に投資をすると、最長5年間得られた利益に対する税金がかからないという制度です。
得られた利益というのは、たとえば投資する対象が株式ならば保有している間に受け取る配当金、または買った値段より上がった時に売って得られる売却益(譲渡益)などがあります。投資の対象が投資信託なら、保有している間に受け取る分配金、株同様に買った値段より上がった時に売って得られる売却益(譲渡益)などがあります。同じ投資信託や株式に投資する場合でも、NISA口座を通さず売買する場合にはこれらの利益に20%(2037年までは20.315%)の税金がかかりますから、手取り利益で考えれば非課税の効果は大きいものです。たとえばある株式を保有して、配当金を1万円受け取る場合、通常ならば約8,000円の手取りになるところ、1万円そのまま受け取れるというのはメリットが大きいですね。
現行NISAの詳しい仕組みは「リミットはいつ、いくらまで?賢く上手に活用したい、これからのNISA」の記事でも詳しく紹介していますから、ぜひ読んでくださいね。
実はNISAは期限付きの制度で、新規に投資(株や投資信託などの購入)できるのは2023年12月末までです。2023年中に投資した分はその年の分を含め5年間は非課税で運用できることとされていますが、最長2027年12月末で終わり。非課税メリットを得るなら、それまでに売却してしまうことが求められてしまいます。あるいは2027年12月末以降は課税口座に移して、その後に受け取る利益は課税されることになっています。
しかし超低金利なうえに、高齢化が進み、投資などでの自助努力が求められる時代。老後に備えた資産形成を後押しする目的で、2020年度の税制改正大綱でNISAの改正、拡充が盛り込まれました。
新NISAって?今のNISAとどう違う?
そこで気になる改正、拡充の内容ですが、改正されるポイントはいくつかあり、一番に挙げられるのは、新規投資できる期間が2023年末までとされていたのが、2024年以降も新規投資できるようになるということです。具体的には5年間延びて2028年末までになる予定です。
実は変わるところはそれだけではありません。単に期間が延びるだけではなく、制度の中身が変わります。そこで、以降は今の制度を現行NISA、2024年からの制度を新NISAとして話を進めていきます。
最も大きな変更点は新NISAが2階建ての仕組みになることです。1階部分はリスクの低い「投資信託」などに対象を限定した積立枠、2階部分は現行どおり「上場株式」などにも投資できる枠です。原則としてベースの1階部分に投資しないと2階部分には投資できません。ただし、現行NISAをすでに行っている人は、1階部分への投資をしなくても2階部分を利用できることになるようです。
年間の非課税投資限度額も少し変わります。1階部分が20万円まで、2階が102万円までで合計最大122万円となる予定です。現行NISAは年間最大120万円ですから、2万円分非課税枠が増えることになります。
もちろん現行NISAでも1年間で120万円の限度額いっぱいに株や投資信託を買う必要はありませんが、新NISAも同様です。
運用益の非課税期間はどちらも5年で現行と同様です。
現行NISAと新NISAの違いを表にまとめましたので確認してください。
つみたてNISAは?
簡単に言うと、新NISAは2階建てになり、1階部分はつみたてNISA、2階部分は現行NISAと同様の仕組みです。今ある2つのNISAを組み合わせたものと考えるとわかりやすいですね。
ところで、現在のルールでは、NISAは「一般NISA」か「つみたてNISA」のどちらか一方しか選べないことになっています。この点に関しては実は新NISAも同じ。今までと同じく「一般新NISA」か「つみたてNISA」のどちらか一方を選ぶことになるようです。
出典:金融庁「令和2年度税制改正について-税制改正大綱における主要項目-」
コツコツと積み立て投資もしたいけど、株式投資の売買も経験してみたいという人には1つで両方ができる新NISAを利用してみるのも良いかもしれませんね。
現行NISAからのロールオーバーも可能
NISAには「ロールオーバー」という仕組みがあります。これは、5年間の非課税期間が終了した後、その資産を翌年のNISA非課税投資枠に移管すること。非課税投資枠に移管することで5年間「非課税期間」を延長することができ、最大10年間非課税運用ができます。
これまでのルールでは、2023年までと決まっていた新規投資期限の関係で、2019年の新規投資分からは非課税期間終了後のロールオーバーはできないとされていました。つまり、最大10年間非課税運用できるメリットが最大5年と半減してしまっていたのです。
しかし新NISAが始まると、現在の一般NISAから新型NISAの2階部分へロールオーバーが出来るようになります。その分非課税で運用できる期間が延びることになり、またメリットが大きくなりますね。
まだNISAを始めていない人も今からでもトライしてみてはいかがでしょうか?おトクな非課税メリットを活かし、賢く資産形成していってくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2020年2月9日時点のものです)