年末調整や確定申告で必ず使われる「所得控除」には様々な種類があります。そしてそれぞれの控除の内容をきちんと理解し、活用することで節税にも繋がります。今回は、この所得控除の内容についてまとめてみたいと思います。
確定申告や年末調整で使われる「所得控除」
これって何のためにある?
2020年1月7日
所得控除って何のためにある?
企業では、収益から費用を引いた「利益」について法人税が課税されます。それに対して、私たち個人には収入から控除を差し引いたものが「所得」となり、それに対して所得税や住民税が課税されることになります。 企業と個人に共通して言えることは、「収益もしくは収入を得るためにかかったお金には税金はかかりません」 という考えが大前提にあるわけです。
そして、個人においてはその人の家族構成や、個人的な事情などを国がきちんと配慮してくれるという意味もあり、課税に対する国の姿勢が表れる場面である ともいえます。
所得控除は3つに分類される
所得控除にはいろんな種類がありますが、「どこに注目するか」 によって以下の3つに分けることができます。
1.誰が持っている情報なのか?
基本的には個人(本人)が全ての情報を持っています。しかし会社が把握している情報もあります。
2.どれだけ控除できるのか?
控除の中でも「負担した全額を控除できるもの」、「負担した額のうち、一部だけが控除できるもの」、「要件を満たすことで、一律で定額を控除できるもの」があります。
3 .どこから控除できるのか?
控除のほとんどは所得から控除するかたちになりますが、住宅ローン控除は税額からの控除になります。従って、節税額が大きくなります。
所得控除の主なもの
1.社会保険料控除
年金保険料や健康保険料、介護保険料のほか雇用保険料のうち、本人が負担したものが控除されます。原則給料天引きとなりますので、この額については源泉徴収票に記載された額となります。ただし、給料天引きではなく本人が直接支払ったものについては、その額を申告することになります。
2.生命保険料・地震保険料控除
万が一の事態に備えた「自助努力」に対する控除ともいえます。ただし、上の社会保険料控除とは違い、負担した額のうち一部のみの控除となります。
3.扶養控除
配偶者や16歳以上の子や親などで、収入がないなど、本人が養う必要がある場合において適用される控除です。該当する人数に応じて決められた額が控除されます。
4.基礎控除
最低限の生活を維持することを目的とし、税金を納める全ての人が無条件に適用される控除です。現在は38万円となっていますが、2020年からは48万円まで増額される予定となっています 。
5.住宅ローン控除
住宅ローンの残高に応じて、一定割合を税額から控除するものです。1年目は必ず確定申告をしなければなりませんが、2年目からは年末調整にて申告することが可能です。
所得控除を有効に使う意味
税金の払い過ぎを防ぐ
毎年の年末調整である程度のまとまった金額が返ってくる人は、言い換えれば「本来の額よりも多く、給料から天引きされていた」 ということになります。では、どうしてそんなことが起こってしまうのでしょうか。その理由としては、
・生命保険料や住宅ローンなどの控除については、年末調整までは計算していない。
・年の途中で扶養家族が増えるなど、家族構成の変更についても仮計算する所得税額についてはその後の天引き分から調整する。
という決まりになっていることが挙げられます。その為に、きちんと該当する所得控除についてはもれなく申告することが大事といえます。 もし仮に、年の途中で扶養家族が減ったり、収入(給料やボーナス)が大きく増えることになったりすると、逆に「徴収」というケースになることもあるので、そういった面にも注意しておいてください。
そもそも税金の負担については「同じような経済状況の人が、同等の税負担を負うべき」 という考え方があります。この考え方に基づいて、「一定の基準に応じて税金の負担が軽減される制度」 が『所得控除』というわけです。ただし、何もしなくても適用されるわけではなく、きちんと申告しなければなりません。(条件を満たしていることを申告する。)
もしくは確定申告が必要な場合もあります。誰かが教えてくれるわけでもありませんので、自分がしっかりした知識を持って行動すること が大切です。この所得控除についても、「賢く使う」という意識をしっかり持って活用し、節税に繋げていくようにしましょう。
(※本ページに記載されている情報は2020年1月7日時点のものです)