投資信託は運用をプロにまかせて、ほったらかしにできると思いがちですが、すべてをお任せできるファンドラップでもない限り、購入後のメンテナンスは自分でする必要があります。長期運用の場合、計画どおりにいかない場合も多く、分散投資を考えて資産配分をしてもバランスが崩れることがあります。そんな場合の対処法など、投資信託購入後のチェックポイントと解決策についてお伝えします。
投資信託の見直しは必要?
購入後のチェックポイントを解説!
2020年1月13日
投資信託は買って終わりではない
投信信託は運用をプロにお任せできることがメリットですが、必ずしも計画通りに運用されるとは限りません。各投資信託の運用成績をチェックするだけで終わっていませんか?
長期的な資産運用を考えた場合、ポートフォリオを作って、それを自分で管理しなければなりません。リスクを上げないためにも、ポートフォリオの定期的なメンテナンスが必要です。そうは言っても、投資初心者にとっては、何をどうしたらいいのかわからないと思います。そこでまずは、ポートフォリオのチェックすべきポイントを確認しておきましょう。
どんな資産配分になっているか把握する
投資信託と一口に言っても、投資対象はさまざまです。日本株式、外国株式、国内債券、外国債券、REITなど主な投資先によって、○○型の投資信託と分類され、それらを複数持つことで分散投資ができます。国内株式型の投資信託を一つ持っているだけでも、分散投資はできていますが、国内株式全体が下がってしまったら終わりです。そこでもっとマクロな視点を持って、資産配分をすることをアセットアロケーションと言います。これを投資信託で行う場合、異なる投資対象の商品を組み合わせたポートフォリオを作ることで可能です。
まずは、持っている投資信託の投資対象をチェックし、資産配分の比率を出してみましょう。
理想的な資産配分とは
一からポートフォリオを作る場合、どのような資産配分にしたらいいのでしょうか。
一般的に債券よりは株式の方が、国内よりも海外の資産の方がリスクとリターンが高くなる傾向があります。そのため、これらの組み合わせによってリスクとリターンをある程度自由に設定することができます。
ライフプランによって、リスクを大きく取れない時期や、積極的に運用したい時期などがあります。子どもが生まれて仕事を中断している時期はリスクはおさえ、子育てが一段落して二馬力で働き出した時などはリスク許容度は大きくできるでしょう。リスクをおさえたい時は、債券の比率を大きくしたり、国内株式や海外でも先進国株式などで運用します。リスクを取ってリターンを上げたい場合は、株式比率を多くしたり、新興国の債券や株式を買うことで収益率を上げることができます。このように、ライフプランを基にして、リスクをどの程度取れるかで資産配分は変わってきます。これがベストといった正解はありません。運用を続ける中でその人の最適な資産配分を見つけてみてください。
<ポートフォリオの資産配分の一例>
リバランスはどうして必要?
資産配分を決めたとしても、株式投資信託や公社債投資信託は日々値動きをしており、次第にバランスが崩れてくることがあります。そうした時に、もとの比率に戻すことをリバランスと言います。たとえば、株式が他の資産に比べて値上がりすると、株式の比率が高くなります。上がっているので良いように思いますが、株式の比率が高くなるということはそれだけリスクが高くなります。次に株式が値下がりした時にダメージが大きくなるのです。リスクを管理することで当初の運用目的が果たせます。そのためにもリバランスが必要なのです。
リバランスの方法
どのようにしてリバランスをしたらよいのでしょうか。リバランスには二つの方法があります。
1.ウエイトが下がっている資産を追加購入する
2.ウエイトが上がっている資産を売却する
たとえば、資産Aを50と資産Bを50保有していたとします。資産Aが値上がりして60になった場合にリバランスする方法は、資産Bを10追加購入して60にする方法、資産Aを10売却して50に戻す方法、合わせ技として資産Aを5売却し、資産Bを5追加購入して55にする方法があります。
ここで気を付けたい点は、投資信託を売買すると手数料がかかることです。また、利益が出ているものを売却すれば税金もかかります。そのため、頻繁にリバランスを行うことはおすすめできません。では、どんなタイミングでリバランスを行ったらよいのでしょうか。
リバランスを行うタイミングは?
投資の指南書などでは1年に1回は定期的にリバランスを行った方がよいといった記述があります。実際、ほったらかしにした場合と、リバランスを行った場合では、リバランスを行った方が高いパフォーマンスを示すというデータが多く見られます。何もしないよりもリバランスを行った方がよいということはわかっても、どのくらいの頻度でいつ行った方がよいのかは難しい問題です。あまり頻繁に行うとコストがかさみます。また、たくさん行えば効果が高くなるということでもないようです。
考え方としては二つあります。
1.定期的にリバランスをする方法
2.運用状況に応じてリバランスをする方法
定期的にリバランスをする方法は先程のような1年に1回、期日を決めて行う方法です。運用状況に応じて行う方法は、たとえば、配分比率が10%以上変化したらリバランスを行うといったルールを決めて、そのような状況になったタイミングで行います。
リバランスの本来の意味からすると、2の方法が正しいと言えますが、運用状況をマメに確認する必要があったり、大きな相場変動時にも冷静な判断で行うことが求められるなど、初心者にとってはハードルが高いと言えます。初心者は期間と期日を決めて、定期的にリバランスをする方法がやり易いでしょう。
リバランスをしなくてもいい方法
資産運用では、ほったらかしはよくない、定期的に見直しをする必要があるという話をしてきましたが、それでも、何もしたくないという人は、バランスファンドを購入する方法があります。
これは、運用の過程でバランスが崩れた場合に、運用会社がリバランスをしてくれるので、本当に何もする必要がありません。ただし、コストが割高だったり、ファンドの中身がわかりにくいと言うデメリットもあります。
投資信託で長期的な資産運用をするならば、ポートフォリオの見直しは不可欠です。運用成績をチェックするたけでなく、バランスが崩れていないかチェックすることはとても大切です。定期的にリバランスをしてリスク管理をしましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月13日時点のものです)