とうとう消費税率が10%に上がってしまいましたね。日本では初めての2ケタ台の消費税率とあって、家計への負担を考えてか政府もさまざまな対策を実行しています。とはいえ、子どもがお小遣いで買い物をする場合でもかかってしまうのが消費税。家計への負担増は皆に一律とは言いにくいかもしれません。そこで今回は、給料の大小で増税の影響に違いがあるか考えてみましょう。
増税のインパクトが大きいのは
給料が低い人と高い人のどっち?
2019年11月2日
誰でも使える!増税インパクトを抑える2つの対策
今回の消費税増税では、「軽減税率」と「ポイント還元制度」が導入されました。すでに家計管理に活かしている人もいると思いますが、まだの人はこの記事で再確認して増税の負担を抑えましょう。
軽減税率
スーパーやコンビニのレシートなどで「税率8%対象」「税率10%対象」と2種類の税率に分かれて記載されているのに気づいている人は多いはず。8%の税率を軽減税率といい、「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」が対象です。
ただし、外食およびイートインなど外食とみなされるものは10%の消費税がかかりますが、テイクアウトや宅配、出前などは軽減税率が適用されて8%の税率です。
ポイント還元制度
スマホ決済などで買い物をして、既に2%あるいは5%のポイント還元(値引き)を受けた人もいるでしょう。政府主導のポイント還元制度は、赤地に「C」と黄色の「レ」のロゴマークが表示されているお店でキャッシュレス決済をしたときに、5%(フランチャイズ店舗では2%)のポイント還元がされる制度です。
来年6月末までに期間限定制度ですが、当面の間は2%の増税分が実質ゼロあるいは3%分割安に買えることになりますから、実質上は増税よりも減税と言えそうです。ただし、同じ店で同じ物を買っても現金で払う場合にはポイント還元はありません。またキャッシュレス決済をしても大手スーパーやデパートなどのいわゆる大企業での買い物ではポイント還元制度はありません。また個人店舗や中小企業の店舗でもポイント還元制度に加盟していない(ロゴマークのない)お店での買い物でもポイント還元制度はありません。
給料によって増税インパクトは違う?
先に見た2つの増税対策は、単純に考えると、外食をしない人、お酒をあまり買わない人、キャッシュレス決済できる人が最もお得を享受できる可能性があります。でもこれって、収入の大小で違いはあるのでしょうか。
総務省の家計調査から、年収ごとの家計支出を参考にして増税の影響を検証してみましょう。
出典:総務省「家計調査(2018年)/家計収支編/二人以上世帯(勤労者世帯)」を元に筆者編集
(*)消費支出の額は8%課税済
軽減税率対象消費は食費から酒代および外食費を差し引いた金額です。この分にはすでに8%の消費税がかかっているため、残りの一般消費に10%の税率で課税し直したのが2つ目のオレンジ色のラインです。その結果、すべての年収帯で家計負担総額は増えることになりました。ここでは最低250万円から最高700万円までで比較しましたが、年収に450万円の差があっても1カ月の負担増の差は1,700円程度です。これは年収が低い人ほど負担割合が大きいと言えそうです。
次に、すべての消費をキャッシュレス決済すると仮定して、家計がどう変わるのか計算してみました。ポイント還元率は5%としています。
ポイント還元制度のおかげですべての年収帯で負担減となっています。家計支出の額に応じてポイント還元額が変動しますから、年収が高い(消費額が多い)ほうが還元額も多くなり、より大きなお得を得られるようになります。
なお、クレジットカード会社の多くは1枚のカードにつき1カ月当たり30万円分の請求額(15,000円相当分のポイント)を上限としていることから、ここでの計算も650~700万円世帯への5%還元の計算は30万円の消費支出を対象に計算しています。
年収の大小に関係なく一律に課税されるのが消費税です。軽減税率やポイント還元制度の導入は低所得者を配慮したものであったはずですが、やはり年収が低い人の方が増税のインパクトは大きくなりそうです。
収入制限のある増税対策も!
給料が少ない人は、その他の増税対策を利用できないか確認してみましょう。
プレミアム商品券
地方自治体が発行するプレミアム付商品券は1枚あたりの価格は400円ですが、額面500円の商品券です。1人あたり額面2万5,000円(同2万円)を上限に購入可能です。つまり、家計負担を5,000円分抑えることができます。
このプレミアムが付いた商品券を購入できるのは、次の条件に該当する人です。
- ・2019年度住民税非課税者(課税基準日2019年1月1日)
- ※住民税課税者と生計同一の配偶者・扶養親族、生活保護被保護者等は除く。
- ・学齢3歳未満の子(2016年4月2日~2019年9月30日までの間に生まれた子)が属する世帯の世帯主
幼児教育無償化
幼稚園、認可保育所、認定こども園の利用料が無料になる「幼児教育・保育の無償化」は、幼児を持つ親にとっては助かりますが、子どもの年齢によって所得に関係がある場合とそうでない場合があります。
- ・3~5歳児:原則全世帯
- ・0~2歳児:住民税非課税世帯
プレミアム商品券と幼児教育無償化は、子どもへの負担がかかる世帯への増税負担を配慮したものですが、一部の低所得者も利用できる制度です。
しかしそもそも、増税のインパクトがどれだけあるかはお金の使い方次第です。給料が低い人も高い人も、これまで以上に家計管理を徹底し、自分自身で家計を守るようにしていきましょう。
(※本ページに記載されている情報は2019年11月2日時点のものです)