親が元気でいるうちにしておきたいことの一つが「お金の話」です。急に入院したら? 意思の疎通ができなくなったら? 通帳や印鑑の場所、親が加入している保険などを知っていますか? 仲がいい親子でも、なかなかお金の話はしづらいものですが、いざという時に慌てないためにも、今のうちから親の資産状況や○○になった時には□□するなど、親の意向を聞いておきましょう。
年末年始の帰省がチャンス
親とお金の話をしよう!
2019年12月28日
親の資産を知っていますか?
親が資産をどのくらい持っているのか、特に気にしたことがないという人の方が多いのではないでしょうか。資産は銀行預金だけでなく、不動産や金融商品、保険、貴金属なども含めると多岐にわたります。
もし、知らずに親が亡くなったとしたら、かなり困った事態が想像できます。
そうは言っても、「お金どこに預けてある?」「印鑑と通帳の場所おしえて」とストレートに聞くことは、親子と言えどもなかなかできないものです。
そんな時には、友達の親が急に亡くなって、どこに何があるのかわからず大変だったらしい、というような話を何気なくしてみると、話すきっかけが作れるかもしれません。
エンディングノートを活用しよう!
資産状況などの話を口頭で済ますのはお互い大変です。親からしても、資産の棚卸しをして整理する必要性を感じるはずです。そんな時に役立つのが「エンディングノート」です。
エンディングノートには、さまざまな情報を書き込めます。
・資産状況(銀行口座・有価証券・不動産・ローンなど)
・加入している保険
・クレジットカードや電子マネー
・口座自動引き落としになっているもの
・年金
・親戚や友人などの連絡先
・携帯やパソコンについて
・医療、介護について
・葬儀やお墓について
・相続について
・家族へのメッセージなど
エンディングノートの多くには、このような項目欄が用意されているので、伝えたい情報を漏れなく記すことができます。
ただし、遺言状のような法的な効力はないので、相続財産について伝えたいことがある場合は、別途遺言状を作成することをおすすめします。
介護になったら
お金の話と同様に、しておかなければならないのが“介護の話”です。希望をエンディングノートに記すだけではなく、話し合いをすることが大事です。子には子の生活があるので、親の希望どおりになるとは限りません。
親が在宅介護を希望しても、子の状況から見て叶わないと判断したら、しっかり伝えるべきです。
また、介護施設を希望したとしても、金額の問題や、施設の不足など、個人の希望だけではままならないものがあります。介護問題は社会全体で抱える問題となっています。
話し合いの中で親の希望をしっかり聞いて、折り合いをつけることは可能です。暗くなりがちな話ですが、ぜひ避けずに話し合ってほしいと思います。
家をどうするか
親がいなくなった後の家をどうするかというのも大きな問題です。不動産は預貯金と違って簡単に分けられないため、相続が複雑になります。
相続人が1人(両親が亡くなって子1人)の場合は、単独相続となり、特別な手続きもなくそのまま家がその子のものとなります。しかし兄弟がいる場合は、一旦、兄弟全員の共有持ち分となり、その後、遺産分割をしなければなりません。遺産分割には3つの方法があります。
1.不動産を売却して、現金にして分ける
2.兄弟の1人が不動産を相続して、相続しなかった者へ代償分の現金を払う
3.共有財産としてそのまま兄弟みんなのものにする
1の場合は、現金化して、等分に分けられるので、不公平がありません。しかし、その不動産が売れなければどうにもならないので、持っている不動産次第とも言えます。2の場合は、兄弟の誰かがその家を使いたいという場合に有効です。ただしその家の価値を割り出して、現金を用意する必要があるので、相続した人間がある程度の金融資産を持っていないと難しいものがあります。3は面倒な手続きの先延ばしと言えます。不動産の共有状態は後々のトラブルの元となることがあります。
親が元気に暮らしているうちは、なかなか家のことまでは考えないと思いますが、家も相続財産の一つです。年末年始の帰省で兄弟が集まるなら、こうした話題を出してもいいかもしれませんね。
親が気づいていないことに気づくチャンス
年末年始の帰省で、久しぶりに親に会うという人は、親との会話を楽しむのはもちろん、親の行動や、家の中などをしっかり見ておくことも大事です。
普段の生活で困っていることはないか、家電の故障はないか、会話や行動から親の健康状態がわかることもあります。
また、最近なにか契約したものがないかを聞いてみるのも有効です。
離れて暮らす孫の顔を見たくてタブレットを購入したけれど、回線契約でさまざまなオプションを付けられて、高額な料金を請求されている例などもあります。
高齢者を狙った詐欺事件は後を絶ちません。“親の財産を守ることは子の務め”と考えて、何かあった時に気づいてあげられるようにしたいですね。
親が入院した、介護になった、亡くなった、どれも考えたくない出来事です。しかし、避けては通れない問題である以上、準備をしておく必要があります。心の準備はできなくても、いざという時の対処方法を準備していれば、気持ちの安定につながります。年末年始の帰省はまたとない機会です。元気な親とたくさん話ができるといいですね。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月28日時点のものです)