2019年1月に厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を作成し、同省作成の「モデル就業規則」から副業禁止の規定を削除したうえ、副業及び兼業を認める規定を追加したことをきっかけに、「ふくぎょう」という働き方がより注目されるようになりました。スタートするきっかけや目的は人それぞれ。「副業」「複業」という働き方、気になるお金の話をお伝えしていきます!
「副業」「複業」どう違う?
働き方と気になるお金の話
2019年11月1日



副業解禁の背景
副業が解禁された背景には、働き方の多様化や人手不足の解消といったことが挙げられます。近年、労働者の人手不足は大きな社会問題とされていますが、労働者をひとつの会社に縛り付けておく従来の雇用形態を継続させれば、労働人口は減少し、ますます人手は足りなくなります。副業解禁によって、効率的な業務遂行が可能となり、これをもって人手不足を補てんすることを目的としています。
なぜふくぎょうをするのか?
「副業」「複業」と興味を持つきっかけはそれぞれ違います。なぜ興味を持ちましたか?今一度考えてみましょう。
「生活のために収入源を少しでも増やしたい」「自分のスキルを活かしたい」「社会や人の役に立てることがしたい」など、きっかけや目的は人それぞれです。
なぜ「ふくぎょう」をするのか、何を叶えたいのかを明確にしてからスタートしていきましょう。ただ面白そうだからと手をつけたのでは、お金ではなく時間の無駄遣いになりかねません。
「副業」と「複業」の違い
「副業」と「複業」は、各機関により定義が異なります。考え方には大きな違いがあるため、整理しておきたいと思います。
副業とは?
メインとなる本業があること前提で補助的にする仕事のことを指します。副業は、会社員として働きながら、今の収入では満足出来ず、少しでも収入を増やしたい人向きです。
複業とは?
副業よりは兼業に近い言葉といえます。本業をおろそかにせず、別の活動に対しても本業として向き合うことから、複業といわれています。
複業のメリットとは?
1:1つの仕事に縛られないため、働き方の選択肢が広がる。
2:分野の異なる複数の仕事を経験することで、短期間に広範囲にわたる分野での知識・スキルアップが期待出来ます。知識・スキルの幅が広がれば、対応できる業務幅も広がります。掛け持ちしている仕事内容・人脈が相互に好影響を与える可能性もあります。
3:会社員だけでは実現が難しい叶えたいこと、夢・目標に若いうちから挑戦することが出来ます。
複業のデメリットとは?
1:何より仕事量が増えます。どうしても体力・時間の面で負担が大きくなりがちです。どちらもプロとしての対応をするため、忙しいからと途中で辞めるわけにはいきません。それを覚悟した上でスタートさせましょう。
2:出費も多い。複業をすると収入は増える前提で考えがちですが、仕事内容によりますが、スタートさせる時ばかりでなく継続をしていくための出費もあります。やみくもに始めるのではなく、どれ位の費用がかかるのかを事前にシミュレーションしておきましょう。
気になるお金の話
ここでは、確定申告について解説いたします。
確定申告の基礎知識
確定申告とは、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じたすべての所得金額と、それに対する「所得税と復興特別所得税」の額を計算し、納税する手続きのことです。納税額を自分で計算して確定し、自己申告する形式を取っていることから、「確定申告」と呼ばれます。具体的な手続きとしては、申告期限内に確定申告書を提出することになります。原則、この手続きは翌年の2月16日~3月15日に行いますが、曜日の関係で前後する場合がありますので、詳しくは税務署にご確認ください。
副業でアルバイトをしたケース
給与所得者が副業で給与収入を得た場合、原則として確定申告を行う必要があります。確定申告を行う際には、本業での源泉徴収票と副業での源泉徴収票が必要になります。
複業で広告収入を得たケース
広告収入(ブログやアフィリエイトで複業する場合)は「雑所得」に該当します。給与所得で年末調整を行っており、広告収入から必要経費を差し引いた金額が20万円以下であれば、確定申告をする必要はありません。20万円を超えたときに確定申告をする必要があります。
多くの場合が、上記2ケースに当てはまると思います。
複業でコンスタントに収入が得られるようになれば、事業所得としての申告が可能です。事業所得には青色申告と白色申告があり、所定の要件を満たせば、青色申告の方がやや有利な仕組みになっています。
詳しくは管轄の税務署に確認されることをおすすめします。
経費について
「副業」「複業」で明らかに事業と関連する費用は経費として計上できます。事業用とプライベート用に区分できない費用は算入に注意が必要です。
1:自宅関連費
家賃、電気代、電話代などの通信費が該当します。一般的には事業用に使用した部屋の面積で事業割合を算定します。副業・複業専用のスマートフォンを使用している場合で、明らかに事業用と判断出来る場合には、その通信費は全額経費にすることができます。
2:車関連費
仕事に車が必要な場合に限られますが、ガソリン代、駐車場代、コインパーキング代、高速代などが該当します。事業用とプライベート用に区分できない費用は一般的に使用頻度で事業割合を算定します。使用頻度には走行距離や1週間のうちの使用日数などが用いられます。
3:PC関係費
副業・複業専用の場合は事業割合は100%で、購入費用が10万円未満なら全額経費に計上できます。事業用・プライベート用が兼用の場合、事業割合の算定はケースにより異なります。
まとめ
「副業」「複業」について考えていても、お金のことが気になり、なかなか一歩を踏み出せない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もちろん先を見据えて計画を立てて動いていくことは大切なことです。ただ、心配しすぎて動き出せないのはもったいないと思います。
私も確定申告をしていますが、初めは間違えたらどうしようと不安はありましたし、分からないことはドキドキしながら税務署に問い合わせをしましたが、とても丁寧にご回答いただけました。
完璧に準備をしてスタートすることは難しいと思うので、まずやってみたいということがあれば、やりながらコツコツと勉強していくのがと良いと思います。
何を叶えたいのかを明確にして、その目標に向かってまずは小さくスタートしてみましょう!
(※本ページに記載されている情報は2019年11月1日時点のものです)