2020年1月から所得税の改正が行われます。そこで気になるのが「我が家はどうなるの?」ということでしょう。どのような改正が行われるのか、そして増税と減税のそれぞれのシミュレーションをみていきましょう。
増税?減税?
2020年の所得税改正どうなるの?
2019年11月11日
税制改正の仕組みは?
2018年度税制改正大綱により、2020年1月から所得税が改正されることになりました。
そもそも税制改正大綱とは何でしょうか。
税制改正大綱とは、翌年度以降の増税や減税など新しい税の仕組みを提案したものを言います。景気や雇用情勢などを考慮して、政府の与党が毎年12月半ばに発表しています。そして、翌年の1月に国会で税制改正法案を審議して可決されるという仕組みです。
所得税の改正は2つ
2017年12月の「2018年度税制改正大綱」では所得税改革が中心となり、2020年1月から14種類ある所得控除の中で「基礎控除」と「給与所得控除」が見直されることになりました。
この改正の目的としては働き方改革の一つとして、働き方の多様化を応援するためだと言われています。
基礎控除の見直し
基礎控除とは誰もが受けることができる控除で、年収から差し引くことができます。
2019年までは、誰もが年収から38万円を差し引くことができていました。
2020年1月からはこの基礎控除が10万円引き上げられ、48万円を差し引くことができるようになります。
ただし、これは合計所得金額が2,400万円以下の場合に限られます。合計所得金額が2,400万円を超えると、基礎控除の額は段階的に引き下げられます。そして、合計所得金額が2,500万円を超えた場合は控除対象から外れます。
給与所得控除の引き下げ
「給与所得控除」とは、会社員や公務員などの給与所得者が、勤務する上での必要経費として年収から差し引くことができる控除のことをいいます。
2020年1月からの給与所得控除の改正のポイントは2つです。
まず1つめは、 給与所得控除が一律10万円削減されます。
そして2つめは、 給与所得控除の上限額が現在は給与収入が1,000万円に対し、850万円に引き下げられます。 ただし、22歳以下の子どもがいるいわゆる子育て世帯は適用外となります。
増税?減税?ラインはどこ?
所得税は、年収から14種類の所得控除を差し引いた「所得」に対して計算されます。同じ年収でも、所得控除が大きい方が支払う税金が少なくて済むというわけです。
今回の改革で、自分が支払う税金がどうなるのか気になるところだと思います。具体的にみていきましょう。
増税になる人
今回の改革で増税となるのは、給与収入が850万円以上で独身または子どもがいない人です。
給与所得控除が適用される給与所得の上限が1,000万円を超える額から850万円を超える額に引き下げられ、給与所得控除額の上限も220万円から195万円に引き下げられます。
例えば、給与収入が1,000万円の場合で考えてみましょう。
改正前は、基礎控除38万円+給与所得控除220万円=258万円の控除額でした。ところが改正後は、基礎控除48万円+給与所得控除195万円=243万円の控除額となり、税金の負担が15万円増えることになります。
変わらない人
改正後も、現状と変わらない人は給与収入が850万円以下の人です。
給与収入が850万円以下の場合、基礎控除額が10万引き上げになりますが、給与所得控除額が一律10万円引き下げられる計算になります。
差し引き0円となり、税制が改正されても税金の負担は変わらないことになります。
減税になる人
今まで見てきたように、基本的に会社員や公務員などの給与所得者は2020年の税制改正によって、現在と変わらないか、または増税になることがわかりました。
では、2020年の税制改正で減税になる人はいるのでしょうか。
個人事業主やフリーランス、自営業などの人で課税所得が2,400万円以下の人は基礎控除が10万円増税されて減額となります。
先ほど、税制改正の目的が働き方の多様化を応援するものだとお伝えしました。誰もが受けることができる基礎控除を手厚くすることで、フリーランスや自営業の人に減税の恩恵が受けられるようにという目的があるのですね。
会社員や公務員などの給与所得者は、基本的に源泉徴収され確定申告をする必要がありません。そのため、自分がどの程度税金を支払っているか知らないという人もいるでしょう。この機会にぜひ、自分が支払っている税金について考えてみてくださいね。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月11日時点のものです)