テレビのワイドショーをにぎわす「所得隠し」や「脱税」という言葉。遠い世界で起こっているように感じますが、起業女子にとっては、いつ自分に降りかかってくるかわかりません。「知らなかった」と後悔する前に、しっかり税金のことを学んでおきましょう。
「知らなかった」じゃすまされない!
起業女子の税金事情
2019年11月23日
「所得税」とは?
所得税とは、一言でいうと「個人の所得に対してかかる税金」のことをいいます。
1年間のすべての所得から14種類ある所得控除を差し引いたものを「課税所得」といい、所得に応じた税率で計算した税金を所得税として納めるという仕組みです。
給与所得
会社員や公務員は勤務先から給与やボーナスが支払われます。これらの所得を「給与所得」といいます。
会社員や公務員は、1年間の所得が「だいたいこれくらいだろう」と予想した上で毎月の給与から所得税が引かれています。そして、年末に1年間の給与所得を計算して、社会保険料控除や配偶者控除などそれぞれの事情に応じた控除をし、納めるべき所得税が確定します。
さらに、給与から天引きされていた税金が本来納めるべき税金より多い場合は、12月の給与支払いの時に差し引きされて還付されます。これが「年末調整」の仕組みです。
また住民税は、1年間の所得が確定した後、翌年の6月から給与から天引きされます。
このように会社員や公務員は、基本的には自分で確定申告をしなくても税金を納めることができているのです。
事業所得
では、起業した場合はどうなのでしょうか。
個人事業主やフリーランスの場合は、1年間事業を行うことで得た所得「事業所得」に対して、所得税と住民税を納めます。会社員や公務員と大きく違うのは、個人で納める必要があるということです。
所得税は、翌年の2月16日から3月15日までに確定申告をして一括で納税をします。
住民税は、確定申告をした後6月に一括で納めるか、6月末、8月末、10月末、翌年1月末の4回に分割して納めます。
給与所得の場合は、給与から天引きされていたので忘れずに納めることができていましたが、起業した場合は、きちんと自分で確定申告をして納めることになります。
納税は国民の義務なので、「知らなかった」「忘れていた」と言うのは通用しません。
万が一税金を納めていなかったり、納める額をごまかしていたりした場合は、本来納めるべき税金の差額を追徴税として納める必要があります。そしてペナルティーとして、脱税の金額によって「付帯税」が課されます。
起業するということは、税金に対しても自分でしっかり責任を持つということなのですね。
確定申告には2種類ある
起業した場合、事業で得た所得に対して確定申告が必要だということがわかりました。では、確定申告には、どのような種類があるのでしょうか。
白色申告
白色申告は、一般的な確定申告です。
面倒な帳簿の準備などは不要ですが、税金などの優遇を受けることができません。
青色申告
税金を納めるのは当然の義務ですが、できることなら少しでも節税したいですね。
税務署に「個人事業の開業届出書」を提出している場合に、「所得税の青色承認申請書」を提出することで青色申告をすることができます。
青色申告は節税の大きなメリットがあります。 複式簿記による記帳などの条件を満たすことで最大65万円を控除することができます。 その他の場合は、原則10万円の控除です。
「起業したばかりで経費が嵩んで赤字・・・」という人にも、青色申告はメリットがあります。 その年に生じた損失の金額を、翌年以降3年間にわたり繰越控除することができます。
法人税の方が節税になるの?
起業をして順調に所得が増えてきたら、納める税金も当然増えてきます。
「会社組織にした方が節税になる」というようなことを聞いたことがある人もいるでしょう。これはどのような仕組みなのでしょうか。
所得税と法人税の違い
先ほど見てきたように、個人事業主は事業所得に対して「所得税」を支払いますが、所得税は、所得額が大きくなるにつれて税率が高くなっていきます。
一方、会社を作ると会社の利益から社長に役員報酬が支払われ、その役員報酬は経費として扱うことができます。そして利益から経費を差し引いた利益に対して「法人税」がかかります。
また支払われた役員報酬は給与所得となり、給与所得に対して「所得税」がかかる仕組みです。
2019年現在の中小企業の法人税は、所得800万円以下15%、800万円を超えると23.2%です。個人事業主で所得800万円の場合は所得税が23%なので、法人税の方が安いということですね。
法人なりするタイミングは?
個人事業主が法人化することを「法人なり」といいます。
どのくらい利益が出たら法人化した方が税金面でおトクなのでしょうか。
実際はもっと細かい計算が必要になりますが、ざっくりと考えて1年間の利益が500万円を超え、業績が安定してきたなと思ったら、そろそろ法人化を考え出してもいいのではないでしょうか。その時は税理士に相談して、きちんとシミュレーションを出してもらってくださいね。
起業女子の皆さん、将来の社長を目指して税金の知識もしっかりつけてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月23日時点のものです)