会社員の場合、勤務先が年末調整をしてくれるため、今まで確定申告をしたことがないという人も多いでしょう。しかし、会社員であっても、副業の収入が年間20万円を超えると確定申告をしなければなりません。そこで、初めて確定申告をする人に向けて、やり方の手順といくつかのポイントをお伝えします。
会社員で副業している人の確定申告のやり方
手順とポイントを解説!
2020年1月28日
副業で確定申告が必要なケースは?
会社員が副業をしている場合、確定申告が必要となるのは以下のケースです。
(1) 1か所から給与の支払を受けている人で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(2) 2か所以上から給与の支払を受けている人で、主たる給与以外の給与の収入金額と給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円を超える人
(注)給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、給与所得及び退職所得以外の所得の金額の合計額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。
※「給与所得者で確定申告が必要な人|国税庁」より抜粋
(1)はつまり給与所得ではない副業のケースです。所得の金額とは、副業の収入から経費を引いた金額のことです。そのため収入が20万円を超えていたとしても、経費を引くことで20万円以下となれば、確定申告をする必要がなくなります。
小さな規模の副業であっても、かかった経費を把握するために領収書などはきちんと取っておきましょう。
(2)については少しわかりにくいですが、副業が給与所得であった場合、給与の収入とその他の所得を合計して20万円を超えたら確定申告が必要となります。この場合、20万円以下であれば、確定申告は不要と思ってしまいますが、そうではありません。副業を含めた給与収入の合計額から所得控除(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外)を引いた金額が150万円を超えていたら、副業が20万円以下であっても確定申告をしなければなりません。つまり本業の所得だけで150万円を超えているなら、副業の給与がいくらであっても確定申告は必須ということです。
副業の種類によって変わる確定申告
あなたの副業が何であるのかによって、確定申告のやり方が変わってきます。下記のどれに当てはまるのか確認しましょう。
給与所得
アルバイトやパートなどで給与として収入を得ている場合は、給与所得となります。この場合、副業先の会社からも源泉徴収票が出ますので、確定申告では、本業、副業、両方の源泉徴収票を用意します。給与所得の場合は、確定申告書A(給与所得者用の申告書)を使います。
雑所得
原稿料や講演料、印税、アフィリエイトの収入、フリマやオークションでの販売収入、FXや仮想通貨取引で得た利益など、給与以外の多くの副業がこのカテゴリーとなるでしょう。
これら1年間の収入と必要経費を計算しておきましょう。必要経費は物販であれば仕入れ代金や送料、他にも消耗品や通信費、交通費も経費にできます。
事業所得
事業所得とは、事業として営んでいる人のその事業から生ずる所得を言います。雑所得と事業所得の厳密な区別はありませんが、継続的に収入を得ている、規模が大きくなっている場合は事業所得として申告すると青色申告が利用でき、雑所得で申告するよりもおトクになる場合があります。
譲渡所得
株の取引で利益を得た場合は、譲渡所得として申告します。ただし、取引している口座によって、確定申告が必要な場合、しなくてもいい場合があります。
源泉徴収ありの特定口座とNISA口座は確定申告をする必要がありません。源泉徴収なしの特定口座や一般口座の場合は、利益が20万円を超えた場合は確定申告をする必要があります。
不動産所得
会社員をやりながら不動産収入を得る「サラリーマン大家」が副業という人もいるでしょう。アパートやマンション、駐車場の貸付によって得られる所得は不動産所得となります。
賃料などの収入から必要経費を集計して所得の金額を計算します。建物は年々価値が減るため、その減った価値を減価償却費として必要経費とすることができます。
確定申告のやり方
1.必要な書類の準備
・源泉徴収票
・支払調書(報酬としての支払いがあった場合に発行されます。支払われた金額と源泉徴収された税額が記載されています)
・経費となる領収書
・その他控除(医療費控除、寄附金控除、雑損控除などがある場合)のための領収書
・マイナンバーカード(個人番号の記載あり)
・通帳
2.確定申告書の作成
申告書の作成にはいくつかの方法があります。
税務署に赴いて申告書をもらって作成する方法、国税庁のHPから申告書をダウンロードして作成する方法、国税庁のHPの『確定申告書等作成コーナー』にアクセスして作成する方法です。
ここではより簡単な『確定申告書作成コーナー』で作成する方法を説明します。
3.作成手順
確定申告書等作成コーナーから提出方法を選び作成します。
入力方法を選択して作成を開始しますが、質問に「はい」「いいえ」と答えて、回答に応じて表示される画面に入力するだけで申告書を作成できる便利な方法もあるので、自分で確定申告書に記入することに慣れていない方は利用してみるとよいでしょう。
4.提出方法
e-Taxを利用すれば、その場で電子申告ができます。ただし、ICカードリーダーが必要だったり、事前申請が必要となるなど、前もって準備をしておかなければなりません。印刷して郵送で提出する場合は提出期限に注意する必要があります。確定申告の期限は3月15日となっており、消印日付が提出日となります。期限ギリギリの場合は、郵便局の窓口に出向いて消印の記録が確認できる特定記録郵便や簡易書留で提出するとよいでしょう。
副業を会社に知られたくない場合は
会社員の場合、住民税の支払いは特別徴収として給料から天引きされます。そのため、確定申告をすると、副業の所得に対する住民税額も会社に通知されてしまいます。会社に副業をしていることを知られたくない場合は、自分で住民税を払う普通徴収を選びましょう。
確定申告は手間がかかって面倒といったイメージがありますが、インターネット環境があれば、思った以上に簡単に申告書が作成できます。e-Taxの登場で、自宅から即時提出も可能となりました。会社員が副業をするケースは今後ますます増えていくことでしょう。確定申告をすることで、今まで会社がやってくれていたために無頓着になりがちだった税金についての理解が深まるかもしれませんね。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月28日時点のものです)