老齢年金は65歳からもらえるということは知っていても、会社を辞めて起業したり、途中で配偶者と死別したり、障がい者になった場合、年金ってどうなるんだろう?って考えたことはありませんか?今回は、それらのケース別に年金がどうなるのかお伝えします。
独立起業・死別・繰り下げ・・・
こんな時、年金ってどうなるの?
2020年1月6日
1.年金のキホン
まずは簡単に、年金の基本のキホンをおさらいしておきましょう。
年金は2階建て
20歳から60歳までの全員が加入しなければならない国民年金と、会社員の場合はさらに厚生年金が上乗せされます。
年金の種類は3種類
一般的に「年金」と言っているものは老齢年金。
それ以外に、障がい者になった時にもらえる障害年金、遺された扶養家族がもらえる遺族年金があります。
被保険者は3種類
厚生年金加入者は2号被保険者、2号被保険者に扶養されている人は3号被保険者、それ以外を1号被保険者としています。
2.こんな時年金はどうなるの?
では、以下のようなことが起こった場合、年金がどのようになるのか見ていきましょう。
起業・再就職したとき
会社員の2号被保険者から個人事業主の1号被保険者になる場合は、厚生年金から国民年金になります。将来受け取る年金が2階建てから1階建てになるので、起業の際にはその減少分も念頭に置いておきましょう。
3号被保険者である専業主婦が仕事を始めた時は、起業に限らずパートなどでも年収が130万円を超えた時は、扶養枠を外れます。1号被保険者、または2号被保険者として保険料を支払うことになります。
死別したとき
配偶者と死別した場合、自身が配偶者に扶養されており、18歳未満の子どもがいれば、遺族基礎年金を受けることができます。780,100円 + 子の加算(第1子・第2子224,500円、第3子以降74,800円)で計算されます。
被保険者が厚生年金加入者の場合は、遺族厚生年金も受け取ることができます。この場合は、子供がいない妻も受け取ることができます。年金額は、被保険者が払い込んだ保険料や払込期間により、所定の計算式によって決まります。
また、遺族基礎年金と遺族厚生年金を受けていた妻、あるいは18歳未満の子どもがいない妻は、40歳から65歳までの間、中高年加算として、525,800円が加算されます。(記載の年金額はすべて2019年4月から)
自分が老齢年金を受け取れるようになると、自分の老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金、そしてそれまでの受給額の方が多かった場合は差額を遺族厚生年金として受け取ることができます。
海外に居住したとき
1号被保険者の場合は、国民年金への加入が強制ではなくなり任意になります。そして日本に帰国した時、また強制加入に戻ります。海外にいる間、保険料を払わないことも可能ですが、その分将来の年金受取額は少なくなりますし、その間に遺族年金や障害年金の支払事由が発生しても受給資格がなくなります。
2号被保険者の場合は、居住期間が5年未満の場合、日本の社会保険制度に継続して加入になります。日本との社会保障協定が未発効の国に居住の場合は、相手国の社会保障制度にも加入が必要になります。
居住期間が5年を超える場合は、相手国の社会保障制度に加入することになりますが、日本との社会保障協定が未発効の国に居住の場合は、日本の社会保障制度にも継続して加入になります。
障がい者になったとき
国民年金加入者で所定の1級または2級に該当する障がい者になった時は障害基礎年金を受けることができます。1級は780,100円x1.25、2級は780,100円です。さらに18歳未満の子どもがいる場合は子の加算があります。(第1子・第2子224,500円、第3子以降74,800円)
2号被保険者の場合は、3級まで受給資格があります。年金額は、被保険者が払い込んだ保険料や払込期間により、所定の計算式によって決まります。
繰り下げ・繰り上げしたとき
65歳に達した月から月単位で繰り下げ・繰り上げを行うことができます。
繰り下げの場合は1ヵ月あたり0.7%増額、最長で5年間42%増額することができます。老齢基礎年金と老齢厚生年金を別々の繰り下げ月で受給することができます。ただし、遺族年金や障害年金を受け取る権利ができた時点で繰り下げはできなくなります。
繰り上げの場合は1ヵ月あたり0.5%減額、最長で5年間30%減額になります。繰り上げの場合は、一度繰り上げ申請すると変更することができません。
保険料を滞納したとき
直近10年分は遡って追納することができます。保険料を払わないままにしていると、将来の年金受給額が減ることと、遺族年金や障害年金の支払事由が発生しても受給できなくなります。
どうしても支払いが難しい場合は、若干将来の年金受給額は少なくなりますが、所得に応じて保険料免除や猶予の制度もあります。
その他、結婚した場合、離婚した場合など、被保険者の種類によって変わる場合もありますし、受給などに関してここに記述した以外に細かい条件が規定されています。詳細は、日本年金機構のホームページなどで確認してください。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月6日時点のものです)